LINEが12月5日に公開したスマートフォン向けQ&Aアプリ「LINE Q」が順調な滑り出しを見せているようだ。リリースから1週間の利用状況を見ると、1日あたりの質問投稿数は約1万件、回答数は約8万件と、1つの質問に平均8件の回答が寄せられている。サービス開始直後で「とりあえず使ってみる」人が多いからかもしれないが、回答率は99%。回答時間もPC向けサービスと比べると早いようで、質問から最初の回答が付くまでの平均時間は3分。質問の94%は5分以内に回答が投稿されているのだとか。(アプリのダウンロード数は非公開)
LINE Qはスマートフォンから質問でき、回答者はチャット形式の画面でテキスト・写真・動画・位置情報・スタンプを組み合わせて回答できる。質問する際には、「分野」(カテゴリー)を指定してLINE Qユーザー全体から回答を求める“分野への質問”と、LINEの友だちに限定して回答を求める“友だちへの質問”を選べる。
LINE執行役員の舛田淳氏の言葉を借りれば、「カジュアルなQ&Aサービス」だ。
「PC向けのQ&Aサービスは、投稿に対するハードルが高いので“普通のユーザー”が少なく、一部のユーザーだけが回答を投稿するモデルだった。スマホであればいつでもどこでも思いついた瞬間にQを投げて、すぐにAが返ってくる。Q&Aの本質はコミュニケーション。Qに対してAだけで終わるものではない。LINE QではQ&Aサービスを再定義する。」
若いLINEユーザーが使っているせいか、学校生活や恋愛に関する質問が多く投稿されているという。「明日のデートに何を着ればいいのかわからない」という男子中学生に対して、女性ユーザーがその場で撮影したコーディネートの写真を送って回答するなど、「スマホならではの使い方も目立つ」とLINE Qの企画を担当する伊熊導人氏は話す。「ユーザーインターフェイスがLINEのようなチャット形式なので、投稿が盛んな分野はコミュニティのような賑わいを見せている」。
一部のQ&Aでは回答を得るというよりも、雑談や大喜利で盛り上がっているが、それはそれで良いのかもしれない。
実名利用を前提としたLINEと異なり、LINE Qでは専用IDを取得して質問・回答を投稿する。聞きにくい質問や答えにくい回答には、LINE Q専用IDを隠して匿名で投稿することも可能だ。「実名制のQ&Aサービスは信頼性が担保できる反面、一部の“スター”に回答が集中して裾野が広がらないデメリットもある。思想や信条を出すのをためらう人もいるので、あえてハンドルネームによる匿名制を採用した」(舛田氏)。
LINEならではの「投稿の質を上げる仕組み」としては、LINE Qを利用しているLINEの友達に対して、自分が興味のある質問を拡散する「私も知りたい」ボタンを用意。リツイートのようなこの機能によって、自分が知らない質問に友達が答えてくれたり、その友達がわからない質問でも「あの人なら知ってるかも」と思ってもらえれば、さらに質問を拡散してもらうことが期待できるのだという。自分の友達の友達にまで質問が届く「質問の再生産」が行われることで、多種多様な観点の回答が集まる「ナレッジの連鎖」が起こると、舛田氏は期待している。
投稿を促す施策としては、質問や回答などのアクションに応じて換金可能なポイントを付与するインセンティブ制度を導入。ここでも投稿の質を上げるために、質問者が選ぶ最も良い回答「ぴったりアンサー」に選ばれたり、「私も知りたい」経由でぴったりアンサーが生まれた場合などには、通常よりも高いポイントを付与している。質問や回答を投稿するにはLINE IDのログインが必須なため、ポイント目的の無意味な投稿や、いわゆる“荒らし”も起こりにくいのだという。
収益面は「ゼロ」(舛田氏)。当面は良質な回答を蓄積することに注力していく。