中国当局がフードデリバリー会社に手数料の引き下げを指導

2016年から2020年の間に、中国でオンラインで食事を注文した人の数は4億人に倍増した。このブームの背景には、同国のフードデリバリー競合各社が、顧客や企業に対して気前よく補助金を配ったということもある。Meituan(メイトゥアン、美団)とEle.me(ウーラマ、餓了麼)の2社が市場を支配するようになると、彼らは加盟店の手数料を引き上げ始めた。しかし、新たな規制の変更は、彼らの利益モデルを阻害しようとしている。

中国当局のグループは現地時間2月18日、飲食業の運営コストを下げるために、フードデリバリープラットフォームはレストランに請求するサービス料をさらに引き下げるべきだという発表を行った。このニュースを受け、Meituanの株価は金曜日に15%以上下落し、250億ドル(約2兆9000億円)以上の市場価値が失われた。MeituanのライバルであるEle.meを運営するAlibaba(アリババ)の株価は約4%下落した。

この提案は、中国の国家計画機関である国家発展改革委員会が「苦境にあるサービス産業の回復を支援する」ことを目的とした指導だ。この新規制は、長期的にはインターネットの巨人たちの利益を先細りさせる可能性が高い。Meituanの2021年7月から9月期の収益において、手数料が占める割合は60%にも達している。同社は、ホテルなど他の業種からも手数料を徴収しているが、フードデリバリーは依然として最大の収益源だ。また、フードデリバリーは、Alibabaが2018年にEle.meを買収した後、同社の主要事業の1つにもなっているが、この巨大企業にとって最大の収益エンジンは、依然として電子商取引である。

中国のフードデリバリープラットフォーム各社は、収益性を低下させる可能性がある別の変化に関しても、対処を迫られている。2020年に注目を浴びた記事では、中国の何百万人ものフードデリバリー労働者を危険にさらす高ストレス環境が明るみに出た。効率を最適化するアルゴリズムは、人間の能力や道路の事故などを十分に考慮していないため、配達員はしばしば仕事を遂行するために信号を無視して走っている。

中国当局は、フードデリバリープラットフォームに対し、従業員の安全性を向上させるよう命じた。MeituanとAlibabaは、配達員のライダーに音声コマンド機能を備えたコネクテッドヘルメットの提供を開始し、配達員がスクーターで道路を駆け抜ける際に、携帯電話をチェックする必要がないようにした。配達時間の制限も緩和した。MeituanとEle.meの課題は、労働者の福利厚生と事業の収益性をいかに両立させるかということだ。

Meituanはすでに手作業への依存度を減らすことに取り組んでいる。最近ではフードデリバリー用のドローンを公開し、中国のいくつかの都市で小規模な試験を行っている。とはいえ、この飛行体はまだ製品化の初期段階であり、中国では低空飛行のドローンに対する規制がまだ具体化していない。また、ドローンによるフードデリバリーの経済的な実現性も未知数だ。

しかし、少なくとも自動化は、Meituanのような労働集約型のオンデマンドサービスを提供する企業にとって、より安全でコストを削減する未来を実際に試すための1つの方法である。

画像クレジット:Meituan Dianping

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(文:Rita Liao、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

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TechCrunch Japan

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