Facebookには独自の祝日ができたようだ。2月4日はこのソーシャル・ネットワークの12歳の誕生日を祝って フレンズデーと呼ばれる。しかしいかにもザッカーバーグらしく、Facebookのファウンダーは「われわれの誕生日だからといってFacebookにばかり注目するのではなく、世界にとって重要なことにもっと関心を持つ必要がある」と述べた。重要なことといえば、たとえばFacebookのユーザーだろう。
ともあれ、Facebookはフレンズデーを記念してユーザーに本人や友達が写っている写真のカード方式のビデオを贈った。 昨年12月に配布された今年のまとめビデオと同様、不都合な点があればユーザーが編集してから共有できるようになっている。フレンズデー用のステッカーも作成された。
フレンズデー・ビデオの一例
Facebookでは「このビデオが世界の人々のつながりを一層深めるために役立つ」ことを大いに期待している。2011年の7億5000万人から2015年の15億9000万人へとFacebookのユーザーは文字通り倍増している。しかし本当に重要なのはユーザー数の拡大よりユーザー同士のつながりの深化だ。つまり、ケビン・ベーコン数として有名になった人間のつながりの数値化を用いれば、Facebookメンバー間の隔たりは、2011年に3.74次の距離だったものが、現在は 3.57次へと減少している。
ケビン・ベーコン数はちょっとした遊びのように思われるかもしれないが、Facebookの規模を考えれば、これは驚くべき変化だ。Facebookは電話帳さえ時代遅れにしようと努力中だ。世界中の人々はFacebook Messengerさえあれば、いつ、どこにいても即座にコンタクトできるというわけだ。
Facebookでは公式の誕生日に先立ってメンローパークの本社で内輪のパーティーを開いていた。そこにはサウジアラビア、ハンガリーやアメリカのルイジアナ州などから18人のユーザーが招かれ、Facebook がそれぞれの生活をどれほど変えたかを語り合った。
なるほど、たいへん有意義なパーティーだったようだ。
しかしこうしたことすべて―ユーザー数や売上その他の数字(いずれも驚くほど大きい)―よりもこの1年のFacebookにとって重要だったのはスティッキネス〔忠実度係数〕の向上だろう。これは一日あたりアクティブ・ユーザー数(DAU)と1月あたりアクティブ・ユーザー数(MAU)の比率だ。
つまりこういうことになる。DAUはもちろん重要な数字だ。しかし月に1度、5分ほどFacebookを訪問するだけでもMAUにはユーザー1人分としてカウントされてしまう。膨大な機能があり、なにか起きるたびに無数の通知を送り出しているFacebookのようなサービスにとってはクリアするのが容易すぎるハードルといえる。一方、DAUはもっと正確にサービスの現状を教えてくれる。しかしDAUの増加はサービスの全体としての健全さやユーザーの関心度は教えてくれない。
FacebookのフレンズデーCM
これに対して、DAUをMAUで割った値は月あたりアクティブ・ユーザーのうち、どれほどのユーザーが毎日サービスを訪問しているかというパーセンテージを教えてくれる。これが一般にstickiness〔忠実度〕と呼ばれる係数だ。この数値がアップしているならサービスへのユーザーの関心もアップしていると考えていいだろう。数値が減少しているなら、ユーザーは今でもサイトを訪問しはするが、あまりクールなサービスとは思わなくなっており、関心は薄れつつある。
Facebookが12歳を迎えた現在、われわれは「Facebookは若者にとってクールじゃなくなった」という憶測や逸話を山のように聞かされている。それなら忠実度係数は減少しているはずだ。
ところが事実はそうなっていない。ユーザーの忠実度は2013年の62%から現在の65%へとアップしている。さらにアメリカとカナダの主要地域ではさらに高く、73.1%から77.1%にアップしている。Facebookのユーザーは以前よりもさらに頻繁にFacebookを利用するようになっている。Facebookにとって真に祝うべき価値があるのはこの点だ。
[原文へ]
(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)