セールスデモプラットフォームの開発のDemodeskが8.5億円調達、新型コロナでオンライン商談のニーズ高まる

2020年の新型コロナウイルスの大流行に伴い、対面でのミーティングが廃れてきていることは明らかです。それでも営業チームは、見込み客、特にSaaSベンダーに向けて製品をデモする方法を必要としている。そんな中、アーリーステージスタートアップであり、Y Combinator Winter 2019の卒業生でもあるDemodeskは、オンラインセールスデモプラットフォームを構築している。

同社は米国時間9月3日、Balderton Capitalが主導し、Target Globalが参加した800万ドル(約8億5000万円)のシリーズA調達ラウンドを発表した。同社はこれで昨年発表したシードラウンドを含め、合計1030万ドル(約11億円)を手にしている。

Demodeskは、多忙な営業マンがより自動化された方法で会議を設定できるように、知性を駆使してオンラインで営業デモをリモート配信するプラットフォームを構築した。このスタートアップは来年まで資金調達を考えていなかったにもかかわらず「新型コロナウイルスの感染蔓延がこのようなツールの市場での必要性を加速させた」とCEO兼共同創業者のVeronika Riederle(ベロニカ・リーデル)氏は語る。

「当初は来年の初めごろに次のラウンドの資金調達を予定していましたが、新型コロナウイルスの感染蔓延が起きたことで、より早く資金調達ができました。市場での需要が非常に高いため、基本的には今より少し早く成長し、より早くツールを構築することが可能になりました」と続ける。

「新型コロナウイルスの感染蔓延の中でも、営業チームは顧客と会う必要があります。Demodeskはそのための方法を提供しています」と同氏。Demodeskは、Zoom、WebEx、GoToMeetingなどの一般的なミーティングソフトウェアとは大きく異なります。「一般的なミーティングソフトウェアは画面共有が可能ですが、DemoDeskには異なる点があります」と同氏は強調する。

DemoDeskは、デスクトップのライブバージョンや、2人が同じものを見ているような録画ではなく、クラウド上に仮想デスクトップを構築し、顧客にはプレゼンテーションやデモを見せながら、営業担当者は顧客が見ることのできないメモやその他の情報も参照できるのだ。この仮想的なアプローチにより、企業はデモに関するデータを取得し、何がうまくいったのか、何がうまくいかなかったのかを営業チームが理解するのに役立つ。

さらに同社は今年、顧客と営業チームが空き時間を共有できる新しいスケジューリングツールを製品に追加した。「顧客は自分の都合のいい時間を選択し、いくつかのデータを入力するだけで自動的にカレンダーの招待状を送信して営業担当者のカレンダーに入れ、リマインダーを送信することができます。そのため、スケジュールの調整からミーティングの準備、そしてミーティング中のサポートまでをすべてDemodeskに任せられます」とリーデル氏。会議終了後は、会議のメモをSalesforceや他のCRMツールと自動的に共有することも可能だ。

同社の現在の従業員数は22名だが、来年末までに50名に増やすことを目標としている。「会社を成長させるには、多様性と包括性が重要な考慮事項」とリーデル氏。実際、多様性は同社の5つのコアバリューの一部だ。「国際的な企業として多様性の重要度は増しているが、それだけでない」と同氏は説明する。「チーム内に多様性があれば、より創造的であるため、よりよいアイデアを生み出すことができます。さまざまな方法で考え、より興味深い議論をすることができます」と続ける。

2017年創業の同社は、150社の顧客を持つまでに成長した。これまでは顧客はほとんどがソフトウェア企業だった。同氏によると、最近では他業界でもこのプラットフォームを利用し始めているという。新型コロナウイルスの感染蔓延の前に戸別訪問を行っていた太陽光パネル会社などは、顧客を直接訪問できなくなったが、このツールを利用することでビジネスの継続に役立っているそうだ。

リーデル氏は、オンラインデモのほうが効率的でコストがかからず、会議に出向く必要がないため環境にもいいと考えている。

画像クレジット:Ada Yokota / Getty Images (Image has been modified)

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(翻訳:TechCrunch Japan)

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TechCrunch Japan

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