新型コロナ後の成長加速へ向けインドのフードデリバリーSwiggyが約880億円調達

インドのフードデリバリースタートアップSwiggy(スウィギー)は現地時間4月5日、新規ラウンドで約8億ドル(約880億円)を調達したと従業員に伝えた。同社は数四半期前にパンデミックを乗り切るために従業員を解雇していたが、インドで事業を拡大するようだ。

従業員への電子メールの中で、Swiggyの共同創業者でCEOのSriharsha Majety(シュリハルシャ・マジェティ)氏は、同社が新規投資家のFalcon Edge Capital、Goldman Sachs、Think Capital、Amansa Capital、Carmignac、そして既存投資家のProsus VenturesとAccelから約8億ドルを調達したと述べた。このニュースはTimes of IndiaのジャーナリストDigbijay Mishra氏が最初に報じた

「この調達では、現在の業務のために計画していた投資よりもさらに多くの資金を獲得します。ただ、我々の野心は果てしなく、後に投資の準備が整うかもしれない将来のために引き続き新たなサービスのタネを撒いたり実験などをします。我々は今、インドから永続するアイコン的企業を生み出すために、今後数年にわたって絶えず考案して実行する必要があります」とマジェティ氏は電子メールに書いた。TechCrunchはこの電子メールを入手した。

マジェティ氏はSwiggyの新たな評価額を明らかにしなかったが「投資家らはSwiggyに対してポジティブな感情を持っており、新規ラウンドは既存投資家からの出資がかなり多かった」と述べた。この件に詳しい人物によると、新たな評価額は49億ドル(約5395億円)を超えた。同社の累計調達額は約22億ドル(約2422億円)となった。

Swiggyは2020年、約37億ドル(約4074億円)の評価額で1億5700万ドル(約172億円)を調達した。この調達は今回の新規ラウンドには含まれないと情報筋はTechCrunchに語った。

情報筋によると、かなりの資金を調達しているZomato(ゾマト)、そして新規参入者のAmazon(アマゾン)と競合しているSwiggyの長期的な目標は今後10〜15年でユーザー5億人にサービスを提供することだ。情報筋は2020年取引したユーザー数が5億人となり、評価額が1000億ドル(約11兆109億円)を超えた中国のフード大手Meituan(美団)を例に挙げた。

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「2020年の新型コロナウイルスによる非常に厳しい局面から我々は脱しつつあり、嵐は乗り越えました。しかしここから取り組むすべてのことは長期的に成功するチャンスを最大化する必要があります」とマジェティ氏は電子メールに書いた。

Swiggyは2020年いくつかの業務を削減し(Zomatoも同様)、インド政府が数カ月にわたるロックダウンを命令することになったパンデミックをしのごうとクラウドキッチン事業を縮小した

4月5日の資金調達の伝達は、グルがオン拠点のZomatoが2021年のIPOに向けてここ数カ月で9億1000万ドル(約1002億円)を調達した中でのものだ。直近の調達でZomatoの評価額は54億ドル(約5946億円)だった。資金調達の際、Zomatoは部分的には「自社の事業のさまざまなエリアにおける競合他社からの攻撃や価格競争」を退けるために資金を調達していると述べた。

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3番目のプレイヤーであるAmazonはインドのフードデリバリー分野に2020年参入した。ただし、事業はまだバンガロールの特定地域に限定されている。

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インドのフードデリバリーマーケットは2022年までに120億ドル(約1兆3213億円)に膨張するとBernsteinのアナリストは2021年初めの顧客向けレポートに書いた。そしてZomatoが現在マーケットをリードしていて、シェアは約50%だと指摘している。

「インドのフードテック産業はユニットエコノミクスを改善することで成長を維持します。テイクレート(取り分の割合)は20〜25%とインドでは最高の部類で、消費者の取り込みは増えています。マーケットは ZomatoとSwiggyが寡占していて2社でシェア80%超を占めます」とBank of Americaのアナリストは最近のレポートに書いた。TechCrunchはこのレポートを確認した。

「フードデリバリービジネスはかつてなく勢いがあります。そしていま、我々は今後10年で継続的な成長を推進するところにまできています。加えて、(グローサリー配達)Instamartのような新規事業のいくつかはかなり将来性があり、その一方で我々は間もなく展開する他の事業の準備を着々と進めてきました」とマジェティ氏は述べた。

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タグ:Swiggyインド資金調達フードデリバリー

画像クレジット:Nasir Kachroo / NurPhoto / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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