マーク・アンドリーセンが決起の呼びかけ、何か有意義なものを作ろう

私たちの生活を完全にひっくり返した殺人ウイルスと共に生活するのは実に恐ろしい。希望を捨てて観念してしまうのは簡単だ。

それではいけない、とMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン)氏が米国時間4月19日、自身のベンチャーキャピタル会社であるAndreessen Horowitz(アンドリーセン・ホロウィッツ)のサイトに書いた思慮に富んだエッセイで呼びかけた。文中でアンドリーセン氏は、何かをどんなものでも社会を今より前へ進ませるものをつくることを提唱している。「アメリカンドリームを再起動」するために我々は「政界のリーダーに、この国のCEOに、起業家に、投資家にもっと多くを要求する必要がある。そして、お互いにもっと多くを要求する必要がある。我々全員が必要であり全員が貢献できる、なにかを作ることに。

アンドリーセン氏は、テクノロジーの大部分はすでに作られていると指摘する。そして住宅、教育、製造、輸送の分野を取り上げ、それぞれを明るい未来に向けて加速するのに必要なツールはほとんどがすでに存在していると言う。そしてかつて我々の役に立ったシステムにしがみつくのは簡単だが、みんなが力を合わせて現状を捨てて置き換えることが重要だと説いた。我々はそういうものを「欲しがる」必要がある。問題は勢いだ。それを防ぎたい気持ちより、それを欲しがる力のほうが大きくなるようにしなくてはならない。問題は「規制の虜」(Regulatory Capture)だ。我々は新しい会社がこれらの新しいものを作ることを望まなくてはならない、たとえ既存勢力が望まなくても。たとえ既存勢力にそれを作るよう強制することになったとしても。そして問題は意志だ。我々はそういうものを作る必要がある。

もちろん彼のいうことは正しいが、アンドリーセン氏からはもっと規範的な何かを学びたい。彼はこの数年ほとんど人前に姿を見せていないが、その2万フィート(6km)の視野は想像をかきたてるものであるとともに、まだ出発点にすぎないことを期待したい。

社会がたった今なにを必要としているかは、トップダウンではなくボトムアップで決まる。問題を解決するためには大きな課題を小さな部分に分けることから始まる。アンドリーセン氏のような人は、今すぐ必要な目標を達成するために現在のテクノロジーに何ができるか、何をすべきかをもっと明確に話すことで、先頭に立って指揮を取ることができるだろう。お金を早く必要とする人に手に渡したり、ビジネス・インテリジェンスを使って緊急治療室の医師から新型コロナ患者の治療状況の情報を収集したり、政府のサプライチェーン管理に役立てたりなど。

米国には精力的な行動が必要であるとアンドリーセン氏は強調する。今ほどそれが明確なときはないと彼は言い、「コロナウイルス検査は足りていない、検査備品もだ。驚くべきごとに綿棒や一般的な試薬すら不足している。人工呼吸器も、陰圧室も、ICUのベッドも足りない。外科用マスク、アイシールド、医療用ガウンも。これを書いている今、ニューヨーク市はレインポンチョを医療用ガウンの代わりに使うよう非常命令を出している。レインポンチョ!2020年に!米国で!

今は恐ろしい状況であり、その大部分は政治システムが招いたものだとアンドリーセン氏は考察する。そしてアンドリーセン氏は口に出していないが、米国の収入格差はG7諸国中最大であり、毎年ごくわずかな人々のところに富が集まり、中流層は減り、貧困層が急増しているという事実がある。

しかし、一度にはひとつずつしかできない。

我々が今本当に必要としているのは、新型コロナ版のマンハッタン・プロジェクトであり、シリコンバレーがそれをリードする必要がある。

もしアンドリーセン氏がこれを手助けしたいのなら、みんな大賛成だ。私たちは耳を傾けている。

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(翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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