どのようにSEO戦略を決定しているだろうか?
この質問に答える前に、まずは基本に戻って考えてみよう。
SEOとは?
「Search Engine Optimization」(検索エンジンの最適化 — SEO)は、若干誤解を招くことがあり、奇妙な用語だと言わざるを得ない。そもそも、検索エンジンを最適化しているわけではない。
SEOは、ウェブマスターがウェブサイトの最適化を始めたことで生まれた。具体的に言うと、ウェブマスター達は、サイトのソースコードを最適化して、検索エンジンにアピールしていた。サイトのデザイナーやコピーライターに任せた場合と比べ、検索結果でより高いランキングを獲得することが、SEOを実施する目的であった。デザイナーは、うっかりサイトをクロール不可能にしてしまい、検索エンジンの目には映らなくなってしまうことがあったのだ。
しかし、SEOは、クロール可能にするだけの取り組みではなかった。
SEOのプロは、上位にランクインしているページを精査し、ソースコードを確認し、時にそのままコピーし、調節を加え、その後、ページを再び配信していた。Infoseekが検索業界をリードしていた頃は、この作業を行うだけで、すぐに上位にランクインすることが可能であった。
私自身、この作業を行い、効果を実感していた。
当時、これはハッカーの面白いトリックだと思っていた。この頃、このようなランキングは、重要なのではないかと考えるようになった。当然だが、他の大勢のウェブマスター達も同じ考えを持つようになった。ヤフー!のディレクトリでも同じようなゲームが行われていた。ヤフー!は、アルファベット順にサイトを掲載していたため、「AAA…何とか」とサイトを名付けるウェブマスターが続出した。また、スパイダーを追跡し、新しいスパイダーを見つける行為に固執するウェブマスターも多かった。そして、ウェブサイトを自分に有利になるように、ウェブサイトを導いていた。
検索エンジンには操作がつきものである。多くの見返りが得られるためだ。
しかし、その後、新種の検索エンジンの登場によって、操作が難しくなる。コードを最適化しているだけでは、上位にランクインすることが出来なくなったのだ。その他にも重要な要素が存在した。
それは被リンクの本数だ。
そのため、SEOは、ページのコードを最適化するだけの取り組みではなくなり、リンクを獲得する試みも含まれるようになった。この段階で、SEOは、技術的なコーディングを実践する取り組みから、マーケティングを実践する取り組みへと姿を変えた。ウェブマスターは、その他のウェブマスターに接触し、リンクを張ってもらえるように説得しなければならなくなった。
生まれたばかりの新興企業であったグーグルは、リンクの本数を重要視し、賢いアルゴリズムを使って、「悪意のあるリンク」と「良質なリンク」を見分ける試みを始めた。面白いことに、グーグルは、当時、グーグルをスパムすることは出来ないと主張していた。
ウェブマスター達は、スパムすることで、グーグルの主張に真っ向から対応した。
と言うよりも、グーグルは、大勢のウェブマスターの行為を少なくとも社内では「スパム」扱いしていたのだ。そして、当初の思い上がりを後悔することになった。ウェブマスター達は、「良質」に見えるリンクを探すようになり、実際に、獲得に成功することもあった。
そして、グーグルは、それ以来、ウェブマスターの抵抗に対応しなければならなくなった。
リンク構築は、SEOが生まれる以前から行われていたが、ランキングのスコアとして、リンクの本数がカウントされるようになると、リク構築は、SEOに融合されるようになった。最近のSEOのスタッフは、リンク構築はSEOの一部として受け入れているが、申し上げた通り、もともとはSEOには含まれていなかった。
このブログでは、マーケティングとSEOの違いを問うコメントが投稿されることがよくある。マーケティングとSEOは別物だが、SEOの歴史をひも解くと、常にマーケティングの要素が絡んでいたことが分かる。外部リンクの獲得は、PR、関係構築、または、マーケティングに分類することも可能である。しかし、リンクの獲得がSEOではないと主張する人はいない。
最近、グーグルに大きな変更が加えられている。数年間のスパンで展開されていく可能性のある変化である。また、この変化が行われることで、リンクの分析によって、メタタグの最適化の効果が大幅に落ちたように、従来型のSEOの効果が大幅に落ちている。
パンダは、個別の変化でもなければ、特効薬でもないと私は思う。パンダは、明らかに、ユーザーによるSERPの利用に関するデータ(直帰率)、サイトに滞在する時間、ページビュー等をベースとしているものの、容易に推奨事項を絞ることは難しい。パンダの攻撃を受けたサイトに対応するには、ユーザーのエンゲージメントに応じた「最高のコンテンツ」を探し出し、改善することが求められる。
グーグルは、セクターごとに異なるアルゴリズムを適用している可能性がある。そのため、あるセクターに用いたSEOの手法が、別のセクターでは役に立たない。また、グーグルは、エンゲージメントの計測値にも注目して、ユーザーがクリックした結果を実際に求めていたかどうかを判断しようと試みている。PPCのランディングページにおけるグーグルの取り組みを見れば、この傾向は一目瞭然である。同じ要素の計測が行われている。頻繁に、そして、すぐにユーザーがクリックして戻る場合、当該のランディングページのスコアは落とされる。SERPでも同じ仕組みが用いられていると考えられる。
そのため、かつてリンク構築がSEOに導入されたように、エンゲージメントもSEOに盛り込まれるようになる。SEOが終わったと見る人もいるだろう。実際に、より有益な関連性の計測の影で、メタタグの最適化やその他のコードの最適化が軽視されるようになっており、一部において、SEOは終わったと言える。
しかし、目標は変わっていない。
戦略の決定
それでは、SEO戦略をどのように策定すればいいのだろうか?今後、どのような戦略を採用すればいいのだろうか?
グーグルのウェブマスターガイドラインを熟読する人もいれば、スパム対策を統括するマット・カッツ氏の動画を見る人もいる。そして、全てグーグルの指示に従っていく。このアプローチには特に問題は見当たらない。
一方、グーグルのウェブマスターガイドラインを読み、マット・カッツ氏が提供する全ての動画を見て、行間を読み、全く反対の取り組みを行う人達もいる。このアプローチにも問題があるわけではない。
どのような戦略を用いるかに左右されるのだ。
グーグルに何もかも決めさせる方針には、グーグルに好きな時にゴールポストを動かされてしまう問題がある。現実として、アイテム Aにリンクを張る行為が認められていても、今後は認められなくなる可能性が高い。プレスリリースを大量に投稿するつもりなら、キーワードを大量に盛り込む前に慎重に考えてもらいたいことがある:
これは、大勢のウェブマスターが理解していないなかった可能性のある大きな変化である。グーグルは、ガイドライン違反に該当する不自然なリンクの例として、「別のサイトで投稿される記事やプレスリリース内で最適化されたアンカーテキストを持つリンク」を挙げている。取り上げられた例、そして、「別のサイトで投稿される」と言うフレーズが大きな鍵を握る。プレスリリースや記事を自分のサイトで投稿し、同じアイテムをワイヤーや記事投稿サイトで配信しているなら、「最適化されたアンカーテキスト」が用いられたリンクに関しては、nofollowにしておく必要がある。
グーグルのガイドラインに従うには、過去に遡って、多くのリンク構築の取り組みを解除しなければならないだろうか?あるいは、グーグルの指摘がなければ、確かにプレスリリース内のリンクが、過剰に有効に働いていたかもしれないと納得するだろうか?それとも、グーグルが好む、または、好まない取り組みにウェブマスターが力を入れることをグーグルが願うものの、既に緩和する手法を見つけているため、実際には全く気にしていないと考え、グーグルは、裏の裏をかいていると考えるだろうか?
大量のゲスト投稿もまた、ウェブマスターガイドラインで違反扱いされている。アーティクルディレクトリ内でのキーワードが大量に詰め込まれたアンカーもグーグルの怒りを買う。戻るボタンをブロックして、収益を得る方法までもが「詐欺」であり、ペナルティーの対象になると考えられている。
上位にランクインしているサイトを見つけて、そのサイトの取り組みを真似し、プラスアルファを加えるような単純な戦略は、ガイドラインに抵触するのだろうか?競争の激しいニッチを避け、実現しやすい目標に専念しているだろうか?すべての要素を推測し、網羅する試みを行っているだろうか?量産して、ダメになったら見捨てているだろうか?一つのサイトで長期的な取り組みを行っているだろうか?ソーシャルメディアとマーケティングを盛り込んでいるだろうか?それとも、SEOの取り組みから除外しているだろうか?説得する力を存在価値に挙げているだろうか?
個人的な影響力、そして、資金、黄金、あるいは、グーグルの許可なく、管理することが可能な影響力について考えてもらいたい。歴史を振り返ると、人々は、カルマを求め、災難に対する「準備」として、社会的な信用に投資し、コミュニティに善意を注入していた。
私達は、グーグルによって管理(操作)された経済の中で働く「検索マーケッター」、あるいは、「検索エンジンのオプティマイザー」なのかもしれないが、私達の存在価値は、説得する力にかかっている。マーケットで説得する力は、グーグルに勝るのだ。
皆さんはどのような戦略を利用しているのだろうか?また、今後、異なる戦略を採用する予定はあるだろうか?
この記事は、SEO Bookに掲載された「What is Your SEO Strategy?」を翻訳した内容です。