パンデミックによって企業は2020年、かつてない速さでクラウドへと移行した、というのが広く受け入れられている見解だろう。数年かかるトランスフォーメーションを数カ月で達成し、強制するような要因がなければなし得なかったスピードだった。直近の四半期のクラウドインフラ市場の売上高はこの見解が正しかったことを証明しているようだ。
Synergy Researchのデータによると、今週四半期決算を発表したAmazon(アマゾン)、Microsoft(マイクロソフト)、Google(グーグル)のビッグスリーを含め、クラウドインフラマーケットの売上高は400億ドル(約4兆3735億円)だった。前四半期より20億ドル(約2190円)増加し、前年同期比37%増だった。Canalysの数字はわずかに高い420億ドル(約4兆5900億円)だった。
この業界をフォローしている人なら予想していたかと思うが、AWSが前年同期比32%増の135億ドル(約1兆4760億円)で業界トップだった。ランレートは540億ドル(約5兆9030億円)だ。とんでもない数字である一方で、真に注目に値するのは年間売上高の伸びだ。特にAmazonのような規模と成熟度が高い企業においてはそうだ。大数の法則に従えばそうした数字は持続可能ではないが、全体のパイは成長し続けていて、Amazonは引き続きかなりの割合を占める。
全体をみると、AWSのマーケットシェアは32%だった。売上高は増え続けているが、マーケットシェアはここ数年横ばいだ。シェアを伸ばしてきたのは別の企業で、最も顕著なのがMicrosoftだ。同社の四半期売上高は78億ドル(約8525億円)で、シェアは20%だった。
GoogleはThomas Kurian氏(トーマス・クリアン)氏の下で引き続き有望なサインを示していて、35億ドル(約3825億円)の売上を達成した。マーケットシェアは9%で、2桁に向けて着実に成長している。IBMですら好成績の四半期となり、Red Hatが引っ張ってシェアは5%、売上高は20億ドル(約2190億円)だった。
SynergyのチーフアナリストであるJohn Dinsdale(ジョン・ディンスデール)氏はAWSとMicrosoftがマーケットをしっかりと掌握しているが、これは業界の他の企業が売上を伸ばせないということではない、と指摘する。
「AWSとMicrosoftはミラーで後ろを見るのにあまり時間をかける必要はなく、競争を意識しています。しかし、他のプレイヤーにとってすばらしい機会がないと言っているわけではありません。AmazonとMicrosoftを除いた残りのマーケットは四半期に180億ドル(約1兆9675億円)を売り上げ、前年比で30%成長しました。特定の地域やサービス、ユーザーグループにフォーカスしているクラウドプロバイダーは今後数年間、大きな成長を目指すことができます」とディンスデール氏は声明で述べた。
Synergy同様にこの業界をウォッチしているCanalysも、わずかに異なる部分はあるもののほぼ同じようなデータを示した。マーケットシェアはAWSが32%、Microsoftは19%、Googleは7%だった。
CanalysのアナリストBlake Murray(ブレイク・マリー)氏は、成長する余地がまだあり、数年にわたってこの分野の売上高は継続して増えるだろうと話す。「2020年は大規模なクラウドインフラ支出がありましたが、大半の企業のワークロードはまだクラウドに移行していません。顧客の自信が2021年に高まり、移行とクラウド支出は続きます。2020年延期された大型プロジェクトが再浮上し、その一方で新しいユースケースが獲得可能な最大市場規模を広げるでしょう」と同氏は述べた。
我々が目にしている数字はもはや驚きではない。企業がさらに多くのワークロードをクラウドに移行するにつれ、この数字は今後も拡大する。MicrosoftがマーケットシェアでAmazonに引き続き近づくことができるか、というのが現在の疑問だ。
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(文:Ron Miller、翻訳:Nariko Mizoguchi)