アルゴリズムを利用して賃貸住宅の特定や管理を支援し大家の頭痛を解消するKnox Financialが10.8億円調達

賃貸物件を所有して収入を得る方法を表す「受動的所得」という言葉は、誰もが知っているだろう。受動的に収入が得られたらいいなと思う米国人は多いが、大家になるための手続きは恐ろしいほどに厄介で複雑なものだ。

つまり、土地を売った途端に地価が上がって、売ったことを後悔する人がどれほど多いことか、という話だ。

すでに大家であっても、不動産管理の複雑さには押し潰されそうになる。

アルゴリズムを利用したプラットフォームで賃貸住宅の特定や管理を支援するボストンのスタートアップKnox Financial(ノックス・ファイナンシャル)は、1000万ドル(約10億8000万円)のシリーズA投資を調達し、目標をさらに拡大した。ボストンを拠点とするG20 Venturesがこのラウンドを主導し、Greycroft、Pillar VC、2LVC、Gaingelsなどが参加している。

この投資により、2018年創設以来のKnoxの合計調達額は1470万ドル(約16億円)となった。同社は2020年1月、Greycroft主導によるシード投資ラウンドで300万ドル(約3億2500万円)を調達している。

Knoxの共同創設者でCEOのDavid Friedman(デイビッド・フリードマン)氏は、スタートアップ初心者ではない。同氏は2004年、不動産会社や代理店のための総合マーケティングプラットフォームとオンラインマーケティングサービスBoston Logic(ボストン・ロジック)を創設している。2016年、フリードマン氏は、現在はPropertybase(プロパティーベース)と呼ばれるその会社を、非公開の価格でProvidence Equity(プロビデンス・エクイティー)に売却した。

Knoxは2019年5月にプラットフォームをローンチしている。その目標は、今住んでいる家から退去して投資不動産に変更しようと決意した住宅の所有者に「完全にお任せ」の移行を提供することだ。また、賃貸物件の管理をより簡単に効率的にする手助けもするという。

2020年初めのシード投資ラウンドでは、同社の事業はボストンに限られ、プラットフォーム上の物件は50件しかなかった。現在では7つの州に展開され「数百件」の投資不動産がプラットフォーム上にあり、1億ドル(約108億円)を超えるポートフォリオを監督している。

では、どんな仕組みなのだろうか?物件がKnoxのFrictionless Ownership Platform(フリクションレス・オーナーシップ・プラットフォーム)に登録されると、この物件の財務、税金、保険、賃貸と法務、賃借人と土地建物の管理、銀行口座管理と請求書の支払いといった処理を自動化し監督する。

Knoxではまた、その物件から長期的に得られる投資収益率を計算する、賃貸料と予測のモデルも開発した。

画像クレジット:Knox Financial

「投資家のための大幅な節約を行い、ほぼ確実にポートフォリオの収益性を高めます」とフリードマン氏はいう。「大きな家に引っ越す人がいれば、私たちはその物件を信じられないほどのROI発生器、つまり収入源に生まれ変わらせます」。

同社の収益モデルは単純だ。

「賃貸料が1ドル、このシステムを通過するごとに、私たちは10セントもらいます」とフリードマン氏はTechCrunchに話した。私たちは、顧客の状況に合わせて利益を調整します。賃貸料がまったく入らないときは、私たちも売上げはありません」。

Knoxでは、今回の新しい資金でサービス対象地域を広げ、もっと多くの人たちに知ってもらおう計画している。

G20 Venturesの共同創設者でパートナーのBob Hower(ボブ・ハワー)氏は、大学を卒業して数週間後に、母親の援助でボロ家を購入したことを話してくれた。改修を終えた1週間後に、彼はその家を売りに出した。それから5カ月の間、市場が軟調になるにつれて価格を次第に下げざるを得なくなり、とうとうわずかな儲けで売却してしまった。

「あの家は、今では私が出資した数倍の値がついています」とハワー氏は振り返る。「今思うと、敗因は、そもそも家を売ろうと決めてしまったことにあります」。

その経験からハワー氏は、Knoxのビジネスモデルにある、彼がいうところの「思考の明確さ」を大切にするようになった。

「Knoxが数十年前にあれば、大学卒業後に買ったあのボロ家を、今でも持っていたはずです」と彼はいう。「Betterment(ベターメント)などの投資プラットフォームは、いくつものアドバイスと最適化のための作業を、シングルサインオンの簡単なサービスに凝縮しています。Knoxは、この手のモデルを住宅不動産投資に持ち込んだ、最初の企業なのです」。

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カテゴリー:ネットサービス
タグ:Knox Financial資金調達不動産住宅賃貸アルゴリズムボストン

画像クレジット:Nanette Hoogslag / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:金井哲夫)