消費者が家計の「管理と計画」を行うためのサブスク式の財務プラットフォーム「Monarch」が5.3億円調達

Monarch(モナーク)は、消費者が家計の「管理と計画」を行うためのサブスクリプション方式のプラットフォームだ。このほど同社は480万ドル(約5億3000万円)のシード資金を調達した。

調達ラウンドをリードしたのはAccel(アクセル)で、SignalFire(シグナルファイア)も参加した。カリフォルニア州マウンテンビュー拠点のスタートアップは、2019年の創業以来の総調達額を550万ドル(約6億1000万円)とした。

共同ファウンダーでCEOのVal Agostino(バル・アゴスティノ)氏は、Mint.com(ミント・ドットコム)を作ったチームで最初のプロダクトマネージャーだった。当時同氏は、米国の家計をよく理解している人たちが「単なる予管理以上のソフトウェアソリューションを必要としている」ことを直に体験したことを話した。

「消費者は、将来の家計を計画し、さまざまな金融商品の損得を理解するためのツールを必要としていました」と彼は語った。

Monarchの目標は、人々のそんなニーズに対応するためのソフトウェアを提供して、家計の目標を設定し、それを実行するための詳しい将来計画を立てる手助けをすることだ。

「その後も顧客が自分の計画の進捗を追跡するのを助け、将来必ず起きる財務状態の変化に合わせて自動的に調節します」とアゴスティーノ氏は述べた。

Monarchは2021年にウェブとiOS、Androidアプリのプライベートベータをスタートした。料金は月間9.99ドル(約1100円)または年間89.99ドル(約9900円)。同社は意識的に、広告掲載や顧客の財務データの販売を行わない方針をとった。

そういうアプローチは「ユーザーの金銭的利益と相容れません」とアゴスティーノ氏はいう。

「サブスクリプションモデルのビジネスは、その精神を守り、ユーザーの利益を私たち自身の利益を一致させられるものだと思いました」と彼は付け加えた。一般公開して以来、Monarchは週に約9%のペースで有料サブスクライバーを増やしている。

画像クレジット:Monarch

Monarchが開業したのはパンデミックの最中で、その不透明感は人々の家計にも伝搬したとアゴスティーノ氏は考える。

「多くのユーザーがMonarchの予測機能を、転職や別の都市や州への移住などさまざまな『仮説』を比較するために使っていることがわかりました」と彼は言った。

2021年7月、TechCrunchでは似たようなミッションを掲げるスタートアップのBodesWell(ボーズウェル)が、American Express(アメリカン・エキスプレス)と提携してカードホルダーに財務計画ツールを提供することを報じた。MonarchとBodesWellはどちらも顧客が財務計画と将来を描くのを手助けする点で似ている、とアゴスティーノ氏は語った。

関連記事:アメリカン・エキスプレスがBodesWellと提携しファイナンシャルプランニング分野に進出

AccelのDaniel Lenive(ダニエル・レビン)氏は、Monarchに出会うまでは時代遅れでもMintを使い続けていたと語った。

この10年、財務サービスは劇的に幅を広げ、多くの人々が証券や暗号資産の口座を持つようになった。

Monarchはいくつかの理由で傑出している、とレビン氏は語る。その1つがサブスクリプション製品であることだ。

「Mintでいつも嫌だったのが、客観的に見て、誤ったクレジットカードを私に薦めることでした」とレビン氏はいう。「私の取引データをすべて知っているのだから、最も特典の多いカードを教えるべきでしょう。Monarchは、ユーザーにとって最善のことを広告のために犠牲にすることは決してありません」。

また、Monarchは顧客のためのインフラストラクチャーとして役割も担う。そのためには全員の財務状態をモニターしなくてはならない。

「預金、クレジットカード、証券取引、不動産、暗号資産などすべてを監視しなければなりません」と彼はいう。「Monarchは、それを実行することを約束しています。それは恐ろしく困難な問題であり、Monarchはこの分野では新しいにも関わらず、この方面で明らかに先行していると思います」。

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カテゴリー:フィンテック
タグ:Monarch資金調達サブスクリプション

画像クレジット:princessdlaf / Getty Images

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(文:Mary Ann Azevedo、翻訳:Nob Takahashi / facebook

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TechCrunch Japan

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