オープンソースの世界にビッグニュースがまたひとつ。MariaDB Corporation(元SkySQL)が、新たに900万ドルの資金を調達し、新CEO Michael Howardの就任を発表した。MariaDB Corporationは、MariaDB Foundationが管理しているMySQLフォークの商用バージョンを作っている企業で、Howardはエンタプライズ畑のベテラン経営者だ。これでMariaDBの調達総額は4000万ドルをわずかに超え、今回のラウンドはこれまでの投資家Intel CapitalとCalifornia Technology Venturesがリードした。
さらに同社は、もうひとつの重要な役員人事を発表した。MySQLを作り、後年MariaDBを作ったMichael “Monty” Wideniusが、CTOとして加わったのだ。彼は、MariaDB Foundationのファウンダでオープンソースの運動家でもある。
Howardは、前にGreenPlumやC9などを手がけ、今回はPatrik Sallnerに代わってMariaDBのCEOになる。フィンランド人のSallnerは、2012年からMariaDBのCEOを務めた。Howardによると、新たな資金は主にマーケティングと、新製品開発、そして事業の比重を故国フィンランドから合衆国へシフトしていくことに充てられる。
“今、パロアルトかメンロパークにいい場所を探している”、と彼は語る。“徐々に合衆国の企業にしていきたいし、だからこそアメリカ人を新CEOに選んだのだ。主なパートナーシップはみなシリコンバレーにいるから、その意味でも合衆国を活動拠点にしていきたい”。…マスコットも、フィンランドふう(上図)から、ウェストコーストふうに変わるのかな?
MariaDBは評価額を公表しないが、しかしHowardによると、今回の投資は今後12か月以内に予想されるより大きな投資への“踏み台”だそうだ。
Howardによると、同社の現在のユーザ数はおよそ900万、ソフトウェアのダウンロード数は1200万で、収益性はきわめて快調、という。“Webサイトのビジター数は数百万に達する。Linuxに載って配布されているから、今やオープンソースの定番だと思う。ITのインフラストラクチャにMariaDBがあり、そのコミュニティの一員であることは、単なるビジネスモデルではなくて戦略的意思決定だ”、と彼は語る。
たしかに、それまでプロプライエタリだったソフトウェアがオープンソースになる例が最近多い。それに今では大企業もオープンソースに本格的な投資をして、自分たちもその需要を確実に掴まえようとしている。
MariaDBの新製品についてHowardはあえて言葉を濁すが、データベースとセキュリティ、時間的な処理、そしてIoTだ、と言った。IoTも、同社が将来、買収をしそうな分野のひとつだそうだ。