政治トロールに侵害されたPCゲームサイトが政治的Modの全面禁止を決断

PCゲームの改造を楽しむ人たちの最大のプラットフォームであり社交場でもあるNexusMods(ネクサスモッズ)は、トロールによるコンテンツであふれかえってしまったことを受け「私たちはこの不正なゴタゴタに関与しないことを決めた」として、米大統領選挙に関連するあらゆるコンテンツの投稿を禁止した。たしかに、そんなに大きなニュースではない。しかし、ソーシャルメディアで散見される(そして批判される)有害な行為が、政治とはまったく無関係のように見えるニッチな場所にまで蔓延していることを、これは私たちに教えてくれている。

「Mod」(改造という意味)とは、ゲームの新しい展開を自分で作って自分でインストールして楽しむ行為を指す。例えば、新しいキャラクターやレベルを作ったり、インターフェイスや難易度を調整したりといったことだ。NexusModsは、そうしたModゲームを最も多く集める活気あるコミュニティーだ。

だが残念なことに「Skyrim」に装飾用の壁掛けを追加するといったごく簡単なModですら、政治の代理闘争の場になっている。例えば、よく登場する敵キャラをトランプ支持者、つまり「暴徒」に置き換えるといったModがいくつも見られる。下の写真は、RedditユーザーのCipherx02さんが撮ったスクリーンショットだ。ユーザーたちは解説欄に偽情報を書き込んでいると彼は指摘している。

ケノーシャで抗議活動家を狙撃したカイル・リッテンハウスの写真を使ったModには、ボカシを入れています。本当にそんなヤツがいるんです!

このサイトのニュースページの記事でNexusModsの管理者は、政治的信条の偏りを一切見せないよう細心の注意を払いつつ、お馬鹿さんには手厳しいが、不満を表している。

このところ、現在米国の社会政治的問題に関連する挑発的なトロールModが多く見受けられるようになりました。大統領選挙が11月に迫る中、4年前と同じように、この傾向は強まるものと懸念されます。

アップロードされるModの質の悪さ、彼らが表明する二極化した観点、中傷や根拠のない事実無根の非難に頼らずにこうした問題を冷静に論議できるに足る知性も教育もない少人数ながら声高なユーザーがいるという事実(私たちの世界に巣食う大きな問題を暗示しています)から判断し、この不正なゴタゴタには一切関与せず、米国の社会政治的問題に関連するModを完全に禁止することを決めました。私たちには、この問題を適切に処理する時間も、気遣いも、意欲もありません。禁止措置は、9月28日以降にアップロードされたModに適用されます。次期大統領が就任した後に、この制限を見直すことにします。

普段なら政治的中立を保っているようなウェブ上のスペースにおいても、全般的に有害な言動に毒されていることは疑いようがない。FacebookやYouTubeとは違い、小さなサイトやコミュニティーは、大量のモデレーターを雇ったり、高度な機械学習ツールを活用して問題が小さいうちに摘み取ることなどできない。

したがって、完全禁止は唯一の有効な手段であり、やりすぎとは言えない。大統領選挙が近づくにつれ(おそらくその後もずっと)、小さなコミュニティーの多くは、どこかで線引きが必要となる。さもなければ、ドキシングや脅しや、感情的なインターネット野郎どもに目をつけられるなどの危険に晒されてしまう。
画像クレジット:TechCrunch

カテゴリー:ゲーム
タグ:選挙・政治

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(翻訳:金井哲夫)

投稿者:

TechCrunch Japan

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