DigitalOceanはウェブ・ホスティングの世界で急速に注目を集めつつあるサービスだ。月5ドルでRAMが512MB、SSDで20GBの容量のバーチャル・サーバ(ここではDropletsと呼ばれる)が利用できる。アメリカに2箇所、アムステルダムに1箇所のデータセンターがある。
共同ファウンダー、CEOBen Uretskyは私の取材に対して「われわれはスピートとシンプルさ、そして何より低価格を武器にしてライバルに挑戦している」と語った。
その挑戦はこれまで成功している。この数ヶ月、DigitalOceanはアメリカでもっとも急成長したクラウド・プロバイダーとなっている。現在25万2760のバーチャル・サーバが作成されている(KVM〔カーネル・ベース・バーチャル・マシン〕とSSDを利用しているため、バーチャル・サーバの設定は55秒以下ですむ)。Netcraftによれば、DigitalOceanがホストするIPドメインは2012年12月にはわずか140だったのに、今年の6月には7134に増加した。
出身はTechStars
しかしUretskyによれば、DigitalOceanがここまで来るのにはそれ相当の苦闘を経験している。創立されたのデンバーで開催されたTechStarsの2012年夏期のインキュベーション・プログラムだった。この際、Slicehostのファウンダー、Jason Seats他のTechStarのメンター〔アドバイザー〕の推薦がいに役立った。しかし創立当初はクラウド・ホスティング分野で新たなスターアップが成功すると考える人間はほとんどいなかったという。Uretskyと共同ファウンダーたちはサーバ・ホスティング業界で15年働いており、テクノロジーについても起業についても十分な経験を積んでいた。しかしUretskyたちはあえてTechStarsのアクセラレータ・プログラムに参加することを決めた。それはUretskyの最初の起業では得られなかったメンターのネットワークに入ることが必要だと考えたからだった。
DigitalOceanチームはライバルについて詳しい研究を行い、綿密な競争戦略を立てた。Uretskyは「どんな会社もその核心はマーケティングだ」と考えている。DigitalOceanチームが重視したのは、AmazonWeb ServicesやAzureのようなクラウド・プラットフォームを利用するのは相当に経験を積んだデベロッパーにとってさえ非常に複雑で手間のかかる作業だという点だった。
そこでチームはサーバの立ち上げのシンプルさに重点を置くことにした。DigitalOceanの管理ダッシュボードを見るだけで、そのことはすぐに理解できる。この画面には長いリストやたくさんのボタンが並んではいない。パーツはゆったり配置され、サーバのブートもシャットダウンもわずか2クリックで完了する。現在DigitalOceanがメインのターゲットとしているデベロッパーは個人や少人数のスタートアップだ。そのようなユーザーはシンプルさ、柔軟性、オンデマンドの拡張性を必要としている。
UretskyによればDigitalOceanはすでに黒字化を達成しているという。外部の専門家の多くはこのような低料金で収益性が確保できるかについて懐疑的だったが、Uretskyは「われわれがスケールアップするにつれてハードウェアもネットワーク帯域も大口割引が受けられるようなり、コストダウンに成功できた。われわれは十分なマージンを確保している」という。
近くデータセンターと機能の拡張へ
DigitalOceanはブラジルにデータセンターを建設予定だ。またアジアでもシンガポールか香港にデータセンターを置く準備をしている。その次はインドだ。同社は急成長に対応して最近28名の社員を新規採用している。ベータテスト中の新機能には予めコンフィグレーションをすませ即時に立ち上げ可能なLAMPサーバなどがある。
〔日本版〕実際にUbuntu上のWordPressサーバを新規に立ち上げてみたが、支払い手続きも含めて数分で設定が完了する。支払いにはPayPalが利用できる。 OSはUbuntu、CentOS、Debian、ArchLinux、Fedora。アプリケーションはWordPress、Ruby on Railsなど。
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)
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