イベントに行きたい人をつなげる「vivit」、インキュベイトとユナイテッドが出資

アクティビティの予約サービスと言えば、ヤフーと連携するカタリズムの「あそびゅー」や、実は10周年を迎えたそとあそびの「そとあそび」のほか、ウェブ制作会社LIGの子会社が提供する「TRIP」などもスタートしている。

また一方では、旅行やイベントに行きたい人がサイト上に集まり、みんなでイベントを企画したり参加したりするというようなサービスもじわじわと人気を集めている。旅行を中心としたtrippieceの「trippiece」も好調なようだし、クラブイベントや音楽フェスに特化したsameの「BANANA」などもある。

今回紹介するvivitの「vivit」も、オンラインで仲間を集めて、実際にイベントに行くことを目的としたサービスだ。同社は8月21日、インキュベイトファンドとベンチャーユナイテッドを割当先とした約3000万円の第三者割当を実施したことを発表している。

vivitでは、運営側がアウトドアやスポーツ、BBQなど、日帰りで楽しめるやイベントを紹介。ユーザーは興味あるイベントに「いってみたい!」ボタンを押すことで、同じく「いってみたい!」ボタンを押したユーザーとチャットしたり、さらに友人を招待したりして、実際の予定を決めていく。アカウントはFacebookと連携しているため、Facebookの友人がどういったイベントに興味を持っているかも知ることができる。

現状はイベントの企画までの機能しか提供していないが、今後はイベントの運営者と提携し、予約や事前決済といった仕組みを導入していく。将来的にはカスターマーサポートを置く予定もあるそうだ。また現在はSEOとソーシャル経由での集客に注力しているそうで、たしかに「ビッグボード(水圧で空を飛ぶスポーツ)」「デカスラ(東京サマーランドの新アトラクション)」といったワードでも検索結果の上位に表示されている。

vivitはインキュベイトファンドが主催するインキュベーションプログラム「Incubate Camp」第5期の出身。4月にvivitのクローズドベータ版を公開し、現在はオープンベータ版と位置づけている。

このサービス、機能だけでいうとTrippieceを思い浮かべたりしたのだけれども(ただしTrippieceはユーザーがイベントを企画する機能などがある)、vivit代表取締役の水谷寿美氏は想定するユーザー属性やイベントの種類がまったく異なると語る。「知らない人、仲良くないとも楽しめるように日帰りのイベントに限定する。ターゲットにするのは、『バリバリ旅行に行く人』『自分でFacebookのイベントを立ち上げる人』ではなく、『いろんなことに興味はあるけど自分から言えない人』。そんな人の背中を押すようなサービスにしたい」(水谷氏)


LIGが新会社を立ち上げて挑戦するのはアクティビティのCtoCプラットフォーム「TRIP」

Twitterで1万件以上シェアされた2012年の人材募集「伝説のウェブデザイナーをさがして…」をはじめとした自社メディアの運用や、数多くのウェブサイト制作やコンテンツマーケティングで知られるウェブ制作会社LIG。いつも世間を驚かせたり、笑わせたりしてくれる仕掛け作りを企んでいる同社だが、今度はCtoCのプラットフォーム作りに挑戦する。

LIGの100%出資子会社であるTRIPは4月8日、アクティビティの提供会社や個人と旅行者をマッチングするプラットフォーム「TRIP」を公開した。

TRIPでは、アクティビティ(観光地での遊び、観光商品)を販売したい事業者や個人向けにストアの立ち上げから商品の登録、決済までの機能をワンストップで提供する。事業者からは10%の手数料と3%の補償料を、購入者からは5%の利用料を徴収する。アクティビティ体験中の購入者の事故などには、最大1億円までの対人、対物補償をするという。今後は任意で入院や携行品の補償なども用意する。

アクティビティの予約サービスとしては、すでに最近資金調達を発表したばかりのカタリズムが提供する「あそびゅー!」などがある。そんな中でTRIPでは、「アクティビティの提供者がストーリーを伝えられる作り」にこだわったという。

商品登録や決済といったCtoCコマース(TRIPでは個人よりもまずは中小企業をターゲットにするとのことだが)に必要な基本機能だけでなく、写真とブログライクなテキストエディタで実際に商品を体験した様子などを手軽に公開できるようにした。TRIPの代表で、LIGの取締役副社長である吉原ゴウ氏は「旅行のパンフレットを見たところでワクワクしないこともある。金額や工程表だけでは伝えられなかった、作り手の熱意のある観光商品を紹介して欲しい」と語る。

また、総合旅行業や旅行関連のコンサルティングを手がける観光販売システムズ(KHS)と提携。リーガルチェックで協力するほか、KHSがネットワークする15県2府道計60以上の自治体に対してTRIPの活用を訴求するという。

吉原氏は、冒頭の人材募集をはじめとして、LIGの“おもしろ系”コンテンツの仕掛けを作ってきた人物。そんな同氏の実家は、長野県の野尻湖周辺でアクティビティを提供しているのだという。「僕らが生まれ育ったのは野尻湖。でもどんどん寂れてきている。田舎出身だからこそ、観光を軸にして地域活性ができないかと考えた」(吉原氏)。そこで同氏の幼なじみが勤めるKHSと連携。2014年3月にTRIPを設立し、サービスを提供するに至った。

KHSではこれまでも地方自治体の観光課と連携して「VISIT」というサイトを立ち上げ、アクティビティの商品企画や在庫管理を手がけてきている。今後はそのネットワークを使い、地方自治体を経由してTRIPへの商品登録を促していく。

5月をめどにTRIPと連携するメディアも公開する予定だ。TRIPに掲載されているアクティビティを体験したライターらが記事を掲載することで、商品購入を促す。「自社ブログや(FOXと共同運営の)エンタメウス温泉JAPANなど、自社で手がけてきたメディアのノウハウを投下していく」(吉原氏)
同社では、2014年度内に47都道府県をカバーし、登録商品1万件、登録者10万人までの拡大を目指す。