未就学児の英語学習スタートアップ「Lingumi」が5.3億円を調達、新型コロナ対応で一部のサービスを無料に

新型コロナウイルス感染拡大の厳しい状況の中で、保護者は子供の教育、ことに教育の大半をオンラインで受けざるを得ないことを心配している。しかし未就学児の教育はどうだろうか。

未就学児は知識を吸い込むスポンジのようだが、学校に入るまでは読み書きに関する正式な教育は受けない。学校に入る頃にはスポンジだった吸収力は薄れ、30人が一緒に教育を受ける。保護者が英語を学ばせようとしている非英語話者の子供にとっては、学校では厳しい状況になる。

2017年に英国で創業した、未就学児が重要なスキルを学ぶためのプラットフォームのLingumiは、400万ポンド(約5億3000万円)を調達した。今回のラウンドを主導したのは中国のテックファンドのNorth Summit Capitalで、これまでに投資していたLocalGlobe、ADV、Entrepreneur Firstも参加した。North Summit Capitalは、アリババのチーフデータサイエンティストだったWanli Min(ワンリ・ミン)博士が運営しているファンドだ。

Lingumiは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている子供と家族を支援するために毎日無料で学べるアクティビティパックとビデオを提供することと、この期間中の売り上げの20%をGlobal Children’s Fundに寄付することも発表した。

Lingumiは1対1で「ソーシャルラーニング」的な指導をするインタラクティブなコースを提供している。最初のコースは2歳以上の子どもを対象に、英語の重要な文法と語彙を紹介するものだ。

指導者がつくライブレッスンは一般にタイムテーブルが決まっている上に高価だ。これに対してLingumiのレッスンは、インタラクティブなスピーキングの課題、先生のビデオ、ゲームの形式で配信される。各レッスンの最後には、ほかの子供が同じ単語やフレーズを話すビデオを見ることができる。Lingumiはビデオの視聴なのでライブのコースより安価で、保護者にとっては柔軟だ。

昨年、Lingumiは中国でコースの配信を始めた。非英語話者に英会話を教えるコースだ。現在では中国、台湾、英国、ドイツ、イタリア、フランスの合計で10万世帯以上がLingumiのプラットフォームを利用している。中国ではこの半年で150万以上の英語のレッスンが視聴され、アクティブユーザーの40%が毎日視聴している。Lingumiによれば、中国の外出禁止期間中にユーザーベースが50%増え、ヨーロッパでも急速に増えているという。

同社は「中国でのLingumiの急速な成長には、戦略的な現地投資家が必要だった。ミン博士とそのチームはテクノロジーを明確に理解し、中国、そしてグローバルでの成長のチャンスもはっきりと見すえていた」と述べている。

North Summit Capitalゼネラルパートナーのワンリ・ミン博士は次のようにコメントしている。「ネイティブの英語話者の個別指導を受けられるのは、ごく一部の恵まれた子供だけだ。Lingumiは英語学習を民主化し、AIとLingumiの非同期学習モデル(時間が決められているライブではなく自分のペースで学習すること)を活用して一人ひとりの子供に合わせたカリキュラムを提供する可能性がある」。

Lingumiの競合としては、VIPKidなどのライブ指導ソリューションのほか、中国のJiligualaや欧米で多く利用されているLingokidsといった学習プラットフォームがある。

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(翻訳:Kaori Koyama)

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TechCrunch Japan

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