新しい特許がAmazonに許諾された。実在店舗内で買い物客たちによる商品価格比較を阻止するためのテクノロジーに関する特許だ。その通り。この実店舗の「ショールーム化」を妨害できる新しい特許が、よりにもよってAmazonの手に入ったのだ。そもそもAmazonは、消費者たちがオンラインで購入を決意する前に、実店舗で実際の品物を確かめた上で、Amazon.comでより安く購入することで、利益を得てきたその当事者なのだ。
もちろんAmazonのCEO Jeff Bezosは、2012年にこの「反ショールーム化特許」を申請したときには既に、Amazonがいつか実店舗を持ち、自身のためにそのテクノロジーが必要になることを見越していたと考えることもできる。
しかし、そうではなく、他の実店舗たちがその店舗内でAmazonでの価格チェックを阻止しようとする動きに、Amazonが法的に対抗できるようにしたと考える方が合理的だ。
「 Physical Store Online Shopping Control(実店舗内オンラインショッピング制御)」と呼ばれるこの特許は、 物理的実店舗内のWi-Fiネットワークが、価格比較に関連する要求であると思われる検索クエリをインターセプトし、それに対応したアクションをとるというシナリオを想定している。
最も極端な対応は、リクエストを完全にブロックしてしまい、店舗内の買い物客が価格チェックを行なうことを阻止してしまうというものだ。
これが今やAmazonの所有するテクノロジーであることはとても奇妙だ。結局のところ、価格の比較はAmazonが何年も推奨してきたもので、2010年には価格チェックアプリ(米国内専用)さえ提供したのだから。
もちろん、アマゾンは今や物理的な小売業者でもあるため、ショールーム化の反対側の立場にいることに気が付いたのかもしれない。同社は現在、実店舗の書店、Amazon Goブランドの名前で展開するキャッシュレスコンビニエンスストア、そして…食料品チェーンのWhole Foodsを137億ドルで買ったばかりだ。
しかし、この「反ショールーム化」特許には、より探究する価値のある他の側面もある。
実は価格比較を阻止することは、小売業者が特許に記載された技術を実装するときにできることの1つに過ぎないのだ。特許の記述によれば、小売業者は例えば、対抗価格を提示したり、クーポンを発行してインセンティブを与えたり、関連商品の情報を返したり、さらには買い物客のところに担当者を向かわせることさえ可能だ。
Amazonも、いつか自分の店のショールーム化に対抗する必要が出てくるかもしれないが、店舗の通路に立ちながら購入を検討している買い物客を特定することの方が、おそらく2017年においては大切なことだろう。
例えば、買物客がAmazonのFire Tablet展示の前に立ちながら、最新のiPadに関する情報をググっていたとする。Amazonはこの特許の技術を使用して、こうしたシナリオ特定したいはずだ。また同時に、小売業者に買い物客が店内のどの位置にいるかを教えることもできる。セールス担当者が消費者のもとに赴き、意思決定を助けたり質問に答えたりすることができるだろう。または、おそらく、人間の仕事を排除したいAmazonの願望を考慮するなら、人間の代わりに仮想ヘルプを使用して、そうした質問に答えることもできるだろう(特許では顧客にプッシュ通知を送信できることも説明されている)。
買い物客の店内の場所を知ることで、顧客のモバイルデバイスにターゲットを絞り込んだオファーを送ることも可能だ。さらには、近くにあるアイテムに限ったものではなく、パーソナライズされたものにすることもできる。特許は、過去の購入履歴のような情報に基づいて、顧客の関心事の履歴情報を集める手段について説明している。そしてオファーを送信するなどの先取り行動についても述べている。
いずれにしても、ここに述べたことは予想にすぎないし、Amazonがどの程度これらを適用するつもりなのか(そもそも使うつもりがあるのか)は実際に行うまでよくわからない。大規模なテクノロジー企業は、常に特許技術を取得し続けている。将来的に実際展開する可能性のある領域を示すものもあれば、競合他社の行動に対して自分たちの立場を守るためのものもある。Amazonは、この特定のテクノロジーに関する計画を、まだ具体的には策定していない。
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(翻訳:Sako)