Apple(アップル)は米国時間4月18日、リサイクルプログラムと、電子廃棄物への取り組みに対する投資を増強すると発表した。消費者向けのリサイクルプログラムを拡充し、新たに9000平方フィート(約836平方メートル)のMaterial Recovery Lab(材料回収研究施設)をテキサス州オースチンに建立して、将来のリサイクル技術を開発する。また、これまで取り組んできた古いApple製デバイスのリサイクル、整備済製品としての再生により、電子廃棄物を埋め立て処理しないという活動の成功にも触れている。
リサイクルプログラムの拡充としては、消費者が自分のiPhoneを送ることのできる場所の数を米国内で4倍にする。そうして集められたiPhoneは、Appleが昨年のアースデイの直前に導入した専用ロボット、Daisyによって分解される。
このロボットはAppleのエンジニアによって自社開発されたもので、さまざまに異なるモデルのiPhoneを1時間あたり200台のペースで分解できる。
Daisyは現在、米国のBest Buyストアや、オランダの小売店KPNに返却された使用済のiPhoneを分解してリサイクルするのに利用されている。ユーザーは、Apple Storeに持ち込むか、オンラインで申し込むApple Trade Inプログラムによって、iPhoneをリサイクルすることもできる。
Daisyが最初に導入された時点では、9種類のiPhoneモデルを分解することができた。今では15種類を処理できるようになっている。いずれにせよ、Appleはそこから部品を回収して再利用することができる。たとえば、回収されたiPhoneのバッテリーは、他のスクラップといっしょにAppleのサプライチェーンを逆にたどって返送され、初めてコバルトを回収できるようになった。
またAppleは、11種類の製品のメインロジックボードに、リサイクルされた錫(スズ)を100%使用している。さらに100%リサイクルされたアルミニウムから作られたアルミニウム合金を採用することで、新しいMacBook AirとMac miniの製造に関わる二酸化炭素排出量をほぼ半分に削減したと述べている。
Appleによれば、Daisyは年間120万台のデバイスを分解することができる。また、さまざまなプログラムを通して、Appleはこれまでに100万台近いデバイスを回収したという。
Appleは、2018年には780万台を超えるApple製品を改修して整備済製品として販売した。これによって、4万8000トン以上の電子廃棄物を埋め立てずに済んだという。
今年は、Apple Trade Inプログラムを利用して回収されたアルミニウムが、溶融されてMacBook Airのボディとして再利用される。
Appleはまた、リサイクルへの取り込みに関する別の重要な投資として、オースチンのMaterial Recovery Labの開設も発表した。そこでは、Appleのエンジニアが、学界の協力も得て、リサイクル業界としての課題への解決策を探ることになる。その施設は、通常は電子廃棄物の処理施設にあるような大型の機器を導入し(上の写真)、研究に役立てることにしている。
「先進的なリサイクルは、電子機器のサプライチェーンの重要な構成要素となるはずです。Appleはこの業界を前進させるための新しい道を切り開いています」と、Appleの環境、政策および社会的イニシアチブ担当副社長のLisa Jackson氏は、声明の中で述べている。「私たちは、長期間に渡ってお客様に信頼していただける製品を開発できるよう、熱心に取り組んでいます。そして、リサイクルすべき時になったら、皆様に私たちのプログラムの利便性とメリットをご理解いただき、使用済のデバイスの回収にご協力いただけることを願っています」。
このようなリサイクルに対する取り組みについての発表に加え、Appleは2019年版の「Environmental Responsibility Report(環境に対する責任報告書)」も公表した。そこには、気候変動に対するAppleの取り組み方が記されている。
こんどのアースデイ(4月22日)には、Appleは環境をテーマにしたセッションを各ストアで開催し、環境意識の高いアプリとゲームをApp Storeで特集することにしている。
[原文へ]
(翻訳:Fumihiko Shibata)