米証券取引委員会(SEC)に対し強硬手段に出ようとしたCoinbase(コインベース)の試みは、長くは続かなかった。暗号資産(仮想通貨)取引所を運営する同社は、暗号資産による融資商品の立ち上げ計画を巡り、規制当局であるSECの怒りを買った。SECは、CoinbaseがLendと呼ばれる暗号資産融資商品を立ち上げた場合にCoinbaseを提訴することを事前に通達する「ウェルズ通知」を同社に送付した。
「SECがLendの件で私たちを訴えたいと言ってきました。理由はわかりませんが」と題した反抗的なブログ記事を発表してから2週間足らずで、同社は先週末、結局Lendを立ち上げないことを静かに発表した。
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同社は米国時間9月17日、Lendの立ち上げ関する投稿を更新する情報を静かに追加し、その一部を詳しく説明した。
当社は、暗号資産業界全体に対する規制を明確化する取り組みを続けるなか、以下に発表するとおり、USDC APYプログラム(米ドルコインによる融資プログラム)を開始しないという難しい決定を下しました。また、このプログラムのキャンセル待ちも中止し、次の展開に向けて取り組んでいきます。
Lendは、暗号資産取引所の世界では例外的とはいえないものだ。投資家にとっては、Geminiなどのプラットフォームで同様の仕組みがある。Geminiでは、ユーザーが保有する暗号資産を取引所に貸し出し、従来の普通預金よりもはるかに高い金利を得ることができる。Coinbaseは、安定したコインであるUSDC(米ドルコイン)をユーザーが貸し出し、年利4%(開始時のレート)が得られるというLendの立ち上げを計画していた。
SECは、同組織内で利用可能なリソースが限られていることに不満を持っており、これまでも限られた範囲で暗号化商品に対する訴訟を行ってきた。ユーザーがCoinbaseとそのパートナーに対し、自らのコインの保管権を実質的に放棄するという点に納得がいかなかったようだ。また、Coinbaseに対して、Lendには確かに証券としての性質があると指摘している。監督機関との緊密な連携をブランドの一部としているCoinbaseは、Lendが証券ではないという考えにこだわりながら、ゆっくりと事を進めようとしていた。
2/ Millions of crypto holders have been earning yield on their assets over the last few years. It makes sense, if you want to lend out your funds, you can earn a return. Everyone seems happy.
— Brian Armstrong (@brian_armstrong) September 8, 2021
「SECは、Coinbase Lendが証券としての性質をもつと考えているといいますが、なぜ、どのようにしてそのような結論に達したのかは明らかにしていません。しかし、私たちは落胆することなく、ゆっくりと物事を進めることにしました。6月には、Lendプログラムを公開し、キャンセル待ちを開始しましたが、公の開始日は設定しませんでした。しかし、またしてもSECからの説明はありませんでした。それどころか、彼らは正式な調査を開始しました」と、最近のCoinbaseのブログに書かれていた。
大きな問いは、これが他の暗号資産取引所にとってどのような意味を持つのか、また、この行為は、チーフのGary Gensler(ゲイリー・ゲンスラー)氏が率いるSECが、暗号資産の世界、特にDeFiの仕組みに関して、より積極的な活動を開始するシグナルなのかどうかだ。
Coinbaseの株価は9月20日月曜日の日中取引で下落した。ビットコインやその他の暗号資産の価格も大幅に引き下げた。
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(文:Lucas Matney、翻訳:Nariko Mizoguchi)