対話型物語のノーコード制作プラットフォーム「Dorian」が3.3億円を調達

Dorian(ドリアン)の創業者でCEOのJulia Palatovska(ジュリア・パラトフスカ)氏は、彼女のプラットフォームを提供することで、小説家をはじめとする物語の語り手たちが自分のゲームを作成する手助けをしたいと語る。

今回そのスタートアップが、シードラウンドで315万ドル(約3億3000万円)の調達を行ったことを発表した。ラウンドを主導したのはMarch Capital Partnersで、参加したのはVGames、Konvoy Ventures、London Venture Partners、Michael Chow(Twitchの「Artificial」シリーズの共同クリエーター)、Andover Venturesそしてタレントマネジメント会社のNight Mediaだ。

パラトフスカ氏は、以前はG5 Entertainment(G5エンターテイメント)のビジネス開発責任者としてゲーム業界に関わっていたが、やがてナラティブゲーム(物語ゲーム)やインタラクティブフィクション(対話型物語)にも夢中になったと語る。また、すでにインタラクティブフィクションのためのプラットフォームはあったものの、それらに関して彼女は「どれもシングルプレイヤーで、他のプレイヤーたちと遊んだり協力したりする機会がない」ことから、「私がチャンスだと考えたものを欠いている」と考えたのだという。

それから彼女は、私にDorianプラットフォームのクイックツアーを行い、作家がコーディングを行うことなく、基本的にさまざまなビジュアルアセットから選択して(最終的には、独自のアセットをアップロードできるようにもなる)キャラクターと背景をデザインするやり方を見せてくれた。一方、フローチャートスタイルのインターフェイスを使用して、作家がストーリーのさまざまなシーンを接続し、プレイヤーの選択肢を作成することもできる。また、パトラフスカ氏が先に触れたように、他の作家たちとストーリー上でリアルタイムに協力することもできる。

「作家の生産性に関していえば、私たちのエンジンでインタラクティブフィクションを作成することと、ただフィクションを書くことの間にはほとんど違いがないと思っています」と彼女はいう。

Dorian Gunmen Scene

画像クレジット:Dorian

私の見た範囲では、生み出されるゲームは、Pocket GemsのEpisode(未訳記事)のようなプラットフォーム上で見られるものに似ている。つまり技術的な飾り機能が多くないため、ストーリー、ダイアログ、キャラクターの選択が前面に押し出されるようなスタイルだ。

私がオープンソースのゲーム作成ソフトウェアであるTwine(トゥワイン)について尋ねてみたところ、パトラフスカ氏はTwineは「単なるツール」だと答えた。

「ツール提供とディストリビューションの両方を行う、Robloxのような存在になりたいのです」と彼女はいう。

つまり、作家はDorianを使用してインタラクティブなストーリーを作成し、またDorianアプリを使ってそれらのストーリーを公開することもできるということだ (作家は、作品に対する知的財産権を所有したままだ)。パトラフスカ氏は、Dorianは読者の反応に関する詳細な分析も提供することも指摘した。これは、ストーリーの作成に役立つだけでなく、プレミアムストーリーの選択を通しての収益化にも役立つ。

実際、Dorianによれば、約5万人のプレーヤーを対象とした初期のテストでわずか1回または2回の繰り返しで、作家は収益を70%改善できたという。またパトラフスカ氏は、「Black Mirror: Bandersnatch(ブラックミラー:バンダースナッチ)」などのインタラクティブ映画とは異なり、Dorianのゲームは「複数のブランチをすばやく簡単にテストできます」と述べている。

現在、Dorianは招待制だが、2020年の後半にはさらに広い範囲に公開される予定だ。パトラフスカ氏ゲーム経験の有無を問わず作家を募集しているが、同時に彼女は、完全な初心者たちからも数多くの素晴らしい貢献が得られることを期待している。彼女はDorianが「作家にとって、RobloxやTwitchのような、完全にオープンなプラットフォームになる」ことを望んでいる。

March CapitalのGregory Milken(グレゴリー・ミルケン)氏は声明で「Dorianが、作家の収益化に重きを置きながら、ストーリーテリングを重視するインタラクティブなプラットフォームを開発できたことは、この先大いなる変革を引き起こすでしょう」と語った。「ジュリアと彼女のチームは、影響力はあるものの過小評価されている、多様なコンテンツクリエーターの読者たちの、注目を捕らえるためのコミュニティを育成しています」。

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カテゴリー:ゲーム / eSports

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画像クレジット::Malte Mueller / Getty Images

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(翻訳:sako)

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TechCrunch Japan

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