まだまだ有効なダイレクトメールをデジタルで効果的に管理するLobが50億円を調達

Lobは、企業が従来の郵便物をもっと迅速に低費用で、しかも、もっと個人化(パーソナライゼーション)をともなって送るための手助けをする。

同社の推計によると、米国で各世帯に配達される郵便物の2つに1つは同社のサービスが使われているという。そして米国時間2月24日、同社は、シリーズCで5000万ドル(約53億3000万円)を調達したことを発表した。

CEOのLeore Avidar(レオーレ・アビダール)氏によると、彼はHarry Zhang(ハリー・チャン)氏とともに10年前にLobを作り「郵便物をプログラミングによって送ること」を目指した。その後同社はエンタープライズに特化するようになり、現在の8500社あまりの顧客の中にはTwitterやExpedia、Booking.comなどがいるが、中小企業向けのプロダクトを提供することは、ずっと念頭にあるという。

アビダール氏の説明では、デジタルの時代にはLobが顧客のためにサポートを続けるべき郵便物の種類が2つあるという。1つは、規制やコンプライアンスのために送られる郵便物で、企業はそれらを印刷物で送ることが法的に決められている。2つ目は、マーケティングとして送られるダイレクトメールだ。Avidarによると、現在、多くの企業がこのダイレクトメールを再発見しつつある。

「マーケティングは常に、訴求が有効に働くためのユニークなチャネルを探している。いろんなチャネルの中で、現在はソーシャルが高い。GoogleのAdWordsなどはとても高額だ。郵便であれば簡単に取り止めもできるし、どんなにダイレクトメールが読まれてもビュー単価などを支払う必要がなく、需給に応じて料金が上がることもない」とアビダール氏はいう。

Lobによると、同社はダイレクトメールキャンペーンの実行時間を95%減らし、90日から1日以内にすることができる。印刷や投函に関しては、国中に張り巡らしたパートナーのネットワークがある。またPostPilotやPostalyticsのように、Lobを利用するマーケティングサービスもある。

同社のこれまでの調達総額は8000万ドル(約85億3000万円)だ。今回のシリーズCはY CombinatorのContinuity Fundがリードした。LobはYCのアクセラレーターを受講したことがあり、またContinuity Fundは同社のこの前の投資ラウンドもリードしてている

アビダール氏によると、2021年は同社の扱い郵便物の量を従来の3倍にしたいという。そのために、今回の資金で同社のPrint Delivery Networkを継続的に拡張、社員数を260人以上に増やしたいとのことだ。

YCのマネージングパートナーでLobの取締役でもあるAli Rowghani(アリ・ロウガニ)氏は、声明で次のように述べている。「LobはダイレクトメールのDXを先導している。それは地球上のすべての企業が利用してきたビジネスプロセスだが、長年、ソフトウェアにとってアンタッチャブルだった。Lobは、ダイレクトメールの費用を下げて配達可能性と追跡、報告とROIを改善するため、世界最大の送り主たちが重宝している。ダイレクトメールの最も複雑高度な送り主にとっても、LobのAPI駆動のプロダクトはレガシーなアプローチよりもはるかに優れている」。

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画像クレジット:Ron Watts/Getty Images

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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