ScribdがLinkedInからプレゼンテーション共有サービスSlideShareを買収

SlideShare(スライドシェア)のオーナーが変わった。前オーナーのLinkedIn(リンクトイン)がこのプレゼンテーション共有サービスを非公開価格でScribd(スクリブド)に売却したのだ。

LinkedInによると、Scribdは9月24日にSlideShareビジネスの運営を引き継ぐ予定だ。

ScribdのCEOであるTrip Adler(トリップ・アドラー)氏は、2つの会社は非常に似たルーツを持っているという。2006年にSlideShare(未訳記事)を2007年にScribd(未訳記事)をTechCrunchで採り取り上げたことがあり、どちらもコンテンツとドキュメントの共有に重点を置いていた。

「2つのプロダクトは常に同じようなミッションを追っていました」とアドラー氏は語る。「両者の違いは、『SlideShare』はPowerPointプレゼンテーションとビジネスユーザーに重点を置いていた一方で、私たち『Scribd』はPDFとWordドキュメントと長文のコンテンツに注力し、一般消費者により重点を置いていたということでした」。

その後、両者の運命は分かれていく。2012年にSlideShareはLinkedInによって買収され2016年にはLinkedIn自身がMicrosoft(マイクロソフト)によって買収された(未訳記事)。

一方でScribdは、電子書籍とオーディオブック向けにNetflix(ネットフリックス)スタイルのサブスクリプションサービス(未訳記事)を開始した。しかしアドラー氏は「ユーザー生成の側面」と「プレミアムの側面」の両方が、ビジネスにおいて依然として重要であると語った。

「ドキュメントを探しにきてプレミアムコンテンツにサインアップする人たちを、私たちは獲得しています」と彼はいう。「しかし、そうした人たちも(無料の)ドキュメントは読み続けています」。

マイクロソフトとLinkedInが、SlideShareの買収についてScribdにアプローチしてきたとき、アドラー氏はそれをプロダクトのドキュメント側を劇的に拡大できる機会と捉えた。そのことでSlideShareに置かれた4000万個のプレゼンテーションコンテンツライブラリと、毎月1億人のユニークビジターが取り込めるのだ。

アドラー氏は今回の買収について、基本的にはSlideShareの「コンテンツとオーディエンス」を獲得するためだが、さらにScribdが組み込むことができる、サービスのテクノロジーの側面もあるかもしれないと述べている。Scribdはこの買収にともなう新規採用は行わない。その代わりに既存のチームが引き続きSlideShareの運用を担当する。

アドラー氏はSlideShareはScribdとは別のスタンドアロンサービスとして引き続き運営されると述べ、この先もLinkedInと十分に統合され続けることを期待していると付け加えた。

「最初の数カ月は何も変化しません」とアドラー氏はいう。「私たちは、テクノロジーの側面と、コンテンツをアップロードするユーザーの側面とで、このようなプロダクトに関して多くの経験を持っています。私たちは、SlideShareを本当に成功させることができる良い位置にいるのです」。

一方、LinkedInのエンジニアリング担当副社長であるChris Pruett(クリス・プルエット)氏の声明は、買収以来、SlideShareに対して同社が行ってきた作業を強調したものだった。

LinkedInが2012年5月にSlideShareを買収したのは、専門家同士がLinkedInを人脈を作る以上の目的に利用していることが明らかになってきたタイミングでした。過去8年間にわたってSlideShareチーム、プロダクトおよびコミュニティは、LinkedIn上のコンテンツエクスペリエンスの形成に貢献してきました。そしてLinkedIn上でドキュメントをアップロード、共有、およびディスカッションする機能を組み込みました。

関連記事:Scribd raises $58M for subscription e-books and audiobooks(未訳記事)

画像クレジット:Scribd

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(翻訳:sako)

オンラインプレゼンテーション作成・共有ツールのSlides

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ミーティングがなくなることは恐らく決してないだろう – それに伴いプレゼンテーションがなくなることも。しかし、プレゼンテーションを作るためのこれまでのやり方は、少々時代遅れなものになっている。PowerPointなどのツールは定期的なアップデートを繰り返しているが、それらはプレゼンテーションに対するある種の簡潔さに欠けている。

それこそが、Owen BossolaとHakim El Hattabの2人が、スライドショープレゼンテーションの作成、表示、コラボレーションのためのオンラインサービスであるSlidesを始めることに決めた理由である。Slidesの目標は、世の中に散在するPowerPointやSlideShareといったプレゼンテーション管理サービスの、最も優れた部分を取り入れて、1つのシームレスな使い勝手を提供することだ。

「ビジュアルストーリーの需要は常にあります、そしてSlidesのコアはビジュアルストーリーツールなのです」とEl Hattabは語った。「たぶん、Slackを使ったもっと効率的なコミュニケーションも可能でしょう、しかしセールスやマーケティングや教育の場には、プレゼンテーションソフトウェアを必要とするユースケースが存在しています。人々はそれぞれが異なるやり方でプレゼンテーションを行います。私たちはそれら全てに取り組みたいのです」。

スライド作成の使い勝手は、あなたが期待するやりかたにほぼ沿っている。他の多くの作成ツールの中にも存在する各種機能を見つけることができるだろう、そして作成後、ユーザーはプレゼンテーションへのリンクを共有することが可能で、ミーティングの最中にリアルタイムにそれらを広げて見せることが可能だ。また限定的なコメント機能もサービスには組み込まれているが、現段階ではまだ実験的なものだ。これはBossolaとEl Hattabが、機能を急激に膨らませることは避けたいと考えているためだ。

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スライドショーを行う者は、プレゼンテーション内に他のサービスからのコンテンツを埋め込むこともできる。すべてがオンラインで閲覧されていて、したがって、すべてのものがWeb上でレンダリングされているので、込み入ったPDFファイルや3Dビジュアルをダウンロードすることに比べて複雑なビジュアルのレンダリングも、よりシームレスなものになり得る。

オンラインですべてをレンダリングすることには別の利点もある:任意のデバイス上で閲覧することができるということだ。こうすれば、実際にその場にいなくても、電話やタブレットを使ったカンファレンスコールを通して、リアルタイムに遠隔からプレゼンテーションを見ることができるようになる。プレゼンターがスライドをめくれば、遠隔のデバイス上でも同じことが起きる。

こしたことがすべてSlidesの中で行うことができる、なぜならプレゼンテーションをより柔軟にすることに彼らはアプローチしているからだ。作成ツールの使い勝手は他の標準的なツールに比べて遜色ないものである(むしろ既存のものよりも幾分巧妙にも見える)、例えばカラースキームを変更する機能はテキストが暗い背景の中に沈んでしまわないようにしている。オブジェクトはグリッドに自動整列し、外部からのコンテンツの取り込みも容易で、事前に用意されたテンプレートにアクセスすることもできる ‐ それらが同社によって作られたものか、あるいは同社によって提供されるストックスライドであるかは問わない。

プレゼンターはまた、自分の携帯電話をクリックを行いノートを書き込むアプリケーションで使うことが可能で、スライドを先に進めたり、スライドのノートを参照したりすることができる。このツールは – 開発者にとってもとても柔軟なものだが ‐ 明らかにマーケティングを行うひとやプレゼンテーションをまとめ上げる必要のあるひとを狙っていて、その全てのプロセスを可能な限りシームレスなものにしようと努力している。当然のことながら、このための大きな市場が存在している(もしそれがなければPowerPointのような巨大なアプリケーションが定期的な更新を行うことはない)。

「私たちのフォーマットは、その終端は結局ウェブサイトなので、あなたはプレゼンテーションのためのウェブサイトを持っていることになります」とBossolaは言う。「そのウェブサイトの中で、あなたはウェブサイトに含めることができるものは何でも含めることができます。こうした特定の機能の中で、数式を書くのにテキストを使うひとたちが教育現場には沢山います。ウェブベースですので、私たちは即座に柔軟に対応することができるのです」。

明らかな適用シーンが存在している。大学でプレゼンテーションをする際に、この種のツールがあると素晴らしい。例えば、他のツールを求めてウェブをさまよったり、学校のPowerPointライセンスを扱ったりする必要がなくなるからだ。しかしこの先Slidesの主要な顧客は、常に魅力的なプレゼンテーションを作るために良いツールを必要としている、企業のより大きなマーケティング部門になるだろう。

Slidesは、実際にはEl Hattabが長い時間をかけて開発して来た、オープンソースソフトウェア技術の上に構築されている。開発者たちは、プレゼンテーションを作成するためにそのツールを使用していたものの、手作業でコードを書く必要があった。El HattabとBossolaはそこに会社設立の可能性があることに気付いた。同社はこれからも、そのオープンソース資源に貢献するだけでなく、バグやセキュリティ修正などのコミュニティから来る新しいツールコンポーネントを取り込んで、そのサービスを更新していく予定だ。オープンソースソフトウェアの上に会社を構築するリスクは常に存在するが、El Hattabによれば、それは同社のDNAの一部であって、Automatticのような成功例もたくさんあるということだ。

さて当然ながら競合もいる、例えばBunkrSwipeといった会社だ 。Slidesチームはコンテンツ開発という意味ではとても長い歴史を持っている、Bossolaは以前Thrillistで働いたことがあり、El Hattabはデジタル制作会社からやって来た。希望として、もし同社がそのツールをシンプルで、柔軟で、可能な限り広い範囲に適用できるもに保ち続けることができるなら、最終的にPowerPointキラーを彼ら自身の手に持つことになるだろう。

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(翻訳:Sako)