Kodiak Robotics、Ceva Logisticsを顧客に迎えた自動運転トラック貨物輸送の商業運用を発表

自動運転トラック輸送のスタートアップ企業であるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)は、Ceva Logistics(シーバロジスティクス)と提携し、ダラス・フォートワースとオースチン間およびダラス・フォートワースとオクラホマシティ間で、自動運転走行による貨物輸送を行うと、米国時間3月9日に発表した。KodiakにとってCevaは、初めて公に発表した顧客となる。

これは、Kodiakの技術を公道でテストするための実証実験や試験的な契約ではない。CevaはKodiakの有料顧客の1つであり、Kodiakは事業を継続するための収益を得る。Kodiakは11月に1億2500万ドル(約145億円)のシリーズB資金を調達したばかりだが、Waymo(ウェイモ)やAurora(オーロラ)といった競合と比べると資金が圧倒的に少なく、この分野ではまだ小さなプレイヤーの1つだ。

Cevaとの提携は、Kodiakが商業化への道をさらに進むということを示すだけでなく、Cevaの貨物業務に関する貴重な洞察をKodiakにもたらすことになると、Kodiakの共同創業者でCEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏はTechCrunchにメールで語った。

「これには、Kodiak Driver(コディアック・ドライバー)を、Cevaの既存インフラに最も効果的に統合する方法についての洞察も含まれます」と、バーネット氏はいう。「パートナー企業と貨物輸送を行うことは、物流業界の顧客が実際に望む製品を作り上げるために、非常に重要であると私たちは考えています」。

自動運転システムの背後にある技術は、公道で展開する準備がすでに整っているか、ほぼ整っている。ほとんどの業界の専門家たちは、貨物輸送が自動運転技術にとって最初の大規模な商業用途になると考えている。そのため、物流会社、荷主、輸送業者との提携をめぐり、業界では争奪戦が始まっている。

Alphabet(アルファベット)傘下の自動運転トラック輸送部門であるWaymo Via(ウェイモ・ビア)は、2022年1月にJ.B. Hunt(J.B.ハント)を同社の完全自動運転貨物輸送の最初の顧客とすることを発表し、続いて翌2月にはC.H. Robinson(C.H.ロビンソン)と提携して試験運用を開始することも発表した。Auroraは自動運転トラックのテストを行うためにFedEx(フェデックス)と契約した他、Uber Freight(ウーバー・フライト)の顧客のために貨物の運搬も始めている。

「顧客と一緒に仕事をすることで、私たちはロジスティクスビジネスを深く理解し、彼らやその他の企業とシームレスに事業を展開することができます」と、バーネット氏は語っている。「私たちの顧客は高い要望を持っています。現実世界のシナリオで貨物輸送を行うということは、最適な時間帯や最適なルートを選んで運行することができません。そのため、当社のシステムはより強固なものになります」。

米国内における自動運転輸送のほとんどは、テキサス州で行われている。オクラホマ州では、州議会が完全自動運転車の公道における無人運転走行を認める法案を、先日可決したばかりだ。KodiakとCevaは同州で率先して自動運転による公道走行を始める企業となる。

もっとも、KodiakのトラックはまだWaymoやAuroraと同様に、運転席に人間の安全オペレーターが乗り込み、常に運行を監視することになる。ドライバーはルートの高速道路部分を自動運転モードで運行する。Kodiakはいかなるポリシーの離脱も行わないため、特定の定められた状況では、人間が介入して手動でトラックの運転を引き継ぐ必要はないだろう。

「私たちは、Kodiak Driverが高速道路で遭遇する状況に対応できると期待しています」と、バーネット氏は述べている。「人間のドライバーは、必要と感じた時にはいつでもシステムを解除する権限を持っています」。

2021年11月以来、Kodiakはダラス・フォートワースとオースティン間の200マイル(約322km)の貨物レーンで、Cevaのために毎週荷物を輸送している。この提携は2022年2月、ダラスのCeva施設とオクラホマシティの配送地点を結ぶ、州間高速道路35号線をオクラホマ州へ向かうルートにも拡大された。Kodiakによると、どちらのルートでも、長距離トラック用に作られたコディアックの自動運転トレーラーヘッドが、荷物を詰めたCevaのトレーラーを引っ張るという。

「Cevaでは、イノベーションとはビジネスに影響を与える新しいアイデアの実行であると定義しています。Kodiakとのパートナーシップは、特に現在のサプライチェーン危機や進行中のドライバー不足の観点から、当社の顧客にさらなる事業価値を提供することになるでしょう」と、Cevaの北米事業部で社長兼マネージングディレクターを務めるShawn Stewart(ショーン・スチュワート)氏は、声明で述べている。

Kodiakは、Cevaのために運行している2つのルートに加え、2019年からダラスとヒューストンの間で、そして2021年からダラスとサンアントニオの間で、毎日貨物輸送を行っている。同スタートアップは韓国のコングロマリットであるSKとも戦略的パートナーシップを結び、同社の技術をアジアで展開する可能性を探っているところだ。また、少数株主であるBridgestone(ブリヂストン)とは、幅広いパートナーシップの一環として、スマートタイヤ技術のテストと開発を行っている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

原文へ

(文:Rebecca Bellan、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

自動運転トラック界、最後の非上場企業として投資家の注目を集める「Kodiak」

シリコンバレーで最後の株式非公開企業の1つであるKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)が、新たに1億2500万ドル(約142億円)の資金を調達した。この資金は、商業化に向けて従業員を倍増させるために使用される。

募集を超えた応募があった今回のシリーズBラウンドは、出資者の数が非常に多いことに加え、主導した投資家の名前が公表されていないことが特徴的だ。TechCrunchが耳にした話によると、ある貨物・物流会社が、このラウンドの戦略的主導投資家として、特別利害関係者向けの金融機関を設立したとのこと。

それ以外の投資家には、新たに加わったSIP Global Partners(SIPグローバル・パートナーズ)、Muirwoods Ventures(ミュアウッズ・ベンチャーズ)、Harpoon Ventures(ハープーン・ベンチャーズ)、StepStone Group(ステップストーン・グループ)、Gopher Asset Management(ゴーファー・アセット・マネジメント)、Walleye Capital(ウォールアイ・キャピタル)、Aliya Capital Partners(アリヤ・キャピタル・パートナーズ)などが含まれる。また、既存投資家であるBattery Ventures(バッテリー・ベンチャーズ)、CRV、Lightspeed Venture Partners(ライトスピード・ベンチャー・パートナーズ)も参加した。2021年6月にKodiakへの戦略的投資を発表していたBridgestone Americas(ブリヂストン・アメリカス)とBMW i Venturesは、今回のラウンドで資金を転換した。

Kodiakは、2018年の創業以来、合計で1億6500万ドル(約188億円)を調達している。同社は評価額を公表していない。

多くのスタートアップ企業と同様に、この資金はより多くの人材を雇用するために使われる。Kodiakでは、従業員数を現在の90人から、来年末までに約170人に増やすことを目指している。

創業者兼CEOのDon Burnette(ドン・バーネット)氏によれば、今度の採用は社内のすべての部署に及ぶという。新たに調達した資金は、業務の拡大と保有車両の拡充に充てる予定だ。Kodiakでは、少なくとも15台のトラックを追加し、合計25台以上の自動運転走行車を展開する計画だ。

「私たちは規模を拡大する必要があり、規模の拡大には会社全体の成長が伴います。より多くのドライバー、オペレーター、エンジニアが必要になります」と、バーネット氏はTechCrunchによるインタビューで語った。「研究開発が資金の主な使途であることは間違いありませんが、車両フリートの規模拡大も大きな課題です。当然ながら、この分野を見ていると、商業的な牽引力、顧客、パートナー、走行距離、自動運転貨物輸送ネットワークの規模などへの関心が、ますます高まっていることがわかります。私たちはこれらすべてに対する取り組みを拡大していくつもりですが、それにはお金がかかります」。

今回のシリーズBラウンドは、Kodiakの非常に重要な時期に実施された。同社の規模は、他の自動運転技術企業でトラック輸送を目指しているAurora(オーロラ)やWaymo(ウェイモ)などと比べたら数分の一に過ぎない。しかし、はるかに規模が大きくて資金力のあるライバル企業よりも、Kodiakは資本効率が高いと、バーネット氏は主張している。

これはKodiakが永遠に資金調達を求め続けるという意味ではない。経営の規模が大きくなれば、同社はさらに資金を求め、公開上場や非登録証券市場という選択肢を検討することになるだろう。バーネット氏は合併は考えておらず、買収も求めていないと述べている。

自動運転技術業界の資金調達について、バーネット氏は「今後の展開が非常に興味深い」と語っている。「投資欲求をそそるかという観点から考えると、今回のラウンドが非常に多くの応募を集めたことは、投資家の関心がまだ高いことを示していると思います。競合他社の多くが株式を公開しているため、非公開市場では、Kodiakは大きな進展が見られる最後の非上場の自動運転トラック企業の1つとして位置づけられます」。

10月にKodiakは、第4世代となる自動運転走行トラックシステムの詳細を明らかにし、自社の保有するPACCAR(パッカー)製クラス8トラックを15台、増車すると発表した(現在は10台のトラックが導入されている)。この第4世代のトラックには、フロントルーフラインに設置されたセンターポッドと、両サイドミラーに組み込まれた左右のポッドに、モジュール式のセンサー群が搭載されている。

画像クレジット:Kodiak Robotics

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ブリヂストンが自動運転トラックKodiakに出資、タイヤ技術と車両運行管理システムに焦点を当てる戦略的提携も

タイヤメーカー大手のBridgestone(ブリヂストン)は、スマートタイヤ技術のテストと開発を目的とした広範なパートナーシップの一環として、シリコンバレーを拠点に長距離トラックの自動運転技術を開発しているスタートアップ企業のKodiak Robotics(コディアック・ロボティクス)に、少数株主として出資することを発表した。

取引条件は明らかにされていないが、Kodiak Roboticsの共同設立者でCEOを務めるDon Burnette(ドン・バーネット)氏は、これは直接的な金銭出資であると、TechCrunchに語った。また、このパートナーシップの一環として、Bridgestone Americas, Inc.(ブリヂストン・アメリカス・インク、ブリヂストンの米国グループ会社)のCTOであるNizar Trigui(ニザール・トリギィ)氏が、オブザーバーとしてKodiakの取締役会に参加する。

この提携は単なる出資だけにとどまらない。両社はブリヂストンのタイヤ技術と車両運行管理システムの進化に焦点を当てた戦略的パートナーシップも締結している。Kodiakはテストプログラムの一環として、ダラスとヒューストン間の貨物輸送に使用される自動運転トラックに、ブリヂストンのセンサー付きタイヤと車両運行管理システムを使用する。同社は2021年5月、自動運転トラックによる貨物輸送をサンアントニオまで拡大すると発表。カリフォルニア州のマウンテンビュー周辺でも、自動運転トラックのテストを行っている。

年間10万から15万マイル(約16万〜24万km)の距離を走るセミトラックでは、タイヤを常にモニタリングしてその正常な状態を保つことが、トラック輸送の安全性には不可欠であるとバーネット氏は語り、それは人間が運転する場合でもコンピューターが運転する場合でも変わらないと付け加えた。

「自動運転システムの安全性は、最終的には、加速や減速、操舵の際に道路に接するタイヤを操作する能力にかかっています」と、バーネット氏は述べている。「タイヤが期待どおりの性能を発揮してくれると信頼できなければ、限界領域の安全性は必然的に保証されません」。

Kodiakはブリヂストンのスマートタイヤを使用して、空気圧や温度をモニターし、さらに車両の運動性や操縦性に影響を与えるホイールの負荷を測定する。Kodiakが収集したデータをブリヂストンと共有することで、ブリヂストンはタイヤの化学的特性を向上させるためにそれを利用することができる。だが、自動運転技術をてがける企業は、さらなる付加価値をタイヤメーカーにもたらすことができると、バーネット氏は強調する。Kodiakの自動運転トラックには独自のセンサーが搭載されており、タイヤがどのように使用されているかを正確に理解するための膨大な走行データを収集することができるのだ。

「Kodiakのような自動運転技術プロバイダーは、トラックがどのように運転されているかという生のデータをすべて持っています」と、バーネット氏はいう。「どのような力が発生し、どのように操舵され、どのくらいブレーキが踏まれたかということを、私たちはリアルタイムで把握しています。だから、これまでブリヂストンのような企業が集めることができなかった豊富なデータを収集することができるのです」。

これによりブリヂストンは、タイヤの最終的な寿命をより正確に予測できる予測モデルを構築することが可能になり、さらには路上でタイヤに問題が発生する可能性がある場合には警告を発することもできるようになる。「Kodiakが本当に興味を持っているのは、まさにそこなのです」と、バーネット氏は付け加えた。

今回のニュースに先立ち、Kodiakは2021年5月に、韓国の財閥であるSKグループと提携し、同社の自動運転技術をアジアで展開する可能性を検討していくと発表した。SKグループとの提携の最終的な目的は、Kodiakの自動運転技術を同地域で販売・流通させることにある。Kodiakは、人工知能マイクロプロセッサーや高度な緊急ブレーキシステムなど、SKグループが持つ製品、部品、技術を、自社の自動運転システムにどのように利用できるかを検討する。両社はまた、アジアの顧客向けに車両運行管理サービスを共同で提供することにも合意している。

関連記事
長距離トラックの中継輸送から無駄な時間をなくすBatonが11.5億円調達
自動運転技術のオーロラがボルボと提携、高速道路を自律走行するトラックの製造を目指す
ボルボとダイムラートラックが長距離トラック向け水素燃料電池生産で提携、合弁会社Cellcentric設立

カテゴリー:モビリティ
タグ:ブリヂストン自動運転トラックKodiak Robotics

画像クレジット:Kodiak Robotics

原文へ

(文:Kirsten Korosec、翻訳:Hirokazu Kusakabe)