Faceook(フェイスブック)やApple(アップル)が複合現実型ヘッドセットの導入を計画するなど、コンシューマー向けウェブの3D化を推し進めている一方で、世の中のウェブコンテンツのほとんどは、いまだに2Dのままだ。3Dコンテンツが存在する、完全に別世界の「メタバース」を推し進める人もいるが、現在のユーザーがいる場所にリソースを投資したいと考えている既存のウェブプラットフォームにとって、それは難しいことだろう。
VNTANA(ヴィンタナ)は、コンテンツ管理システムを構築しており、eコマースの小売業者がサイト上で商品をきれいな3Dで紹介するのを支援するとともに、ユーザーが拡張現実でモノを見たり、バーチャルで商品を試着したりできるようにしている。2012年に設立されたVNTANAは、長年にわたり3Dコンテンツに注力してきたが、パンデミック前のライブイベントにホログラムを導入することから、今ではウェブ上の店頭に3Dコンテンツを導入することへシフトしてきた。
「消費者が意味のある方法で製品に関わることができるような、インタラクティブな方法を作ることが常に目的でした」とCEOのAshley Crowder(アシュリー・クラウダー)氏は述べている。
同社は、シリーズAで1250万ドル(約14億2200万円)の資金を複数回にわたって調達したとTechCrunchに報告している。このスタートアップの最新の資金調達の支援者には、Mark Cuban(マーク・キューバン)氏、Oculus(オキュラス)の前CEO、Brendan Iribe(ブレンダン・アイラブ)、Flexport(フレックスポート)、Anorak Ventures(アノラック・ベンチャーズ)などが含まれている。同社は、2019年に600万ドル(約6億8200万円)のシードラウンドを発表している。
同スタートアップのソフトウェア式には、大容量の3Dファイルを最適化して読み込み時間を短縮し、消費者が新製品をあらゆる角度から見ることができるようにする製品や、eコマースプラットフォームがすでに所有している3Dファイルを活用して、2Dのデジタルレンダリングによるショールーム画像や動画を作成し、マーケティングにかかる時間と費用を節約できるようにする製品が含まれている。また、同社は最近、卸売り管理プラットフォームのJoor(ジョア)やソフトウェアメーカーのPTCと提携し、事業拡大を図っている。
消費者は、同社のソフトウェアを利用することで、購入前に拡張現実(AR)を使って、実際の空間での商品の大きさや外観を確認することができ、返品の減少にもつながると、クラウダー氏は述べている。
Apple、Google、Facebookなどから大きな発表があったにもかかわらず、拡張現実を開発する機会というのは、数年前に関心が高まったときに多くの投資家が予想したよりも限られていた。しかし、VNTANAのような企業は、3Dコンテンツを利用した体験を提供することで、eコマースの小売業者が抱える既存の問題を解決するとともに、AR/VRの未来に向けた準備を整えている。
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(文:Lucas Matney、Akihito Mizukoshi)