フランスのエマニュエル・マクロン大統領と米国のドナルド・トランプ大統領は、テック大企業に対するフランスの課税について当初妥協していた。しかし米国はフランスの製品であるワインやチーズ、ハンドバッグなどに最大100%の報復関税を課すことを検討している。
米通商代表部はフランスのデジタル税を調査し、レポートをまとめた。このレポートとは別に発表したプレスリリースで通商代表部は新たな関税を推奨し、さらにはオーストリア、イタリア、トルコのデジタル税を調査する可能性にも言及している。「米国企業を差別しているフランスのデジタルサービス税(DST)は国際税政策の原則に反していて、影響を受ける米企業にとってかなりの負担となっている」としている。
フランスのブリュノ・ル・メール財務相はフランスのラジオで「そのような関税は「欧州からの強力なしっぺ返し」につながりかねない」と語った。今年初め、フランスはテック大企業に課す新税を承認した。税適正化スキームを避けるために、フランスでかなりの売上を上げているテック大企業はフランスで得た売上高に課税される。
もし売上高がグローバルで7億5000万ユーロ(約903億円)以上、フランスで2500万ユーロ(約30億円)以上の企業を経営しているなら、フランスでの売上高の3%を納税しなければならない。
この税は2つのカテゴリーのテック企業に適用される。そのカテゴリーとはマーケットプレイス(AmazonのマーケットプレイスやUber、Airbnbなど)と広告(Facebook、Google、Criteoなど)だ。米国企業をターゲットしているわけではないが、フランスで事業を展開しているテック大企業の大半は米国企業だ。
この夏、トランプ大統領はフランスのデジタル税計画をTwitterで批判した。「フランスは素晴らしい米テクノロジー企業に税を課そうとしている。そうした企業に課税できるのは、企業のホームカントリーである米国であるべきだ」と書いた。「我々はマクロンの馬鹿げた考えに相応の報復措置を間もなく発表する。私はいつも米国のワインはフランスのものよりも素晴らしいと言っている!」。
G7サミット期間中にフランス政府とトランプ政権は妥協したようだった。デジタル課税をめぐっては、テック企業が事業を展開する国で課税されるというルールの制定にOECDが現在取り組んでいる。
フランスはOECDのフレームワークが実行に移されればデジタル税をすぐさま廃止し、OECDのフレームワーク前に税を払いすぎた企業には払い戻すことを約束した。例えば、Facebookが2019年にフランスのデジタル税で多額を納税し、一方でOECDのフレームワークを適用したときにそれよりも少なくなる場合、フランスは差額を払い戻す。
しかし、関税はOECDの作業を危うくすることになるかもしれないため、この論争は振り出しに戻った。
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(翻訳:Mizoguchi)