音声によるカスタマーサービス体験と会話型人工知能のスタートアップであるRedRoute(レッドルート)は、訪れる3500億ドル(約40兆円)規模のカスタマーサービス自動化分野を狙っている。
Brian Schiff(ブライアン・シフ)氏、Sam Krut(サム・クルット)氏、Jacob Cooper(ジェイコブ・クーパー)氏が2015年に同社を設立したとき、彼らはまだコーネル大学の学部生で、当初は大手交通会社が営業していない大学キャンパス内での乗り物を探すための、Uberのようなソーシャルな交通用アプリであったという。
シフ氏はTechCrunchに、多くのタクシー会社と仕事をする中で、ビジネスの多くが電話でタクシーサービスに入ってきており、リクエストが多すぎて電話担当者が足りなくなっていることに気づいたと語っている。そこで、カスタマーサービスやコンタクトセンターのバックエンドチャネルを改善する機会があることに気づいたのだ。
多くの人がAmazon(アマゾン)のAlexaやGoogle Home、音声操作のテレビを家に備え付けるようになり、音声技術の現代の世界を見て、3人は2017年に事業を変更し、カスタマーサービスの世界でも同様の体験を実現することにしたのだ。
その仕組みはこうだ。カスタマーサービスに電話をかけると、音声操作の「Alexaのような体験」で挨拶をしてくれるのを想像してみて欲しい。そこで電話をかけてきた人とやり取りをし、簡単な要望を解決する手助けをしてくれる、とシフ氏は説明してくれた。
シフ氏によると、RedRouteのセットアップは30分程度で完了し、顧客は初期費用ゼロでソフトウェアを試すことができる。リスクフリーでパフォーマンスベースの価格設定は業界初だという。同氏は、RedRouteのAIは、平均して50%のリクエストを完全にこの製品で処理できると見積もっている。残りの50%の複雑な電話については、RedRouteが情報を取得し、それらの電話対に費やせる時間が増えたエージェントに繋いでくれる。
彼らは1年間製品に取り組み、2018年初めに市場に参入し、運送業の顧客と連携している。2020年にパンデミックが発生すると、RedRouteはコンタクトセンターの領域にさらに進出し、現在ではBrooklinen(ブルックリネン)、UNTUCKit(アンタックイット)、Pair Eyewear(ペアアイウェア)、GNCなどの顧客と連携している。
「eコマースに進出するタイミングでした。パイロットで成功した最初の顧客と一緒に入り、規模を拡大し始めました。そして、その努力を倍加させるために、資金調達に踏み切ったのです」とシフ氏は語った。
彼のいう資金調達ラウンドとは、Scoop Venture Capital(スクープ・ベンチャー・キャピタル)とBullpen Capital(ブルペン・キャピタル)が主導し、エンジェル投資家のグループも参加した650万ドル(約7億5300万円)のシード資金調達のことだ。RedRouteは以前、200万ドル(約2億3100万円)のプレシードラウンドを調達している。
シフ氏は、この新しい資金を、全面的な事業の成長、製品開発、主要なリーダーシップに使う予定だ。
RedRouteの競合他社と比較すると、初期費用ゼロなのと、顧客とインテリジェントに関わり、会話をし、自身で要求を完了するコールオートメーション技術を提供することによって、自社が差別化されると彼は見ている。また、同社は小規模なコンタクトセンターもターゲットにしており、そこではコールオートメーション技術の採用がまったくと言っていいほど進んでいないとシフ氏はいう。
「これらの企業は、既存の技術スタックにあらかじめ統合され、エンジニアリングや大規模な先行投資を必要としない既製品を購入しようとしています。私たちは、初期費用なしで、30日間無料で、30分ほどで起動し、初日から結果を見ることができるようなソリューションを提供しています」と彼は付け加えた。
一方、RedRouteは現在100社の顧客を抱え、第4四半期には売上が10倍となり、3倍の成長を遂げている。第4四半期には売上が10倍になり、3倍になった。eコマースの方は「すごい勢いで伸びている」といい、運送の方も「回復している」と付け加えた。
シフ氏は「我々は、製品と市場の適合性が確立された位置にいると感じています。我々は大きな月に強力な牽引力を発揮し、その成長のさせ方を理解しており、今がその規模を拡大するチャンスです。これが、私たちが毎日考え、取り組んでいることなのです」と語った。
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(文:Christine Hall、翻訳:Akihito Mizukoshi)