Qualcomm(クアルコム)は、米国時間1月6日、Snapdragon Rideと呼ばれる新しい自動車用プラットフォームを発表した。このプラットフォームは、あらゆるレベルの自動運転車に対応するように設計されたものだ。現在の乗用車のアクティブセーフティシステムから、やがて街中を定期運行することになるはずのロボタクシーまで対応できる。
このプラットフォームは拡張性があり、Snapdragon Ride SOC(システム・オン・チップ)、アクセラレーター、自動運転用スタックによって構成されている。
Qualcommは、おそらく携帯電話用のチップメーカーとして最もよく知られているが、クルマ向けのテレマティクスシステム用半導体を含む、自動車用製品のファミリーも持っている。Snapdragon Rideは、すでに競合の多いADAS(先進的運転補助システム)や自動運転車の業界で、より多くの市場シェアを獲得するための、最新かつおそらくこれまでで最も注目すべき取り組みと言える。また、この結果Qualcommは、再びNVIDIA(エヌビディア)や、Intelの子会社、Mobileye(モービルアイ)などと競合することになる。
Snapdragon Rideプラットフォームは、自動運転に関する上位3つの業界セグメントをサポートするように設計されていると、Qualcommの製品管理担当上級副社長であるNakul Duggal(ナクル・ドゥッガル)氏は、最近のTechCruchによるインタビューで語っている。このプラットフォームは、現在の乗用車に搭載されるような、アクティブセーフティを実現する先進的な運転補助システムのハードウェアの要求を満たすことが可能。例えば車線維持、交通標識認識、自動緊急ブレーキなどにも対応できる可能としている。ドゥッガル氏によれば、高速道路の自動運転や自動駐車など、いわゆるレベル2+システムをサポートするための、より厳しいハードウェア要件にも対応可能という。さらに、ロボタクシーなどを実現する、都市部での自動運転機能として指定されるレベル4にも対応できるとしている。
このプラットフォームは、モジュラー型のマルチコアCPU、消費電力の少ないAIおよびコンピュータービジョンエンジンそしてGPUによって構成される、と同社は述べている。発熱も少なく、低レベルのアクティブセーフティシステム用には、30テラオペレーション/秒(TOPS)、自動運転用なら、最大700TOPS以上を、130Wの消費電力で実現できる。これは、水冷システムなどを追加しなくても、さまざまなレベルに対応して動作できることを意味している。ドゥッガル氏によれば、コストを下げつつ信頼性を向上させることが可能で、とりわけ電気自動車には最適だという。
Snapdragon Rideは、2020年の前半には開発の前段階用として、各自動車メーカーと一次部品メーカーに対して供給されるものと予想される。2023年には、Snapdragon Rideを搭載したクルマも生産されることになるだろう。
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(翻訳:Fumihiko Shibata)