仏スタートアップZenly、位置情報共有アプリでBenchmarkから2250万ドルを調達

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フランスのスタートアップZenlyが、この夏にかけてBenchmarkほか数件の投資家から2250万ドルを調達した。このラウンドについては最初にBusiness Insiderが報じ、TechCrunchでも公式な確認を得た。我々がつかんだ詳細は以下のとおりだ。

今回のラウンドのリード投資家はBenchmarkが務め、同社のPeter FentonがZenlyの取締役会に加わった。Fentonはこれまでにいくつかのソーシャルネットワーク企業に投資しており、Twitterの取締役も務めている。本ラウンドでは既存の投資家であるIdinvestとXavier Nielからも追加投資があった。Insight Venture Partnersの共同設立者Jerry Murdockも個人的に出資したという。

さらに興味深いのは、Benchmarkがこのフランス企業に直接投資した点だ。多くのアメリカのVCは米国企業に投資することを希望する。そのため、フランスのスタートアップが多額の費用をかけてアメリカに会社を移すことになる場合もある。そう考えると今回の直接投資の意義は深い。Benchmarkは時間を無駄にしたくなかったようだ。

今回のラウンドはイントロから銀行口座への入金までわずか28日間でスピーディーだった。Zenlyは昨年のシリーズAラウンドで1120万ドル(1000万ユーロ)を調達しており、口座にはまだ潤沢な資金が残っていたはずだが、Benchmarkに「ノー」とは言い難かったに違いない。

「友達が今どこに誰といるのかを可視化できれば、プロダクトとしての機会は大きく拓かれます。今後うまく達成して行ければ、歴史に残る象徴的な企業へと成長するでしょう」とFentonは語る。「Zenlyチームの技術的専門性の深さと、ソーシャルエンゲージメント全般の基礎となるマップ機能についてのビジョンは、即断するだけの説得力があるものでした」。

もしも本件ついての「エピソード1」を見逃していたら、筆者が以前に記した、この前途有望な位置情報共有アプリZenlyの長い長い紹介記事(英語)を読んでみて欲しい。これは新手のチェックインアプリでもなければ「友達は今どこ?」タイプのアプリでもない。それらをさらに超えたアプリなのだ。

Zenlyは位置情報の共有をふたたび「クール」なものにしたいと願っている。同社は基本部分の見直しに莫大な時間を費やしてきた。現行ではZenlyを使うと自分の現在位置を何人かの、あるいは何十人かの友達と簡単に共有できるようになっている。

反応は、というと、ティーンに大好評で、すでにアプリのダウンロードは200万件にのぼるという。しかもこれはまだ「始まり」だ。Zenlyは現在の基本機能に、さらに何層もの有用なデータを追加する予定だ。

たとえば、友達がどこかで集まっていたら通知を受け取り、パーティーに乗り遅れないで済む。同様にZenlyならば他のアプリに先駆けて人気スポットを知ることができる。なぜなら人々がいつそこに行くかを知っているからだ。

Zenlyが勝負するのは非常に競争の激しい分野であるため、その道のりは長くなるだろう。これまでもGoogle、Apple、Uberのようなテック企業が最良の地図サービスを作り上げようと努力を重ねてきている。マップにピンを立てるだけの機能をさらに超えたものを目指すZenlyは、独自の地図データを構築せねばならないだろう。

Zenlyの従業員は現在35名で、向こう数週間でサンフランシスコにオフィスを開設する予定だ。エンジニアリングチームの大部分はフランスに置き、オフィス2か所で運営するつもりだという。この多額の資金調達を果たしたスタートアップは、当面は資金繰りを心配せず、プロダクトに集中できることだろう。

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(翻訳:Ayako Teranishi / website