スマートテレビをもっとスマートにする高校生のアイデアで生まれたDisruptelが1.2億円調達

セントルイスの音声アシスタント企業であるDisruptelが、110万ドル(約1億2000万円)のシード資金を調達した。

投資家たちの顔ぶれはなかなか印象的で、全員、すなわちそれは、視聴者の目の前のテレビに映るものに関する詳しい情報を、音声アシスタントで提供するという同スタートアップの狙いに共感しているようだ。投資ラウンドをリードしたのはPJCとProgress Venturesで、他にDataXuの共同創業者で元CEOのMike Baker(マイク・ベイカー)氏、Siriの共同創業者Adam Cheyer(アダム・チェイヤー)氏、Skyの役員であるAndrew Olson(アンドリュー・オルソン)氏、そしてDataXuの共同創業者Bill Simmons(ビル・シモンズ)氏らが参加した。

DisruptelのCEOであるAlex Quinn(アレックス・クイン)氏によると、彼がこのアイデアを閃いたのは高校生のときだという。最初はテレビのジェスチャーコントロールだったが、やがてスマートテレビの方が今後の市場が大きいと考えるようになった。「見ている画面に何が映っているのかをわからないなんてスマートじゃない」と彼は思ったという。

そこでクイン氏は「何が映っていても、画面上で起きているあらゆることの文脈を理解している技術」を作った。たとえば「茶色のシャツを着ている人は誰?」と尋ねると答えてくれる。

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クイン氏の説明を聞くと、AmazonのX-Rayを思い出す。それはAmazonプライムで映画やテレビを見ているときに、画面上の俳優やその他の情報を教えてくれる。しかし彼によると、AmazonやGoogleのソリューションは静的データで、事前にビデオに登録されているという。一方、Disruptelは「すべてがリアルタイムで、理論的に対象はどのようなコンテンツでもよい」とのことだ。

Disruptelの現主力製品はContextと呼ばれ、スマートテレビとそのリモコンで使える。クイン氏によると今後、スマートテレビのメーカーやストリーミングサービスと提携して、2021年後半にはそれらのユーザーでも使えるようにしたいという。

また、同社がGoogle Chromeの拡張機能として作ったSmart Screenは、すでに利用できる。私も「The Flash(フラッシュ)」のいくつかのシーンで試してみたが、画面上の俳優の名前を知ることができる。クイン氏によると、同社はこの拡張機能を使ってプロダクトをテストし、ユーザーがどのような使い方をしているのか、データを収集したいという。

アドテック企業のDataXuを2019年にRokuに売ったMike Baker(マイク・ベイカー)氏によると、彼はこのプロダクトのデモを見て即座に投資を決めた。「強力なプロダクトであり、ユーザー体験はとてもスムーズだ」と彼はいう。

クイン氏は、Disruptelはスマートテレビの広告を改善できると提案する。彼によると、現在の広告はほとんど使い物にならないが、Huluなら「押しつけがましくない、すき間広告が可能」だという。

高校生がこれだけの技術をどのように開発したのか?現在、クイン氏は21歳だが「いっぱい勉強したし、今のチームは機械学習にフォーカスしており、その技術者たちも次から次と研究論文を読破している。現状は、リサーチによって到達したベストのソリューションだと思っている」という。

Disruptelも大企業がやってることを真似て、コンテンツの事前加工にフォーカスしていたら「こんな研究開発には絶対手を出さなかっただろう」とクイン氏は語る。

カテゴリー:ソフトウェア
タグ:Disruptel資金調達スマートテレビ音声アシスタント

画像クレジット:Disruptel/Disney

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(文:Anthony Ha、翻訳:Hiroshi Iwatani)

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TechCrunch Japan

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