走行距離で課金する自動車保険のMetromileがSPACを通じて公開市場へ

2020年初め、新型コロナウイルスにともなう経済の不確実性により、スタッフの3分の1を解雇した「Pay-per-mile」(従量制)自動車保険の会社であるMetromile(メトロマイル)が、SPAC(特別目的買収会社)を通じた公開市場への道を進んでいる。

2011年創業で、CEOのDan Preston(ダン・プレストン)氏が率いる同社は、SPACであるINSU Acquisition Corp. IIとの合併契約に至ったと述べた(GlobeNewswire記事)。株式価値は13億ドル(約1350億円)だ。

MetromileはChamath Palihapitiya(チャマス・パリハピティヤ)氏の会社であるSocial Capitalがリードした投資ラウンドにおいて、公開会社への私募増資(PIPE)により1億6000万ドル(約170億円)を調達したと述べた。既存投資家からHudson Structured Capital ManagementとMark Cuban(マーク・キューバン)氏が、新規投資家としてMiller ValueとClearbridgeが参加した。Metromileは、クロージング時には約2億9400万ドル(約310億円)の現金を保有していることになる。

同社はその資金で既存の負債を減らし、成長を加速する。特に個人向け保険と法人事業を支えるために従業員を雇用し、進出地域を現在の8州から来年末には21州とすることを目標とする。2022年末までに全国をカバーする計画だ。

Metromileは、自動車保険のビジネスモデルの非効率性、特にユーザーの課金方法に革新をもたらしたことで知られる。Metromileはユーザーに対し、標準的な定額料金の代わりにマイレージ(走行距離)に基づいて課金する。マイレージは車に装着する機器が計測する。Metromileによると、米国のドライバーの約3分の2は走行距離が少ないと考えられる。Metromileは、走行距離に応じて課金すると、ユーザーは従来の保険会社と比較して平均47%を節約できると話す。

同社はモバイルアプリも開発した。このアプリは、ユーザーが保険金の請求を行うことができるほか、たとえば街路清掃活動中に駐車違反の可能性をドライバーに警告するなどの機能もある。いまや30億マイル(約48億3000万km)のドライバーデータにより、同社はユーザーのコストを削減し、ユーザーの全体的なエクスペリエンスを向上するための予測モデルを構築することができる。

新型コロナのパンデミックは、ベイエリアで最も急成長していたスタートアップの1つ(未訳記事)であるMetromileにとって初めての逆風となった。Metromileは従業員の削減のため最終的に約100人を解雇した。同社は当時、パンデミックによる自宅待機勧告の影響を受けてユーザーの運転が減ったと語った。またパンデミックにより、米国のドライバーは減った走行距離を支えてくれるような保険を探し回るようになった。

投資家のキューバン氏は、MetromileのSPACに関する発表の中に同社の事業の可能性を見出したと語っている。

「経済的困難、失業、在宅勤務の時期にMetromileは保険の重要な選択肢を提供してくれます」とキューバン氏は述べた。「1マイル(約1.6km)ごとに保険料を支払うという選択肢はまさにゲームチェンジャーであり、Metromileの将来に私が信じられないほど興奮している理由です」。

Social Capitalのパリハピティヤ氏も同様に強気で、米国時間11月24日火曜日に「バフェットはGeicoを保有しました。私はMetromileを選びます」とツイートした

Metromileはこの春に一時解雇したスタッフを再雇用し、従業員を取り戻した。現在、同社には230人以上の従業員がおり、将来的に従業員が減少することはないとの見通しだ。それどころか、同社はTechCrunchに、個人と法人向けの両方が今後数年で「かなり」成長すると見込んでおり、追加のスタッフを雇う予定だと語った。

合併は2021年第1四半期に完了する予定。合併後の会社はMetromile Inc.,と名付けられ、NASDAQ(ナスダック)に新しいティッカーシンボル「MLE」で上場を維持する。

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画像クレジット:Andrew Merry / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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