孫の写真や動画をテレビで共有、「まごチャンネル」開発元のチカクが1億5000万円調達

離れて暮らす家族のテレビに写真や動画を送ることができるIoTデバイスの「まごチャンネル」。その開発元のチカクは12月12日、インキュベイトファンドを引受先とした第三者割当増資により1億5000万円を調達したと発表した。これにより、同社の累計調達金額は3億円超となる。

同時に、「カーブス」や「らくらくホン」などのシニアビジネスに参画したこともある、村田アソシエイツ代表の村田裕之氏がチカクの顧問に就任。また、企業間レンタル移籍プラットフォーム「ローンディール」を通して関西電力の田村博和氏が6ヶ月限定でチカクにジョインする。

まごチャンネルはITリテラシーの低いシニア世代でも簡単に使えるように設計されたIoTデバイス。遠く離れた場所に住む家族と、テレビを通して写真や動画を共有することが可能だ。

まごチャンネルの操作はテレビのリモコンで完結する。だから、スマホやPCの操作に慣れないシニア世代でも使いやすい。その名の通り、祖父母たちのテレビに「まご専用のチャンネル」を追加するためのデバイスだ。また、まごチャンネルのクラウドストレージに写真をアップロードすると家の形をしたデバイスの“窓”が光り、祖父母がその写真を観ると専用アプリ経由で通知がくるなど、離れて暮らしていても距離がチカク(近く)感じるような仕組みが特徴だ。

ところで、前回の取材時には3万9800円だったまごチャンネルの価格は、現在1万9800円まで値下げされている。チカク代表取締役の梶原健司氏によれば、「うまく増産が進み、価格を下げられるようになった」という。

現在はWebサイトや通販サイト経由での注文が多いということだが、そういった純販売だけでなく、他社との連携も順調に進んでいる。野村證券が実施したアクセラレータープログラム「VOYAGER(ボイジャー)」に採択されたこと経緯から、同社と共同でまごチャンネルを利用したカスタマーリレーションの構築の実証実験を行っている。これは、野村證券の営業員が顧客にまごチャンネルをプレゼントし、子供や孫の動画に混ざって営業員が挨拶ビデオレターを送るというもの。

証券会社の営業員は1人が抱える顧客の数が多く、直接会ってコミュニケーションが取れる顧客の数は限られている。顧客の高齢化も進むなか、彼らとのコミュニケーションを深めるためにシニア向けに開発されたまごチャンネルが選ばれたというわけだ。この協業を通して、これまでに3000台のまごチャンネルが導入されている。

チカクは2014年3月の創業。同社は2015年9月にクラウドファンディングプラットフォームの「Makuake」でまごチャンネルを発表した。そして、その翌年の2016年12月には500 Startupsなどから約1億円を調達している。現在、チカクはまごチャンネルの第2世代を開発中で、2018年の投入に向けて準備を進めているという。

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TechCrunch Japan

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