ホログラムに魅了された起業家は、ロナルド・レーガン記念図書館のバーチャルRonald Reagan(ロナルド・レーガン)元大統領のホログラム展示や、ナッシュビルで開催されたカントリーミュージックアワードにハリウッドにいるJimmy Kimmel(ジミー・キンメル)を転送させたあのイベントの次に、どんな出し物を見せてくれるのか。
その起業家が、PORTL Hologram(ポートル・ホログラム)の創設者David Nussbaum(デイビッド・ヌスバウム)氏ならば、次なる論理的なステップは、ホログラムによるコミュニケーションの楽しみを多くの人に届けるマシンの製造だ。
それが、著名なベンチャー投資家Tim Draper(ティム・ドレイパー)氏、元Electronic Arts(エレクトロニック・アーツ)の幹部Doug Barry(ダグ・バリー)氏、そして長年アワード・ショーのプロデューサーを務めてきたJoe Lewis(ジョー・ルイス)氏から同社が調達した300万ドル(約3億1300万円)のお陰で追求できる、ヌスバウム氏の目標だ。
バリー氏は支援者というだけでなく、同社初の最高執行責任者として取締役会に加わる。
この事業に対する彼の興味は、その多くが、トゥーパック・シャクール(2Pac)が死後にホログラムで出演したコーチュラ・フェスティバルに原点がある。
ヌスバウム氏は、あのイベントで生み出された興奮をビジネスに変えた。彼は、2Pacの復活パフォーマンスを実現させた特許を買い取り、そのテクノロジーを使って、ロンドン在住時にエクアドル大使館に身を寄せていたJulian Assange(ジュリアン・アサンジ)氏を呼び出したり、またしてもこの世を去ったスターたちのライブ(それにツアー)を行った。
その視覚効果は「ペッパーズ・ゴースト」のアップグレード版に過ぎない。John Pepper(ジョン・ペッパー)が19世紀にこの手法を発明して以来、映画業界もこのイリュージョンマジックを利用していた。
ヌスバウム氏によれば、PORTLはこれを大幅にアップグレードしたのだという。
そのプロジェクターは、昼夜を問わずいつでも映像を送ることができる。6万ドル(約630万円)と白い背景を用意できる人なら誰でも、PORTLのボックスの中のキャプチャースタジオから、世界中のどのポータルへも自分の姿を転送できる。
同社ではすでに100台を売り上げ、数十台がショッピングモール、空港、映画館のロビーなどに出荷されている。「私たちは数十台を製造し出荷しました」とヌスバウム氏はいう。
ひとつ上のレベルの迫真性を誇るホログラムのギミックだけでなく、これにはもうひとつ、インタラクティブ性というセールスポイントがある。スタジオの機材とPORTLのハードウェアを使えば、ユーザーはPORTLの周囲にいる人たちの声が聞こえて、返事もできる。
次なるトリックとしてPORTLは、このシステムのミニチュア版の開発を検討している。デスクトップパソコン程度のサイズで、ホログラムの録画ができ、PORTLデバイスを持っているあらゆる人に転送ができる。
「このミニ版は、コンテンツをキャプチャーして背景から自分の姿を浮き上がらせたロトスコープを作り、本物らしい立体感のある表示に欠かせないスタジオ効果を加え、好きな相手に転送するという、すべての機能を備えます」。
事業化するにあたっては、PORTLミニにはコミュニケーション機能の他に、録画した娯楽コンテンツも必要になるとヌスバウム氏は話す。
「ミニにはPleton(プレトン)やMirror(ミラー)のようなコンテンツがバンドルされます。非常に特別なタイプのコンテンツがバンドルされます。現在、私たちがポータルをバンドルしたい数多くの有名コンテンツのクリエイターたちと話をしているところですが、専用の独自コンテンツも制作します。……それらは月39〜49ドル(約4000〜5100円)でバンドルできる予定です」。
それが自身の狙いよりもずっと拡張性の高いビジョンであることを、ヌスバウム氏も認めている。このさらに野心的なビジョンを与えてくれた人物に、彼は感謝すべきだろう。それはンチャー投資家のドレイパー氏をおいて他にない。
「これを始めたときから、奇抜な会社になると私は感じていました」と彼は話す。「パンデミックが発生したとき、私たちがもっとがんばらなければならないことを、彼はわかっていました」。
カテゴリー:ハードウェア
タグ:PORTL Hologram、ホログラム、資金調達
画像クレジット:PORTL Hologram Co.
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(翻訳:金井哲夫)