インドでのクレカ利用拡大を目指すUniが約20億円調達、製品もサービスもないスタートアップにVCが熱い期待を寄せる理由

インドのクレジットカード業界は行き詰まっているようだ。業界の推計によると、現在インドでは3000万人から3500万人が少なくとも1枚のクレジットカードを持っており、そのうち最大5800万枚が流通しているという。しかし、これを約10億枚発行されているデビットカードと比較してみると、その規模がわかるだろう。

人口の大多数がクレジットカードを持っていない理由の1つは、彼らがクレジットスコアを持っていないからだ。銀行やクレジットカード会社は、信用度を判断するために古い方法論に頼っており、信用スコアを持っている人はほとんどいないのだ。

例えば、インドのほとんどの銀行は、銀行が管理している古いスプレッドシートに記載されている数百社のうちの1社にフルタイムで雇用されている個人にしかクレジットカードを発行していない。

金融サービスビジネスのベテランであるNitin Gupta(ニチン・グプタ)氏は、インドの金融サービス会社であるUniを設立して、これらの問題のいくつかに対処したいと考えている。

Uniの創業者、Nitin Gupta(ニチン・グプタ)氏

グプタ氏はUniを通じてこれらの問題を解決したいと考えている。同氏は国内でも数少ない、それを実行できる人物の一人であるからだ。なぜなら、フィンテック企業のPayU Indiaの共同設立者であり、その後に配車サービスのスタートアップであるOlaで金融サービス事業を運営していた実績がある。

PayUでの在職中に、Olaは国内の決済処理ビジネスで優位性を確立した。あとから乗車料金を支払うことができるサービスとしてOlamoney Postpaidをローンチ。Olamoneyは、昨年2億5000万ドル(約264億円)の評価を受けており、今では国内最大級の金融サービス事業者となっている。

そしていま、さまざまなVCがグプタ氏の新しい会社に賭ける気になっている。

10月6日、UniはLightspeedとAccelが主導するシードラウンドで1850万ドル(約19億5000万円)を調達したと発表した。現在、このスタートアップは製品やサービスを有しておらず、さらには世界的な新型コロナウイルスの流行の中で、インド最大のシード資金調達ラウンドの調達にわずか2カ月しかかかっていない。

コンサルティング会社のConvergence Catalystの創業者兼チーフアナリストであるJayanth Kolla(ジャヤンス・コラ)氏は、「製品もまだ何持っていない2カ月のスタートアップが1850万ドルのシード資金を調達したことは、純粋に創業者の信用情報と経歴に基づいたものであり、インドにおける純粋なシリコンバレー型の資金調達の最初の例です」とコメントしている。

TechCrunchとのインタビューでグプタ氏は、Uniには金融サービスビジネスで優れた実績を持つLaxmikant Vyas(ラクスミカント・ヴィヤス)氏とPrateek Jindal(プラティーク・ジンダル)氏という2人の上級幹部が加わっていると述べた。

グプタ氏は、Uniの商品がどのようなものになるのかは明らかにしなかったが、現代の消費者向けクレジットカードを構築していることをほのめかした。

「Uniのサービスは非常にわかりやすく見えるだろうし、人々はなぜ他の誰もがそれを考えなかったのかと不思議に思うだろう」とグプタ氏。現在同氏は、複数の銀行と提携していると教えてくれた。

さらに「デジタル決済の採用は過去5年間で急激に成長しているが、クレジットカードビジネスはまだ進出に苦労している」と話し、「今後5年間でクレジットカードのベースを2億人に拡大する機会がある」と付け加えた。

Lightspeed IndiaのパートナーであるBejul Somaia(ベジュール・ソマイア)氏は「ニチンとUniのチームは、新しい技術を駆使したソリューションを使って、何百万人ものインドの消費者のために金融サービスの力を解き放つことに情熱を注いでいる。我々は彼らのミッションに興奮しており、初日から彼らをサポートできることを誇りに思っている」と語った。

カテゴリー:フィンテック
タグ:インド、資金調達

画像クレジット:Jon Hicks / Getty Images

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(翻訳:TechCrunch Japan)

投稿者:

TechCrunch Japan

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