トヨタ傘下のウーブン・プラネットが先進的な車両OS開発加速のため米Renovo Motorsを買収

トヨタ自動車の子会社であるWoven Planet Holdings(ウーブン・プラネット・ホールディングス)は、自動運転のような未来の交通技術への投資、開発、そして最終的には市場への投入を目指して、1年足らずで3件目の買収を行った。

今回の買収対象は、2015年にスタンフォード大学と共同開発した自動運転のデロリアンが自律的にドリフト走行をする動画を公開して大きな話題となった、シリコンバレーに拠点を置く自動車向けOS開発企業のRenovo Motors(レノボ・モーターズ)だ。買収の条件は公表されていない。Renovoはシリコンバレーのオフィスを維持し、1240人の従業員を持つウーブン・プラネットの事業に統合される。

ウーブン・プラネットは、2021年初めに高精度マップ生成スタートアップのCarmera(カーメラ)や、Lyft(リフト)の自律走行部門であるLevel 5(レベル5)を買収したが、Renovoを買収したのは、AVドリフトの技術のためではない。同社はRenovoの車両OSに興味があり、それが自社の取り組みを加速させるのに役立つかもしれないと考えているのだ。

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Renovoは、自動運転や地図、その他のモビリティサービスに関連するアプリを車内で動作させるためのOSを開発した。同社の「AWare OS」は、Google(グーグル)のAndroidが、スマートフォン市場でアプリ開発者がサービスを提供できるようにするのと同じような仕組みになっている。またある意味、Amazon Web Services(AWS)が提供するオンデマンドのクラウドコンピューティングプラットフォームと比較することもできる。このミドルウェアは、セキュリティを犠牲にすることなく柔軟に設計されており、他の企業がソフトウェアを展開するためのプラットフォームを提供する。

急成長し、今では統合されつつある自律走行車業界の中で、わずか30人の従業員を抱えるRenovoは小さな存在だった。しかし同社のOSは、Cruise(クルーズ)に買収されたVoyage(ヴォヤージュ)をはじめとする多くのAV開発者の注目を集めた。また、Verizon(ベライゾン)をはじめとする複数の投資家を惹きつけた。

Renovoの共同創業者兼CEOであるChris Heiser(クリス・ハイザー)氏は、最近のインタビューでこう語っていた。「Renovoが開発したIPは、自動車メーカーが将来やりたいことの中核をなすものだと認識されるようになってきたと思います。このような関係を構築し、どのようにして規模を拡大するのかを理解しようとしたとき、巨大な規模を実現するためには、自動車メーカーのリソースと後ろ盾を持ち、何百万台もの車を発売できるパートナーを見つけなければならないことが次第に明らかになりました」。

ウーブン・プラネットは、RenovoのOSを、2025年までに市場に投入する予定の自社のオープンな車両開発プラットフォーム「Arene」の商業化を支援する手段と考えている。

ウーブン・プラネット・ホールディングスは、トヨタ・リサーチ・インスティテュート・アドバンスト・デベロップメント(Toyota Research Institute – Advanced Development, Inc.、TRI-AD)を傘下に置き、投資部門であるウーブン・キャピタル(Woven Capital, L.P.)と、相互接続されたスマートシティの実験都市であるウーブン・シティ(Woven City)を運営している。トヨタ自動車は2月、富士山の麓に位置する裾野市の東富士工場跡地に着工した。

2021年初め、ウーブン・キャピタルは、8億ドル(約893億円)規模の戦略的ファンドを立ち上げるにあたり、自動運転配送車両のNuro(​​ニューロ)への投資を発表した。

画像クレジット:Renovo

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Aya Nakazato)