ミレニアル世代と初心者に焦点を当てるインドネシアの投資プラットフォームAjaibが26億円調達

現在、取引数ではインドネシアで5番目に大きいと言われるオンライン投資プラットフォームのAjaib Group(アジャイブ・グループ)が、Li Ka-Shing(リ・カシン)氏が設立したベンチャーキャピタルのHorizons VenturesとAlpha JWCが主導したシリーズAで2500万ドル(約26億円)の調達を行ったことを公表した。以前からの投資家であるSoftBank Ventures Asia、Insignia Ventures、Y Combinatorもこのラウンドに参加しており、ラウンドは2回のクローズで完了した。

最高経営責任者(CEO)のAnderson Sumarli (アンダーソン・スマリ)氏と最高執行責任者(COO)のYada Piyajomkwan(ヤダ・ピヤジョムクワン)氏によって2019年に設立されたAjaib Groupは、ミレニアル世代と投資初心者に焦点を当てており、現在は月間100万人のユーザーを擁しているという。これまでの調達額は、2019年に行われた200万ドル(約2億1000万円)のシードラウンドを含め、総額2700万ドル(約28億1000万円)となっている。

インドネシアにおける株式投資の普及率は非常に低く、同国における資本市場の投資家はわずかに約160万人(The Jakarta Post記事)と人口の1%にも満たない(対照的に、Gallup社のデータによれば、米国人の約55%が株式を保有している)。

普及率が非常に低いことに加え、パンデミックの影響で個人投資家の資本市場への関心が高まっている(The Jakarta Post記事)ことから、特にミレニアル世代に焦点を当てたオンライン投資プラットフォームへのVCの関心に拍車がかかっているのだ。先週、インドネシアの投資アプリBibit(ビビット)がSequoia Capital Indiaが主導する3000万ドル(約31億3000万円)のグロースラウンドを発表し、また別のオンライン投資プラットフォームBareksa(バレクサ)は2020年に、決済アプリOVO(オボ)から非公開でシリーズBを受けたことを認めている(Deal Street Asia記事)。

Ajaib Groupの創業者は、低手数料の株式取引プラットフォームとして差別化を図るとともに、分散投資のための投資信託も提供しているという。Bibitは投資信託向けのロボットアドバイザーであり、Bareksaは投資信託のためのマーケットプレイスだ。

スマリ氏とピヤジョムクワン氏は、インドネシアの株式投資家率が低いのは、オフラインのブローカーを利用する高い手数料を支払う余裕がある富裕層が行うケースが一般的なためだと、電子メールでTechCrunchに語っている。Ajaib Groupは、株式投資についで学んだスマリ氏が、インドネシアに投資プラットフォームがないことに不満を感じたことをきっかけに、2019年に立ち上げられた。

米国のRobinhood(ロビンフッド)やブラジルのXP Investimentos(XPインファスティメンドス)のような企業に触発されたイAjaib Groupは、オフラインのブローカーや支店を一切持たない、モバイルファーストの株式取引プラットフォームとして誕生した。シンプルなユーザーインターフェース、アプリ内教育機能、投資アイデアを共有できるコミュニティ、低手数料などが、投資初心者やミレニアル世代にアピールしている。

初めてアプリを試してみる人は少額の投資を好むため、Ajaibは取引口座の開設にあたって最低残高を要求しない。ピヤジョムクワン氏は、「Ajaibで投資してから、2カ月以内に投資金額が3倍になるのが一般的です」と述べている。

Ajaib Groupのプラットフォームでは、株式取引用のAjaib Sekuritas(アジャイブ・セクリタス)と投資信託用のAjaib Reksadana(アジャイブ・レクサダナ)が提供されている。同社によると、Ajaib Sekuritasは2020年6月にローンチしてから、わずか7カ月で取引数でインドネシア第5位の株式証券会社になったという。

インドネシア政府とインドネシア証券取引所は、より多くの株式投資を奨励するための取り組みを開始した。Ajaib GroupのシリーズA資金の一部は、政府と協力してミレニアル世代に投資やファイナンシャルプランニングについて教育する「#MentorInvestai」キャンペーンに使用される。今回のラウンドの資金はまた、Ajaibの技術インフラや製品の拡充、エンジニアの雇用拡大にも投入される予定だ。

Ajaibはいずれ他の東南アジア市場にも進出する可能性があるが、近い将来ではインドネシア国内に多くのチャンスをみている。ピヤジョムクワン氏は「Ajaibの2人の創業者は、東南アジアの2大資本市場であるインドネシアとタイの出身で、この地域に対して強い情熱を抱いています」と語っている。「とはいえ当面は、投資浸透率がまだ低く、サービスを提供できるミレニアル世代の投資家が多いインドネシアに焦点を当てていきます」。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Ajaib資金調達投資インドネシア

画像クレジット:Ajaib

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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