MITが、Nectomeとの関係を断つことになった。この、Y Combinatorが支援するスタートアップは、将来のデジタルアップロードの可能性のために顧客の脳を保存すると称してきた。
協同ファウンダーのRobert McIntyreはその処置を、“100%致死的である”と述べている。それは、末期の患者をマシンに接続して動脈に防腐液を注入する、などの過程を含んでいる。
同社は申込者から10000ドル(返金可)を集めたが、今同社のWebサイトには“最近の報道への応答”と題する注記があり、処置の実行は今後のさらなる研究の後になることが示唆されている:
人間の脳の臨床的保存には人類にとって大きな利点の可能性があるとわれわれは信じているが、しかしそれは、医学と神経科学の専門家からの入力をもとにオープンに研究開発された場合に限る。現時点で生体保存を急ぐことはきわめて無責任であり、今後の正しい方式の採用を妨げるものになる、とわれわれは信ずる。
MITのTechnology Reviewにも書かれているが、MITとの関係が同社に信ぴょう性を与えている、と批判されてきた。MIT Media LabのEdward Boyden教授はNectome社への国の補助金の形で、金を受け取っていた。McIntyreと彼の協同ファウンダーMichael McCannaは、ともにMITの卒業生だ。
今回Media Labは声明を発表し、“同社のビジネスプランの科学的前提と、同社が発表している一部の声明を”検討した結果、“両者の合意に基づき、MITとNectomeの協同関係を終結する”、と述べた。
Media Labによると政府の助成対象になっていた研究プロジェクトは、“Nectomeの化学的側面と、Boydenグループの発明になる拡張顕微鏡技術を組み合わせて、基礎的科学と研究目的のためにマウスの脳のより良質な視覚化を得る”ことだった。Boyden教授とNectome社の間に、金銭や契約などをめぐって個人的な関係はなかったようだ。
その声明は最後に、Nectomeの背後にある科学に言及している。Media Labは、脳の保存と未来におけるアップロードの可能性を全面的に否定するものではないが、科学的確証はまだない、と示唆している:
神経科学はまだ十分に進歩していないので、記憶と心に関連するさまざまな生体分子をすべて保存できるほど強力な脳の保存方法がありうるか否かを、知っていない。また、人間の意識を再生することが可能かどうかについても、知っていない。
McIntyreはMIT Technology Reviewでこう述べている: “MITが私たちに与えた助力に感謝し、彼らの選択を理解し、そして彼らに最良を願う”。