ユーザーインタフェイスを“コードレス”で作れるので、一般社員でもBI(business intelligence, ビジネスインテリジェンス)アプリケーションを作れる、というSkuidが、新たに2500万ドルの資金を調達した。
テネシー州チャタヌーガに本社を置くSkuidは、シリコンバレーやサンフランシスコ、ボストン、ロサンゼルス、ニューヨークなど従来のイノベーションハブ以外の場所で生まれつつあるスタートアップの、ひとつの典型だ。
本誌TechCrunchは3年前に、投資家たちが予言している“逆ゴールドラッシュ”〔Uターン起業、ふるさと起業〕を取り上げたが、同社はある意味でその代表的な例でもある。
アパラチア山脈の内陸側山麓丘陵地帯がテネシー川で区切られるあたりに位置するチャタヌーガは、西半球で最速のインターネット接続を誇り、ガス・水道などと同じ公共サービスとして提供されるギガビットアクセスは、この都市(まち)を “救った”と言われる。
名曲チャタヌーガ・チュー・チューを産んだこのSouthern Railway鉄道沿いの工業都市は、もはやチャタヌーガの今の姿ではない。今やヘルスケア産業を中心に脱工業化を図るとともに、Volkswagenがこの小さな南部の都市に10億ドルを投じた大工場も抱えている。
SkuidのCEOでファウンダーのKen McElrathにとって、競争の激しいシリコンバレーではなく、のどかな田舎で起業することのメリットの大きさは、計り知れない。また1ギガのインターネットサービスに毎月250ドル払うことと、ウェストコーストで数千ドル払うことを比べれば、その違いは自明だ。
今回の25万ドルはMcElrath一家の資産管理会社Iconiq(Mark Zuckerbergにもそんな会社がある)と、前からの投資家K1 Investment Managementからだ。その主な用途は、今後の技術開発、企業のふつうの社員が、ツールバーやデータの視覚化を駆使したビジネスインテリジェンスアプリケーションを作れるようになるための、Skuidを作ることだ。
ユーザーがSkuidで作るアプリケーションは、もっぱらRest APIを駆使して、その会社が使っているBI用アプリケーション、すなわちOracle, Microsoft, Salesforce, Slackなどなどを統合する。
この、McElrathが“Skuid Model”と呼ぶ方式では、ユーザーがそのアプリケーションを一二箇所クリックするだけで、目的のデータソースを呼び出せる。そして目的のデータオブジェクトをさまざまな視覚化タブへドラッグ&ドロップすると、会社のデータを見ることができる。
McElrathによると、Skuidの次のバージョンでは、AmazonのAlexaやAppleのSiriに似た技術を導入して、音声によるインタフェイスが可能になる。
McElrathは語る: “まるでそれは、Alexaに表を作らせたり、何かの基準でデータをフィルタさせたりするような、アプリケーションになるだろうね。たとえば自動車販売店の営業なら、車を運転しながらSkuidのアプリケーションに、‘これから行くお客さんの会社のホームページを見せてくれ’、なんて…音声で…言えるだろう。そして、‘そこの担当者のXXXさんに電話をかけてくれ’、とかね”。
こうやって誰でもアプリケーションを作れるのが、プログラミングの未来だ、とMcElrathは語る。“それは、そんなに遠い未来ではない。こういったいろんな機能を統合するのは、今ならきわめて容易だ。音声機能は、来年の製品に実装できるだろう”。