会員数800万人超えの電子チケット「ticket board」がチケット不正転売禁止法施行に合わせて新アプリ

電子チケットサービス「ticket board」を運営するボードウォークは6月14日、本日施行されたチケット不正転売禁止法に合わせて、不正防止に役立つ入場専用の新アプリ「LIVE QR」をリリースした。

ボードウォークが2010年より展開してきたticket boardは、コンサートやライブのチケットの申し込みから、支払い、発券、入場までをスマートフォン・携帯電話で行える電子チケットサービスだ。

数百人規模のライブハウスからアリーナ・ドームなどの超大型会場の公演まで様々なシーンで導入。安室奈美恵さんやMr.Children、EXILEのツアーチケットなどで活用されてきた。同サービスの累計会員数は800万人を超え、取扱い公演実績も1万回を突破。2018年のチケット取扱い枚数は400万枚強にのぼるという。

そんなボードウォークが新たに入場用の新アプリを提供するに至った背景には、近年問題視されているチケットの高額転売問題がある。

そもそも旧来の仕組みでは申込時に同⾏者の情報が分からず重複申込が見抜けない、申込者情報のみで抽選するため(重複申込を防ぐのには)不完全など「転売屋に複数枚当選する可能性」が高い。加えて発見タイミングが早いため「良い席のチケットが高騰しやすく高価格で転売しやすい」ことや、本人認証が甘くて転売チケットでも入場できるため「ファンも転売チケットを気軽に購入する」ことも高額転売の原因になっていた。

ボードウォークでは以前よりその対策として「購入時の同行者の指定」や「公演直前の座席通知」といった機能を提供してきたが、チケット不正転売禁止法の施行に合わせて、防止策を強化するとともにユーザーの使い勝手にも配慮する形で機能をアップデートしたLIVE QRを開発したという。

同サービスの特徴は60秒毎にQRコードが切り替わるカウントダウン機能、顔写真の登録機能、ネットワーク障害への対策機能の大きく3点だ。

LIVE QRでは60秒毎にQRコードが切り替わり変化する仕様を取り入れることで、事前に譲渡(キャプチャ)されたQRコード画像による入場を抑制。認証時刻に合ったQRコードのみ認証される仕組みを整えた。

またアプリ内に顔写真の登録ができる機能を実装。アプリを起動した上で撮影した写真のみが利用可能で、顔認証登録が必須の公演の場合は申し込み中の写真の変更をできない形にしたことで、心理的な抑制と物理的な検知にも役立つという。

これまでは入場ゲートで写真付きの身分証明書を個別チェックするなど不正対策をしていたが、それでは主催者側と来場者側相当にとって負担が大きい上に、どうしても時間がかかってしまう。「不正転売をきちんと防止しつつも(双方の負担を削減し)簡易的に確認できる手段を作れないか」(ボードウォーク執行役員の前川佳輝氏)と考え、これらの機能を作ったそうだ。

一方で、電子チケットを広げていくにはネットワーク障害への対策を整備する必要もある。たとえば昨年12月に開催されたGLAYの公演では、通信障害が原因で電子チケットの利用ができなくなるという事態も発生した。

前川氏によるとLIVE QRの場合は「前の日に一旦通信をしておけば、しばらくの間通信が途切れても大丈夫な状態を作り込んである」ため、前日アプリからQRコードが表示されることを確認しておけば、当日会場のネットワークが不安定だったとしてもアプリ上ではきちんと稼働するそう。前日に確認を促す通知を送ることで、ネットワーク障害によるトラブルのリスクを軽減したいという。

「2010年からサービスを開始して、ある種業界のパイオニアとしてやってきたという自負がある。今回のLIVE QRはこれまでの知見や経験を踏まえて満を持して開発したもの。派手な機能ではないように見えるかもしれないが、事業者の方々が課題に感じていたことを解決し、かつ使い勝手の部分も向上できたのが大きな特徴だと思っている」(前川氏)

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。