世紀の詐欺スタートアップ・セラノスの裁判が2020年夏に開始、最高20年の懲役刑の可能性も

すでに解散したバイオテックユニコーンのTheranos(セラノス)の創業者であるElizabeth Holmes(エリザベス・ホームズ)の裁判は来夏に連邦裁判所で始まり、最高20年の懲役刑と数百万ドルの罰金を受ける可能性がある。

裁判が2020年8月にサンノゼ連邦地方裁判所で始まることを6月28日朝に発表した米地方裁判所判事Edward J. Davila(エドワード・J・ダビラ)氏によると、陪審員の選定は2020年7月28日に始まる。

ホームズと前Theranos会長のRamesh “Sunny” Balwani(ラメシュ・バルワニ)は昨年6月に計11件の罪で大陪審に起訴された。11件のうち2つの罪は通信詐欺を行った共謀罪(投資家に対してと、医師・患者に対して)だ。残り9つは実際の通信詐欺で、額はラボテストのコストから1億ドルまで幅広い。

Bloomberg(ブルームバーグ)によると、ホームズの弁護団は、ウォール・ストリート・ジャーナルのJohn Carreyrou(ジョン・キャリロー)記者が「連邦当局者に大きな影響力を持っていた」ことと、「Theranosのニュースを報道する以上の行為を行った」ことを指摘する計画だ。

ブルームバーグはさらに、「陪審員は調査報道としてニュースをすっぱ抜いて詳細を報じたい外部のアクターがTheranosに対する当局のフォーカスを覆い隠し、おそらく当局の見解を偏らせる方法で規制プロセスに影響力を働かせていたことを認識するべきだ」とホームズの弁護団は書いている。 「ゆえに、キャリロー記者と当局のやり取りは核心となる」。

スタンフォード大学をドロップアウトした19歳のホームズによって2003年に創業されたTheranosはプライベートマーケット投資家から7億ドル超を調達した。これについて証券取引委員会は「誇張、または社の技術や事業、業績について嘘の報告をすることによる精巧で長きにわたる詐欺」と言及した。

キャリロー記者は同社の血液テスト技術の効果に疑問を投げかける多くの調査記事を書いたが、その最初の記事が掲載された2015年10月にTheranosはまず最初の調査を受けた。当時、Theranosは企業価値が90億ドルとなり、またTim DraperやRupert Murdochといった名だたる投資家のサポートもあり、シリコンバレーで最も注目を集める企業の1つだった。

キャリロー記者の報道の結果、Theranosは公衆衛生にとって脅威となることがわかった。そして、Theranosのテクノロジーはわずか数滴の血液でさまざまな疾病を検査できるものにほど遠いことが明るみとなった。

ウォール・ストリート・ジャーナルによると、検察は証拠として200万ページ以上を集めた。十分な証拠にもかかわらず、ホームズは昨年の起訴以来、一貫して無実を主張している。

起訴を受け、ホームズは昨年Theranosを辞めた。ほどなくしてTheranosは解散した。一方のキャリロー記者はというと、Theranosの秘密と嘘をつづったベストセラー本「Bad Blood」を発刊した。ホームズとTheranosの栄光と没落を描いたドキュメンタリーは2019年にHBOからリリースされた。Jennifer Lawrence(ジェニファー・ローレンス)がホームズを演じる映画の制作も進行中とのことだ。

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(翻訳:Mizoguchi)

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TechCrunch Japan

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