空飛ぶバイク開発のJetPack Aviationがプロトタイプ製造へ約2億円調達

空飛ぶ車は、それはそれでいい。しかしその代わりにバイクがあるというき、なぜ車を使うだろうか。YCが投資しているスタートアップJetPack Aviationは世界初の空飛ぶバイクでその疑問に答えたいと考えている。このバイクはスター・ウォーズファンなら喜ぶ「Speeder」という名称の1人乗りの空飛ぶ乗り物だ。そしていま、JetPackは、シードラウンドで200万ドル(約2億円)を調達した。投資家にはDraper Associates、Skype共同創業者のJaan Tallinn氏、YC、Cathexis Ventures、そのほかエンジェル投資家らが含まれる。この資金はSpeederの初の機能試作品の開発にあてられる。

今年3月にJetPackSpeederの計画を明らかにした。計画では、完全に安定した乗車体験となり、パイロットによる操縦と完全自動操縦のどちらにも対応する。垂直に離着陸でき、トップスピードは時速643キロに達する。ローターシステムの露出はなく、VTOLやヘリコプターよりもオペレーションは安全で簡単になる。同社は5分もかからずに燃料を補給できるとしていて、これは電動車両の充電よりもずいぶん短い。

SpeederはJetPackにとって初の空飛ぶ作品ではない。 CEOで創業者のDavid Mayman(デイビッド・メイマン)氏が率いる同社はすでにジェットパックを作っている。メイマン氏自身が個人向けのジェットパックのデモンストレーションを幾度となく行い、FAA(連邦航空局)の認証も得ている。加えて、米海軍の特殊部隊と短距離の部隊移動用としてのCARADA合意も結んだ。ジェットパックはまた、サイエンス・フィクションのような多くの機能も搭載している。時速160キロのトップスピード、スーツケースサイズという持ち運びのしやすさなどだ。

そうした過去の実績に照らし合わせ、今回調達した200万ドルは「初のフルスケールのプロトタイプのデザインから製造に至るまでをカバーする」と話すメイマン氏を、私は同じような主張をする他の誰よりも信用する。

その理由の一つとして、Speederは他のVTOLデザインよりも短期的に実現可能なことが挙げられる。VTOLはバッテリーベースのフライトシステムよりもタービン推進力に頼っている。メイマン氏に言わせれば、「これは現在のバッテリーエネルギーの密度がほとんどの電動VTOLにとって実用化するにはあまりにも低すぎるから」で、変革が起こるには楽観的に見積もっても5〜10年ほどかかる。それに比べ、Speederはかなり近い将来、救急サービスや軍が素早く荷物を運ぶ(消費者マーケットに移行する前に使用が想定されている)のを実現させることができるはずだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day 1日目のスタートアップ(4)

Y Combinator(YC)の企業を抱えた2019年の冬クラスは200社以上が参加し、これまでのYCで最大の規模になった。私たちはその場に参加し、それぞれのクラスの話を聞きながら、見たもののメモを持ち寄った。以下に紹介するのは米国時間3月18日にピッチが行われた86社のスタートアップだ。

Y Combinator 2019年冬クラス、Demo Day 1日目のスタートアップ
・Part 1:パイオニアステージ(1)
・Part 2:パイオニアステージ(2)
・Part 3:パイオニアステージ(3)
・Part 4:パイオニアステージ(4)※この記事
・Part 5:ミッションステージ(1)
・Part 6:ミッションステージ(2)
・Part 7:ミッションステージ(3)
・Part 8:ミッションステージ(4)

パイオニアステージ

Volk Wireless
Androidスマートフォンに無料のデータプランを提供する。ただし携帯キャリアは関与しない。共同創業者たちは、携帯電話ネットワークを構築し接続を共有するために、長距離ワイヤレスハードウェアを利用していると言う。共同創業者のGreg Hazel氏はかつてBittorrentのチーフアーキテクトであり、同じく共同創業者のStraya Markovic氏は、メッシュメッセージングプラットフォームFirechatのリードエンジニアだった。

Nowports
配送コンテナには、ルーティングと追跡の効率が悪いことが理由の一部として、紛失または遅延が起きている。Nowportsは、ラテンアメリカ向けのFlexportで、工場から、トラック、ボート、倉庫、小売店へと向かう商品パレットの配送を支援する。第3世代の貨物運送業者によって始められたNowportsは、米国の会社が地元の事情に疎い点を突いて、成功することができた。

Flower Co
より安価な、会員制のマリファナ販売ならびに配送。現在700人のメンバーに、1カ月あたり20万ドルのマリファナを販売している。年会費として100ドルを徴収し、製品販売から10%の手数料を受け取る。

Middesk
企業のパートナーたちが税金を支払っているのか、破産申請したのか、あるいは訴訟に巻き込まえているかを知ることは難しい。そのため、企業は回収不能な不良債権のために年間1200億ドルを損金処理している。Middeskは、B2B取引融資、投資、買収などのために、悪い会社から良い会社を選別するための詳細な調査を行う。顧客に安心感を与えることで彼らは報酬を得る。Middeskは幅広い取引に関与している。

Eclipse Foods
植物から乳製品を作り出す。彼らはその製品は動物から作られたものと「区別がつかない」と主張している。彼らのテストによれば、消費者の70%が、彼らの製品と主要な競合他社との違いを見分けることができなかった。共同創業者は、以前はHampton Creekの研究開発部長であり、Good Food Institute(植物由来の食肉/乳製品代替品に焦点を当てた非営利団体)のイノベーションスペシャリストだった人物だ。

Enemy on Board
Enemy On Boardは、「League Of Legends」というゲームの興奮をMafiaの戦略を組み合わせることでTwitch時代のために作られたゲームとなった。 5人のプレイヤーがチームを組んでミッションを遂行するが、そのうちの2人は密かにそれを妨害しようとしている。ゲームのベータ版の公開は6月に予定されているが、テスターたちはすでに1日あたり平均61分を費やしており、人びとは2000時間以上をTwitch上での視聴に費やしている。かつてLeague Of Legendsに関わっていたEnemy On BoardのCEOは、マイクロトランザクションを通じて、次の大ヒットフリーミアムゲームを構築できると信じている。

Modoo Technology
胎児の心拍数や動きを測定し、健康状態をモニタリングするためのウェアラブルである。2017年から中国国内で200ドルで販売されており、2018年の売上高は340万ドルだった。同社は最近、買い切りを行いたくないひとのための月額制サブスクリプションも開始した。

Our World In Data
世界のリーダーたちは、決定を下すためにCO2排出量や子供の死亡率などの問題に関する、アクセスしやすくて理解しやすいデータを必要としている。Our World In Dataは有料のジャーナル記事に埋め込まれた研究結果や専門用語から貴重な結果を引き出して、オープンアクセス可能なウェブサイトにまとめている。その結果として、多くの問い合わせに対してGoogleのトップランキングに上がるようになっている。すでに100万人のユーザーがいる。そのオックスフォード大学のチームは、ウェブのために研究データを最適化することが、より良い世界的な政策につながると信じている。

Encarte
すべてのeコマースストアに、ワンクリックチェックアウトを提供できるブラウザ拡張機能。現在50万件以上のShopifyストアをサポートしている。データをクラウドではなくローカルに保存し、すべてのトラッキング番号を追跡する。彼らはまた、「仮想eコマースクレジットカード」も開発している。特徴はパーソナライズされたプロモーションが可能になる点だ。

Atomic Alchemy
心放射図やPET/CTは異常を視覚化するために放射性薬剤を必要とする。しかし、この放射性薬剤の生成に必要な原子炉のうち、6つに5つは今後10年で停止する予定である。Atomic Alchemyは、放射性薬剤を生成するために、小型で個人所有が可能な原子炉を製造している。スタートアップはすでに5000万ドルから1億ドルの価値があると推定される引き合いを受け取っていて、2024年までに運用可能になることを望んでいる。

Jetpack Aviation
飛行オートバイを製造している。同社は、そのジェットバイクを使えば、10分でサンフランシスコからマウンテンビューに移動することが可能であり、1台ぶんの車庫に納まるという。彼らは本格的なプロトタイプが、年末までに完成すると見積もっている。これまでに9件の事前注文を受けているが、その価値は約410万ドルに相当する。同社の創業者たちは、以前FAA認定を受けた飛行装置(ジェットパック)である、JB10を開発した人たちだ。以前TechCrunchでもJetpack Aviationを取り上げている

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(翻訳:sako)