Hewlett Packard Enterprise(HPE)は本日、データマネジメント・プラットフォームのSimpliVityを6億5000万ドルで買収したと発表した。なお、買収費用は現金で支払われた。
「ハイパーコンバージド・インフラストラクチャー」という分野にフォーカスする企業は数多くあるが、SimpliVityもその1つだ。まるでバスワードのような響きの単語だが ― 実際にバズワードでもある ―、その中心にあるアイデアは非常にしっかりとしたものだ:ハイパーコンバージド・システムとは、演算、ストレージ、ネットワークを単一のシステムにまとめたものを意味する。
SimpliVityの旗艦プロダクトは、OmniCubeと呼ばれるハイパーコンバージド・インフラストラクチャーを採用した装置だ。それに加えて同社は、Lenovo、Dell、Cisco、Huaweiのサービス向けにソフトウェアを提供している。
HPEが今回買収で狙うのは明らかに、SimpliVityのプラットフォームを取り込むことによってHPEがもつ既存のインフラストラクチャー、オートメーション、クラウドサービスを拡大することだ。
「今回の買収によって、HPEが提供するソフトウェアのケーパビリティを拡大できます。また、この買収は顧客にシンプルなHybrid ITを提供するという私たちの戦略と一致するものでした」と語るのは、Hewlett Packard Enterprise CEOのMeg Whitmanだ。「クラウド化が進むなか、安全で、高い回復力をもち、オンプレミスなインフラストラクチャーを求める顧客が増えてきています。まさにそこが、私たちがフォーカスする分野なのです」。
SimpliVityの創業は2009年。同社はこの数年間で4回の資金調達ラウンドを実施し、合計で2億7600万ドルを調達している。それらの調達ラウンドをリードしたのは、Kleiner Perkins Caufield & Byers、Accel Partners、DFJ Growth、CRV、Waypoint Capitalなどの投資家だ。2015年のシリーズDにおける同社のバリュエーションは10億ドルだったことを踏まえれば、今回の買収金額である6億5000万ドルという数字が投資家にとって巨大な利益を生み出したという訳ではなさそうだ。
HPEに話を移すと、同社は最近、事業の一部を売却したことが報じられている。例えば、昨年9月にHPEは同社のソフトウェア部門のほとんどを合計約88億ドルで売却している。また、11月にはOpenStackとCloud Foundry関連のアセットをSUSE(Micro Focusの子会社)に売却している。おそらく、同社は事業売却によって得たキャッシュを利用して今回の買収を行うことで、ハイパーコンバージド分野への参入とポジションの強化を狙っているのだろう。
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