再生可能エネルギーサービス会社のArcadia Powerは、全米の賃借人たちに再生可能エネルギーの購入を可能にする、新しいサービスを発表した。
これは、カーボンオフセットプロバイダーでありロードマネジメントとして電力会社と協業していた同社にとっては、再生エネルギープロジェクトの開発運営会社へ向けての重要な一步である。そして、これは潜在的に再生可能エネルギー運動のゲームチェンジャー(これまでのやり方を変えてしまう存在)なのだ。
少し分かりにくいと思うので、この話をもう少し解説しよう。この発表以前には、Arcadiaは顧客のエネルギー利用を、同量の再生エネルギープロジェクト(主に風力発電)に投資することによって、カーボンオフセットを行うサービスを提供していた。
現在同社は、さまざまな電力会社たちとの提携と、プロジェクトデベロッパとしてのポジションを利用して、プロジェクトの小さなグループを集め、そこを通して全国のソーラーをインストールしたくてもできない人たちのために再生可能エネルギー投資を提供しようとしている。
Arcadiaのロジックは単純だ。持続可能エネルギーに投資したいと思っているものの、その手段を持つことができない、多くの賃借人あるいは非住宅所有者がいるということである。
「それが私たちがやろうとしていることを支える、最も重要な部分の1つなのです」とArcadia PowerのCEOであるKiran Bhatrajuは語った。「アメリカ人の大多数は、ルーフトップソーラーを実施できません。アメリカ人のおよそ8パーセントだけが可能なのです」。
多くの人びとは、複数の賃貸物件の入っている建物に住んでいて、自由にソーラーパネルを設置できないので、ソーラープロジェクトに対する直接的な投資を阻まれている。
Arcadiaを使うことによって、こうした環境指向の消費者は米国全土のプロジェクトに投資し、あたかも自分の家から得られたかのように生成エネルギーから得られた収益を手にすることができる。
「私たちは、過去数年に渡って、顧客の電力請求書にクレジットを戻すことのできる技術を開発してきました」とBhatrajuは語る。「私たちはリモートで、顧客を分散型発電資産に接続することができるのです。そしてソーラーが電気を生み出したら、局所的に集められたその代金を広く分配することができるのです」。
Arcadiaの現在のプロジェクトは巨大なものではないが、商業顧客や政府機関が彼らの主張が受け入れられることを証明している ‐ 賃借人に再生可能エネルギー発電を提供すれば – 彼らは購入するのだ。
同社は、消費者たちは再生可能エネルギー発電のための意志がありながら、まだ太陽光発電への切り替えを行うための十分に便利な方法を持っていないのだ、と仮定している。Arcadiaのサービスは、それを変える。
これまでのところ、Arcadia Powerは、ワシントンD.C.、マサチューセッツ州そしてカリフォルニア州でプロジェクトを運営している。「私たちはプロジェクトを集め、顧客にプログラムに対する賛同を得られるように努力しています」。
Bhatrajuにとっては、この新サービスは、5月に動きが始まっていたBoxGroupとWonder Venturesからの350万ドルの調達の際に、同社が考えていた戦略の一手に過ぎない 。
資金調達が8月に発表されたときには、Arcadiaは顧客の使用状況を再生可能エネルギーとマッチングしてキロワット時当たり1.5セントの上乗せで提供するプレミアムサービスを、1万の顧客に提供していた。同社はまた、伝統的な発電(通常は石炭と天然ガス)と風力発電の間で請求書を分けたいと望む顧客のために、50パーセントまでなら風力発電のプレミア分を請求しないオプションの提供も開始した。
次に控えている同社のサービスは、スマートサーモスタットやLEDといったエネルギー効率のよい製品に対するオンビルファイナンシング(on-bill financing : エネルギー効率を良くする製品を購入する際に融資を受け、それを月々の電気代に上乗せして返済していく方式)である。Arcadiaはこれによって顧客は年間10から30パーセントのエネルギーコストを節約できると言っている。
今日、同社は約250キロワットの規模(Solar Energy Industries Association=太陽エネルギー産業協会の推計によると、およそ41家庭に電力を供給するために十分なエネルギー)でサービスを開始した。Bhatrajuによると、現在他に2.5メガワットの電力が控えているということだ。
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(翻訳:Sako)