100%植物由来および完全生分解性を示す新素材「プラントファイバーセラミック」(PFC)を開発するアミカテラは1月20日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は、EEI4号イノベーション&インパクト投資事業組合、伊藤園、イノベーション創出投資事業有限責任組合(阿波製紙)、住友商事、ハウス食品グループ-SBIイノベーション投資事業有限責任組合など(50音順)。
これに伴い、2021年6月に国内初となる第一工場(熊本県益城町)稼働を開始し、PFC製品の開発・製造販売を推進する。さらに2022年1月には、第二工場(熊本県水俣市)の稼働も予定している。
アミカテラが製造するPFCは、「プラスチックによる環境汚染問題の解決」と「大量廃棄される植物残渣の有効活用」を目指して開発されたプラスチック代替素材。
PFCは植物繊維を主原料とし「100%植物由来」であるため、「自然環境下で100%生分解する」特性を備え、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」両面の特性を持つ稀有な素材という。
また、植物繊維であれば原料となりうるため、植物残渣の活用や間伐材、製材残渣、放置竹林問題などへの貢献も可能。PFCの製造を先行開始している台湾では、すでに大手コーヒーチェーンやコンビニエンスストアなどで多数の採用実績があるそうだ。
アミカテラによると、日本工場における将来的な事業スキームは、「廃棄物完全ゼロ」への挑戦という。製造の過程では、地域の農業廃棄物や、食品・飲料メーカーなどから出る残渣などを引き取り、原料として活用。製品の使用後は、回収し、粉砕・再製造するという一貫した自然環境のリサイクル活動を目指す。
これは、2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)17の目標の達成に向けて、また菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦に向けた取り組みとしても貢献につながると考えているという。
関連領域における豊富なリソースを有する事業会社と連携することで、PFCならではの強みを生かし、循環型社会の実現に向けた新たなビジネスモデル構築を推進していくとしている。
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