米宇宙軍が「マンダロリアン」制作のVFXスタジオに没入型のトレーニングツールを発注

米宇宙軍(U.S. Space Force)は、所属隊員のほとんどを実際の宇宙で訓練することはできない。そこで米国防軍の比較的新しい部門である同軍は、Slingshot AerospaceにThe Third Floorと協力してVR空間のシミュレーションを作るよう依頼した。

Slingshot Aerospaceは、航空宇宙と地上情報の両方に関連するデータ分析、ツール、コンピュータビジョンを提供している企業。The Third FloorはハリウッドのVFX会社で、Gravity(ゼロ・グラビティ)、The Martian(オデッセイ)、The Mandalorian(マンダロリアン)などの大ヒット作に取り組んでいた企業だ。両社の目標は、現実世界の物理現象を再現できるシミュレーターを生成し、米宇宙軍のインタラクティブなトレーニング機能を提供すること。

Slingshot Aerospaceは、宇宙軍自身からの100万ドル(約1億500万円)の契約とATX Venture Partnersからの100万ドルの資金提供を含め、合計で200万ドルをこのシミュレーターの開発に向けて確保している。最終的な成果物はSlingshot Orbital Laboratory(スリングショット軌道研究所)と呼ばれ、宇宙軍のメンバーに宇宙空間という特殊な場所で、物体や宇宙船がどのように動作し、どのように振る舞うのかをより深く理解してもらうために使用される予定だ。

米国空軍国家安全保障宇宙研究所のMax Lantz(マックス・ランツ)中佐はリリースで「宇宙飛行士は、宇宙力学、軌道上のさまざまな物体の影響、宇宙空間での他の物体間での宇宙船の操縦方法などの複雑な概念を理解する必要がありますが、これらはすべて現在使用しているものよりも、より適応性が高くインタラクティブで、カスタマイズ可能な教育ツールが必要です。これらの基礎理論の理解を深めるための没入型の環境を構築することは、宇宙軍をサポートするために不可欠です」とコメントしている、

Slinghot Aerospaceは、このプロジェクトでシステムのすべての情報学的コンポーネントを扱う。一方The Third Floorは、没入型のビジュアル作成を担当する。同研究所は、あらゆるレベルの教育と技術的理解を持つサービスメンバーが利用できる最終製品を作成することを目標に、使いやすいツールの開発を目指している。

この発表でEnderのGame Battle Roomの雰囲気を感じた人はいるだろうか?

カテゴリー:宇宙
タグ:米宇宙軍、U.S. Space Force、マンダロリアン

画像クレジット:Warner Bros.

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(翻訳:TechCrunch Japan)

米宇宙軍のスペース・フェンス衛星追跡システムが正式運用開始

米国宇宙軍は新しい軍だが、そのリソースの中にはすでに稼働しているものがある。USSF(米国宇宙軍)は先週後半、スペース・フェンスと呼ばれるレーダーシステムが正式に運用可能になったことを発表した。ちょっと奇抜な呼び方だが「スペース・フェンス」というのが間違いなく正式な名称だ。スペース・フェンスはレーダーシステムで商用衛星、軍事衛星、宇宙ゴミなど軌道上の物体を精密にモニターする。

スペース・フェンスの主要システムは太平洋のマーシャル諸島にあるクェゼリン環礁に置かれ、現在、「初期運用・システム受け入れ」の段階にある。現行の宇宙監視ネットワーク(SSN)は2万6000個の軌道上物体を追跡しているが、新しいスペース・フェンスは独自の機能追加によりSSNのモニター能力を大きく拡大するとUSSFは期待している。

地球低軌道上の物体を詳細に追跡するためにロッキード・マーティンが開発したレーダーシステムは、最終的にはビー玉サイズの物体を認識できるようになるという。このレベルの観測能力があれば、軌道上にあるほとんどの物体のカタログを作ることができる。これには観測衛星、通信生成、軍事衛星(可能なものも含む)などあらゆる軌道上のアイテムが含まれるはずだ。

状況を正確に把握することは、軍にとって作戦を成功させるためのカギとなる。スペース・フェンスが正式に稼働することは宇宙軍にとって大きな一歩となる。先週、宇宙軍として最初の衛星打ち上げが行われた。これは米国軍の作戦にミリ波帯域で安全性の高いコミュニケーションを提供する先進EHF通信衛星システムを構成する衛星の6基目だった。

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ULA初の米宇宙軍向けロケット打ち上げをライブ配信

United Launch Alliance(ユナイテッド・ローンチ・アライアンス、ULA)は米国時間3月26日のミッションで、米宇宙軍のために特別な機密通信衛星を打ち上げる。これは昨年正式に発足した米軍の新たな宇宙部門で、現政権は宇宙における米国の資産を適切に保護する必要性が高まっていると主張している。

打ち上げはフロリダ州ケープ・カナベラルから実施され、打ち上げ時刻は米国東部夏時間で午後2時57分(日本時間3月27日午前3時57分)に設定されている。衛星を搭載するロケットはアトラスVで、3月26日の朝の時点では天候やシステムチェックの結果に問題はなかった。

これは、米軍向けに打ち上げられる6機目の超高周波(AEHF)衛星だが、宇宙軍が正式に発足したのはつい昨年なので、これまでの5機はすべて米空軍のもとに配備されている。最初の5機の衛星は2010年から2019年の間に打ち上げられ、6機の衛星は連携して空、陸、海を越えた軍事作戦にセキュアな通信機能を提供する、コンステレーションを形成することになる。

これはアトラスVにとって83回目の打ち上げとなり、この機体構成では11回目の打ち上げとなる。ULAはBoeing(ボーイング)とLockheed Martin(ロッキード・マーチン)が共同で設立した合弁会社で、現在のミッション成功率は100%となり、これまでに133回の打ち上げを実施している。

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(翻訳:塚本直樹 Twitter