栽培指導SaaS「農の相棒Mr.カルテ」開発・運営を手がけるINGENは9月1日、5000万円の資金調達を発表した。引受先はANRI、NEXTBLUE。日本の農業技術を新しい形で継承できるサービス・事業を構築し、農業業界を若手農家・異業種参入企業など次世代が安心して参入できる業界に変えるとしている。
INGENは「JAPANクオリティの農産物を世界の食卓へ」をミッションとして掲げ、2015年に創業した農業ITスタートアップ。日本の農業技術の継承を目的とし、新規就農者・異業種参入企業に対してより良い栽培指導を可能にするSaaS「農の相棒Mr.カルテ」を開発・運営している。
同社は、農業専門SaaS企業として、栽培指導者に寄り添った独自の肥料などデータベース(特許取得済)や、導入支援を強みとしているという。今回の調達した資金は、それら栽培指導の機能強化のスピードアップと、データベース更新・導入支援体制の拡大にあてる。
農の相棒Mr.カルテは、栽培指導・処方のDX化支援を通じ、農業者が遠方からでもオンラインで優れた栽培指導・処方を受けられるようにする農業SaaS。この処方とは、土壌分析や生育状況から肥料・土壌改良材などの組み合わせ・使用量に関する提案を指すという。栽培指導者が作った「カルテ」は、農業者側はそのまま「日誌」として活用できるそうだ。
農家にとっては「指導・処方が記録に残り技術が身につきやすい」「農資材使用のタイミングや超早期病害対策が身につく」をメリットとして挙げており、栽培指導者にとっては「職員だれでも一定レベルの指導が実現」「オンラインでも精度の高い栽培指導が可能」「農資材の単品販売ではなく、栽培指導・処方の一環として農資材提案が行える」としている。
INGENによると、日本の農産物は「味・質・鮮度」技術を強みとしており、これを活かすと同時に生産量の安定を両立する技術が求められてきたという。
具体的には、「病害虫・天候不良に対する超早期対策」の技術継承が両立に直結していることから、Mr.カルテではこれを可能とすることで新規就農者・異業種参入者の独り立ち促進と減農薬・減肥をサポートするとしている。