Microsoft Power PlatformのアップデートはAIをビジネスユーザーに届ける

ローコード(コードをあまり書かないこと)とノーコード(コードを書かないこと)は業界の最新流行語だが、もしベンダーたちが機械学習モデルの構築のような難しいタスクによる障壁を、本当に抽象化して取り去ることができたならば、まだ今はほとんどのビジネスユーザーの手が届かない技術を主流にする役に立つことだろう。それこそがまさに、Microsoftが、本日(米国時間6月10日)発表された最新のPower Platformで目指していることだ。

同社は、昨年PowerAppsを発表したときに、ローコードの簡便さをアプリケーション開発に取り込もうとした。そして今回Microsoftは、PowerAppsとMicrosoft Flow、および新しいAI Builderツールを組み合わせることで、PowerAppsを使ってアプリを作る人びとが素早くインテリジェンスレイヤーを追加できるようにできると考えているのだ。

それはデータソースへのアクセスを得るところから始まるが、Data Connectorツールがユーザーに250種類以上のデータコネクターを提供する。これには、Salesforce、Oracle、そしてAdobeだけでなく、もちろんOffice 365やDynamics 365といったMicrosoftのサービスが含まれる。Power Platformマーケティング担当シニアディレクターのリチャード・ライリー(Richard Riley)氏は、これがデータをAI Builderに取り込むための基礎であると言う。

「AI Builderが行うのは、ユーザーのPowerAppsやMicrosoft Flow、Common Data Service、そしてユーザー自身のデータコネクターなどに、人工知能と機械学習を、ローコードもしくはノーコードの手軽さで取り込むことを可能にすることです」とライリー氏はTechCrunchに語った。

スクリーンショット:Microsoft提供

Microsoftのジェネラルマネージャであるチャールス・ラマーナ(Charles Lamanna)氏は、Microsoftはデータモデル構築のために必要な全ての分析と重労働を行うことが可能で、ビジネスユーザーが参入する際の大きな障壁を取り除くのだと言う「基本的なアイデアは、Common Data Serviceの中の任意のフィールドをユーザーが選択して、『このフィールドを予測したい』というだけで済むようにしようということです。そうして貰ったあと、私たちは同じテーブルもしくはエンティティの過去の記録を参照して、(結果を)予想するのです」と彼は説明した。例えばこれは、顧客がクレジットカードに申し込むかどうか、顧客が解約する可能性があるかどうか、あるいはローンが承認されるかどうかなどを予測するために使用できる。

この発表が行われたのは、SalesforceがTableauを160億ドル(約1兆7000億円)で買収したことを発表した日と同じであり、またGoogleがLookerを26億ドル(約2800億円)で買収した数日後である。そしてまたこの発表は、特に、視覚化するのかビジネスアプリケーションの内部で使うのかに関わらず、データを使える形で提供することで、ビジネスコンテキストの中で如何にパワフルになり得るかを示したものだ。

Microsoftは、AI Builderは誰もが使うようなものではないと認めているが、彼らが視野に入れているのは、これまで自力ではこの洗練レベルに手の届かなかったパワーユーザーである。山のように大量のコーディングをせずとも、アプリを構築しインテリジェンスレイヤーを追加することができるのだ。もしそれが宣伝どおりに機能するのなら、これまではデータサイエンティストの協力なしにはビジネスユーザーの手に届かなかったタスクを、ある程度簡単に行うことが可能になる。いずれにせよ、こうした動きの全てが指し示すことは、データがビジネスの中心になったということであり、ベンダーたちはそれを活用するために開発もしくは買収をしようとしているということだ。

Microsoft Power Apps update includes new Common Data Service

画像クレジット: Alice Mollon / Getty Images

[原文へ]

(翻訳:sako)

プログラミング不要、ドラッグ&ドロップでビジネスアプリケーションを作れるMicrosoftのPowerAppsツールが公開プレビュー

innovations

Microsoft PowerAppsを使えば、誰もがベーシックなビジネスアプリケーションを作れる。プログラミングの能力は、必要ない。そのアプリケーションは、Web上やモバイルで使える(後者はiOSやAndroid用のPowerAppsアプリを使う)。Microsoftはこのプロジェクトの最初の非公開プレビューを昨年11月に発表したが、今日から(米国時間4/29)は、誰もがそれを試用できる。

PowerAppsでアプリケーションを作ることはほとんど、ドラッグ&ドロップの作業だ。Web上のダッシュボードもあるが、アプリケーションのデザインはWindows 10のデスクトップアプリケーションで行う。

ビジネスの現場の(line-of-business, LOB)アプリケーションは、その多くがさまざまなデータソースに接続する。ありがたいことにMicrosoftの場合は、Excel, Office 365, SharePoint Online, OneDrive, Dynamics CRMといった自社製のツールに容易にアクセスできるだけでなく、Google Drive, Salesforce, Dropbox, Slack, Twitterなどのサードパーティ製ツールにもPowerAppsで作ったアプリケーションからアクセスできる。PowerAppsに統合されていないサービスへのアクセスが必要な場合でも、そのサービスがRESTfulなAPIを公開してれば大丈夫だ。

5c54a318-05e4-414c-a2e3-84982cf8ff3d

新規ユーザーの定着策としてMicrosoftは、二つのよくあるユースケースのための、テンプレートを数多く提供している。でも、新しいアプリケーションをまったくのゼロから作るのも、かなり簡単だ。Microsoftの宣伝コピーが言うほど、簡単ではないかもしれないけど。

download (1)

Microsoftが今週初めにひそかにリリースしたサービスMicrosoft Flowは、必要な処理の流れ(flow)に合わせて複数のアプリケーションをつなぐ役をする(例: 条件xのときAからBを起動する)。PowerAppsで作ったアプリケーションは、このFlowを使えるから、複雑なワークフローの自動化がある程度できる。

Flowは、類似のツールIFTTTやZapierに比べると、各種条件に応じてのアクションの呼び出しがより柔軟にできる。ただし、現状ではFlowに対応(Flowをサポート)しているサービスの数が少ない。今対応しているのはビジネスツールが多くて、Office 365, Dynamics CRM, Yammer, MailChimp, Slack, GitHub, SalesForceなどだが、FacebookやTwitterの標準的なアクションも呼び出せる。

[原文へ]
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa))

MicrosoftのPowerAppsを使えば社内の多様なモバイルビジネスアプリ/Webアプリケーションを社員自身が簡単に作れる

powerapps-on-any-device

【抄訳】
Microsoftが今日(米国時間11/30)立ち上げたPowerAppsサービスを使えば、企業のどんな社員でも、仕事用の簡単なモバイルアプリやWebアプリケーションを容易に作れる。そのためのセットアップは、IT部門が行う。今このサービスは、プレビューで提供されている。

Microsoftの企業アプリケーション担当VP Bill Staplesの説明によれば、今企業の社員たちはかつてなかったほど、どっぷりとモバイル化しているが、それでも仕事の多くはデスクトップでやっている。それは今モバイルでは、個人的な、あるいはコミュニケーションやコラボレーションのためのアプリは十分に発達していても、会社が毎日生成している業務データにアクセスして仕事をこなすためのビジネスアプリが、きわめて未発達だからだ。

“企業は、CRM(顧客関係管理)や旅行、HR(人事・給与管理)など特定のシナリオでは最近ますますクラウド上のSaaSを利用するようになっている。Microsoftにもそのための、Microsoft Dynamics、Concur、WorkdayといったSaaSアプリケーションがある。しかしこれら以外のビジネスアプリケーションのシナリオはほとんどオンプレミスに幽閉され、企業内LANに接続されたPCに依存している”、とStaplesはPowerAppsの発表声明で書いている。

またそのためのデータは社内のさまざまなシステムにばらばらに保存され、それらは一体的に接続も管理もされていない。いろんな部課等のいろんな業務がいろんなデータソースにアクセスしていろんなビジネスシナリオを日々こなしている。それらのひとつひとつをすべて、IT部門がアプリ化〜Webアプリケーション化してあげることなど、不可能である。それをやろうとしたら、デベロッパが何十人いても足りない。

そこで、PowerAppsの登場となる。ITがPowerAppsをセットアップして有効にしたら、ユーザはクラウドやオンプレミスのデータソースから自分のアプリへ必要なデータを取り出せる。またユーザはPowerApps上で自分のビジネスアプリを組み立てるために、Office 365やDynamics CRM、Salesforce、Dropbox、OneDrive、オンプレミスのデータベース(SharePoint, SQL Server, Oracle, SAPなどなど)にアクセスできる。

たとえばユーザのアプリがDropbox上のExcelファイルのデータを使うなら、PowerAppsは嬉々としてそんなシナリオを組み立てる。また、人事のチームが作ったカスタムアプリは、採用記録を調べることができ、営業はSalesforceなどから営業の現在進行中の過程や過去の履歴のデータを取り出せるだろう。

PowerAppsで作るアプリは、見やすくて使いやすいGUIで構成される。また基本的なテンプレートが数多く提供されているから、クリックして適切なものを選べばアプリを早く簡単に作れる。

そうやって作ったカスタムアプリは、iOSやAndroidやWindows Phone上、あるいはWeb上の、PowerAppsアプリから使う。同僚とアプリを共有するには、アプリのリンクを送るだけでよい。

一方、これらのアプリのデータアクセスは、会社のポリシーに基づいてIT部門が適切に管理できる。またデベロッパは、PowerAppsアプリからAzure App Serviceにアクセスして、モバイルアプリやWebアプリケーションを構築できる。

【中略】(課金方式は(公式には)未定)

unnamed (12)

このような簡易ビジネスアプリ構築サービスは、AppGyverのComposer 2など、ほかにもいろいろあるが、Microsoftはなんといっても知名度が高いし、しかも古くから多くの企業に営業的に食い込んでいる、という強みがある。

[原文へ]。
(翻訳:iwatani(a.k.a. hiwa)。