人材紹介会社マッチングのgrooves、地銀系VCなどから1.8億円を資金調達——地方の人材不足解消を支援

有料職業紹介、つまり人材紹介を行う事業所は、日本全国で約2万カ所もある。実はそのうちの多くが、社員数名以下の中小零細規模だという。人材を探す側としては、優秀な人材を中途採用するなら、できるだけ多くの人材紹介会社と接点を持つ方が採用の成功確率は上がるが、小さな事業所1社1社と契約し、毎回募集内容を登録するのは手間がかかるため、大手エージェントに利用が流れがちだ。

groovesが運営する「Croud Agent(クラウドエージェント)」は、求人を1カ所に登録することでその手間を省きながら、複数の人材紹介会社が抱える人材とマッチングできるプラットフォームだ。

groovesは2月13日、いよぎんキャピタル、新潟ベンチャーキャピタル、北洋キャピタルが運営するファンドと、新生銀行を引受先として、総額1.8億円の第三者割当増資を実施したことを明らかにした。groovesでは、2017年2月に実施した大分ベンチャーキャピタル、広島ベンチャーキャピタルからの資金調達を皮切りに、地方銀行系ベンチャーキャピタル(VC)も含む地域金融機関からの資金調達と提携を進めている。今回の調達により、地域金融機関(地銀系VC含む)からの出資・提携は11行・社、資金調達額は累計4.5億円となった。

groovesが「社会課題を解決する意味もある」として取り組むのは、地方の人材不足に対する支援だ。地域に根ざす金融機関は、金銭面で地域の中小企業を支えることはできるが、事業をスケールさせる人材を実際に集めることは難しい。そこでCrowd Agentを運営するgroovesが金融機関と連携することで、人材確保の面で企業の支援を行っていく考えだ。

こうした「金融機関×人材紹介」の動きを後押しする動きも背景にある。1月23日、金融庁が明らかにした「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」の一部改正案では、銀行やその子会社などが、職業安定法に基づく許可を得た上で、人材紹介業務を行うことを認める内容となっている。

Crowd Agentは、人材紹介会社約500社に利用されており、そのメインは都市部のエージェントだ。しかし、都市部在住の地方出身者を紹介するケースでは、地域金融機関との連携で、実際にUターン・Iターン採用を果たした例も出ているという。groovesは「地域で、絶対数の少ない候補者の中から人材を探すのでは、思ったような人材の採用は難しい。その点でも、銀行だけではできないことをgroovesで支援していく」という。

groovesでは、地方企業が人材紹介会社を利用することの効果について「地方企業がウェブメディアに掲載されたとしても、都市部から転職しよう、とはなかなかならないもの。しかし人材紹介会社が、企業のメリットなどを細かくヒアリングして魅力を伝えることで、転職が起こりやすくなる」と説明する。「例えば、大分県に資本金1000万円未満のIoT関連スタートアップがある。普通に転職活動をしていたら、出身県だったとしても転職先候補には挙がりにくいし、気づかれない可能性がある。そうした企業でも、『大分ベンチャーキャピタルや行政からの支援も得て、IPOを目指しているんですよ』といった情報を人材紹介会社が説明することで、『それじゃあ、3年とか5年ほどそこで働いて、実績を上げてみるか』ということも起こりうる」(grooves担当者)

現在、Crowd Agentを使って求人を行う企業のうち、約25%が地方企業だそうだ。groovesは「人材紹介会社とのマッチングプラットフォームを、地方企業は高く評価してくれている」として、地域経済活性のための人材供給にさらに力を入れ、地域銀行との連携の拡大、47都道府県を網羅する全国の地域銀行との提携・開拓を目指す。

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TechCrunch Japan

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