社内SNS「Talknote」に新機能――定期的なタスクの自動生成、リマインドの自動化

社内SNS「Talknote」を提供するトークノートは4月25日、定期的なタスクの自動生成とリマインドの自動化などができる新機能「Taskbot」をリリースすると発表した。

Talknoteは、社内のコミュニケーションを円滑化させるために開発された社内SNSだ。これまでに2万社以上の企業が同ツールを導入している。SlackChatWorkなどと同類のサービスに括られるが、それらと比較したTalknoteの特徴は、非エンジニア職のユーザーにも受け入れられやすいシンプルなデザイン(LINEでもお馴染みのスタンプも使えたりする)や、2017年1月にリリースした「オーバーワーク検知」機能など、単なるコミュニケーション機能だけではなく、組織の健康管理機能まで備えていることなどが挙げられる。

Talknoteの料金プランは2種類。社員1人あたり月額980円の「レギュラー」と、シングルサインオンに対応した月額1980円の「プラス」だ。

定期的なタスクを自動生成

そんなTalknoteに今回追加された新機能「Taskbot」は、日次、週次、月次というように定期的に発生する業務の依頼、提出物回収のためのリマインドなどを自動化する機能だ(最近、〇〇botというとチャットボットを連想しがちだが、この機能はそうではない)。

具体的には、あらかじめ設定したタイミングで継続的にタスクを自動生成する機能、タスクが完了するまで自動的に継続リマインドをする機能、長時間労働の抑制のために毎日決まった時間に注意喚起のメッセージを送る機能がある。

従来のTalknoteにもタスク管理機能は備わっていたが、それは人間が自分の手でタスクを入力するものだった。それをTaskbotが代わりに行うかたちだ。

群雄割拠の時代

今や、社内コミュニケーションツール業界は群雄割拠の時代。SlackYammerHipChatなどの海外勢、そしてChatWorkWantedly Chatなどの国内勢が凌ぎを削る激戦区だ。社内のコミュニケーションには”ノーマルSNS”のFacebook Messengerなどを利用しているという企業もいるだろう。

Talknoteはこの時代をどう生き残るのか。トークノート代表の小池温男氏は「Talknoteを利用するユーザーの大半は、社員数が10〜500人の企業。500人以上の社員を抱える企業はTalknoteユーザー全体のわずか0.3%です。企業は10人以上の社員を抱えると組織内でコミュニケーションに関する問題が発生しがちになり、その解決策としてTalknoteを利用して頂いています。そのユーザー層に発生するさまざまな組織問題にフォーカスし、それを解決できるような機能を追加していきます」と語る。

ちなみに、Talknoteユーザーの大半は”非IT”企業なのだという。やはりエンジニア職以外の人々にも受け入れられやすいシンプルなデザインがその要因となっているのだろう。

きっかけは「トイレ」

前述したように、Talknoteにはコミュニケーション機能だけでなく組織の健康管理機能も備えられている。これが他のツールとの差別化要因にもなっているわけだが、小池氏によれば、この機能は彼がたまたまテレビで見かけたトイレが発想のきっかけだったという。

「(そのTV番組では)まったく新しいトイレの開発を目指す企業が紹介されていました。毎日座って用を足すだけで、尿を自動的に検査してユーザーの健康状態を把握できるトイレです。それを見て、毎日利用するTalknoteで組織の健康状態を把握できるのではないかと考えたのです」と小池氏は語る。

ただ、そのような健康管理機能をワークさせるためには、文字通り毎日ユーザーにTalknoteを使ってもらい、日々のデータを集める必要がある。そのため、同ツールを導入する際には、社員に他のツールを使うのをやめてもらい、すべてのコミュニケーションをTalknoteに集約するのが前提なのだという。逆に言えば、集約してもらうからには、ユーザーのニーズを満たす新しい機能を次々に追加し、必要なコミュニケーションをTalknote内で完結できるようにすることが重要になる。

小池氏は今後も新機能の開発にフォーカスしていくとした上で、「詳しくはまだ話せないが、向こう半年以内には次の新機能を発表できると思う」とTechCrunch Japanに語った。

社内SNSのTalknoteを中学・高等学校が導入、SNS利用のトラブル防止を評価

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「『いい会社』をつくる」がコンセプトの社内SNS「Talknote」。ビジネスでの利用が中心のこのサービスが「『いい学校』をつくる」ための試みを開始した。

Talknoteをテスト導入するのは、東京都・武蔵野市の聖徳学園中学・高等学校だ。ICT教育を積極的に推進している同校は、2015年12月よりTalknoteのテスト導入を開始。一定の成果が得られたことから本格導入に乗り出すことをあきらかにした。これまでも教育現場での導入実績はあったが、全面導入は初の事例となる。

教育現場へTalknote導入するのは、「ICT教育の推進」といった目的に限らない。今回の事例に関して言えば、「SNSを利用したいじめや犯罪などのトラブルを未然に防ぎたいという学校側の意図もあった」とトークノートの関係者は語る。そして、そのための機能こそがTalknoteの強みであり、「Slack」や「ChatWork」といった競合他社のツールとの違いであると、トークノート代表の小池温男氏はTechCrunch Japanの取材に対して語った。

「Talknoteは、社員満足度を高めることを最大の目的としている。たとえば、気持よく仕事ができているか、体調を崩していないかなど、『具合が悪い社員』を出さないような努力を企業はすべきだと考えている。そのための仕組みがTalknoteにはある。具体的には、『毎朝9:00にログインしているのに今朝は10:00にログインした』『普段は頻繁に投稿するのに今週は投稿数が極端に減った』といった社員のアクションの変化を、Talknoteは管理者にアラートで教えてくれる」(小池氏)

こういった「アクションの変化」を見逃すことなく、具合が悪い社員を出さない仕組みが、今回の学校側の「SNSを利用したいじめや犯罪などのトラブルを未然に防ぎたい」というニーズと合致した形だ。

Talknoteの導入企業数は右肩上がりで成長している。2015年12月時点では2万1515社。導入企業の業界・規模は飲食から通信・情報サービス、不動産、広告・Webマーケティング、小売、Web・映像制作、人材、コンサルティング、セールスプロモーション、製造業、学習塾、通販など幅広い。企業ごとのアカウント数は数人~1000人以上と幅広い。

「Talknote」導入企業数の推移

「Talknote」導入企業数の推移

Talknoteに限らず、コミュニケーションツールは利用人数が多いほどその恩恵を受けやすい。「塚田農場」や「四十八漁場」などの飲食店を運営するエー・ピーカンパニーでは、1000名を超える全社員がTalknoteを活用している。課題のひとつに、「食材(魚種)が多過ぎて特徴が覚えきれない」ことがあった。しかし、現地の漁師から店舗スタッフまですべての人で情報を共有する「産地共有ノート」というグループを作成。商品知識向上の目的を達成したという。

また、2016年3月にはいわゆる「スタンプ機能」を追加した。

「リリースした3月以降、Talknote上のメッセージ総数は増加傾向にある。今までの新規機能利用率と比べても、初動活性化が早かった印象だ。また、オリジナルスタンプを作りたいというニーズも増えており、実際に導入も進んでいる」(Talknote広報)

同社では、今後も必要に応じてTalknoteに機能を追加していくという。最後に、中・長期的な目標を小池氏に語ってもらった。

「将来的には、あらゆる企業・団体でTalknoteが導入されているというのが理想。社内SNSを含め、コミュニケーションツールはひとつの勝者に収れんしていくというのが一般的な見方だが、それは間違い。B2C向けコミュニケーションツールに目を向ければそれは明らかだ。Facebookを使う人もいればLINEやSkypeを使う人もいる。目的が異なれば使うべきツールも違ってくる。事実、弊社のクライアントの中にもツールを併用している企業がある」(小池氏)

SlackやChatWorkといったB2B向けコミュニケーションツールとのすみ分けを図りながら共存していくというTalknoteの戦略が、小池氏の言葉から浮かび上がってくる。