インドでは、12月13日からアッサム州とメガラヤ州でインターネットが遮断され、日本時間12月14日午前3時で36時間に及んでいる。物議をかもしている広範な市民に関わる新しい法律への抗議を抑制するのが目的だ。
320万人が暮らすアッサム州とメガラヤ州で行われている今回のインターネットの遮断措置は、ウェブ上での人々のコミュニケーションや情報へのアクセスを阻止するという、世界のさまざまな政府に広がる憂慮すべき傾向の最新の事例だ。
しかもインドは、6億5000万人の利用者を擁する世界第2位のインターネット市場でありながら、世界のどこよりも長く遮断措置を続けている。
12月12日、インドのラム・ナト・コビンド大統領は、前日に議会を通過した市民権修正法案を承認した。この法律は、自国のイスラム教少数派ではなく、3つの隣国(アフガニスタン、パキスタン、バングラデッシュ)からの非イスラム教少数派移民に市民権取得の道を開くというもの。
この法律が可決されるや、以前から3つの隣国からの移民に悩まされてきたインド北東部のアッサムとメガラヤの2つの州で、街頭抗議行動が巻き起こった。メガラヤ州ではメッセージサービスも停止されている。
この事態を沈めるために、インド政府は軍隊を送り込み、インターネットを遮断した。こうした措置は、過去に国連から人権侵害と断定されている。
アッサム州の当局者は、「Facebook、WhatsApp、Twitter、YouTubeなどのソーシャルメディア・プラットフォームは風評の拡散、感情を煽る写真、動画、文章などの情報の伝播に利用されるめに、法と秩序を乱す恐れがある」と話している。今のところ、この2つの州でインターネットがいつ再開されるかは、公式には発表されていない。
メディアの人間同士が情報交換をできなくする、あるいはニュースや情報への接触を禁ずる施策は、一部の国では状態化しているものの、その数はインドの足下にも及ばない。
デジタル人権団体Access Now(アクセス・ナウ)は、今年の初めに、2018年に記録されたインターネット遮断件数196件のうち、インドだけで134件を占めると伝えた。ニューデリーに本拠地を置くデジタル権利擁護団体Software Law and Freedom Centre(ソフトウェアの法と自由センター)が運営するサービスInternet Shutdowns(インターネット・シャットダウンズ)によれば、今年はインドで91件のインターネット遮断措置が記録されているという。
ジャンムーとカシミールでは、8月にインド政府が大半のイスラム教徒自治区の自治権を剥奪した後、インターネットを133日間にわたり遮断した。しかし、いまだ一部しか再開されていない。
関連記事:インドが政府による個人データアクセスを可能にする新法案を提案
[原文へ]
(翻訳:金井哲夫)