日立が設備・サービスごとの再生可能エネルギー使用状況をスマートメーターとブロックチェーンで見える化

日立が設備・サービスごとの再生可能エネルギー使用状況をスマートメーターとブロックチェーンで見える化

暗号資産(仮想通貨)・ブロックチェーン技術に関連する国内外のニュースから、過去1週間分について重要かつこれはという話題をピックアップしていく。今回は2021年1月17日~1月23日の情報から。

日立製作所(日立)は1月22日、再生可能エネルギー由来の電力で稼働する建物・設備やサービスなどの電力使用状況を、スマートメーターとブロックチェーン技術を活用し見える化するシステムの開発を発表した

また同システムを中央研究所内に導入し、設備やサービス単位での使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明するシステムの運用を2月1日より開始する。

同社が開発したシステムは、スマートメーターとブロックチェーン技術を活用し、個々の建物や設備等製造ラインごとの単位まで、再生可能エネルギーの使用量を見える化できるというもの。企業全体として再生可能エネルギーのみでの事業運営の早期実現が困難な場合でも、企業の環境意識の向上や再生可能エネルギー利用の普及に貢献できるという。ちなみにスマートメーターとは、電気使用量をデジタルで計測するほか通信機能を備える電力メーター。スマートメーターを導入することで自動検針と電気使用量のデータ通信が可能になる。

日立は、中央研究所内の「協創棟」と呼ばれる特定の建物やエレベーターなどの特定の設備に対して同システムを導入。使用電力が100%再生可能エネルギーであることを「Powered by Renewable Energy」として証明していく。

日立が設備・サービスごとの再生可能エネルギー使用状況をスマートメーターとブロックチェーンで見える化
同システムにより「Powered by Renewable Energy」を証明できることで、将来的には、個々の製品・サービスが100%再生可能エネルギーで稼働していることを訴求した付加価値の高いサービスが提供可能という。

例えば、再生可能エネルギーで100%充電された電気自動車によるタクシー事業者が、車両に「Powered by Renewable Energy」マークを表示させて乗車サービスを提供することで、環境価値を訴求したサービスの提供が可能になる。

国際的な地球温暖化対策「パリ協定」では、温室効果ガスの排出量を今世紀後半に実質ゼロにすることなどを目標に掲げている。これを受けて、世界の主要国政府および地域が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという目標の達成を掲げたカーボンニュートラルを宣言している。1月20日には、トランプから政権を引き継いだジョー・バイデン大統領によって、アメリカのパリ協定への復帰が表明され、注目を浴びている。

また企業や団体においては、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで調達することを目標とする国際的環境イニシアチブ「RE100」(Renewable Energy 100%)に加盟するなど、脱炭素社会の実現に向けた活動が進みつつある。

日立は、同システムの提供により、事業者への再生可能エネルギーの導入を支援し、企業の脱炭素化を促進していく。今後は、様々な業界のパートナー企業と協力し合い、同システムおよび証明コンセプトを活用したサービスの提供に向けた検討を進め、脱炭素社会の実現への貢献を目指すという。

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100%植物性・完全生分解性の素材を開発するアミカテラが資金調達、国内初の工場を熊本で6月稼働

100%植物性・完全生分解性の素材を開発するアミカテラが資金調達、熊本で国内初の第一工場を6月稼働

100%植物由来および完全生分解性を示す新素材「プラントファイバーセラミック」(PFC)を開発するアミカテラは1月20日、第三者割当増資による資金調達を発表した。引受先は、EEI4号イノベーション&インパクト投資事業組合、伊藤園、イノベーション創出投資事業有限責任組合(阿波製紙)、住友商事、ハウス食品グループ-SBIイノベーション投資事業有限責任組合など(50音順)。

これに伴い、2021年6月に国内初となる第一工場(熊本県益城町)稼働を開始し、PFC製品の開発・製造販売を推進する。さらに2022年1月には、第二工場(熊本県水俣市)の稼働も予定している。

アミカテラが製造するPFCは、「プラスチックによる環境汚染問題の解決」と「大量廃棄される植物残渣の有効活用」を目指して開発されたプラスチック代替素材。

PFCは植物繊維を主原料とし「100%植物由来」であるため、「自然環境下で100%生分解する」特性を備え、「バイオマスプラスチック」と「生分解性プラスチック」両面の特性を持つ稀有な素材という。

また、植物繊維であれば原料となりうるため、植物残渣の活用や間伐材、製材残渣、放置竹林問題などへの貢献も可能。PFCの製造を先行開始している台湾では、すでに大手コーヒーチェーンやコンビニエンスストアなどで多数の採用実績があるそうだ。

アミカテラによると、日本工場における将来的な事業スキームは、「廃棄物完全ゼロ」への挑戦という。製造の過程では、地域の農業廃棄物や、食品・飲料メーカーなどから出る残渣などを引き取り、原料として活用。製品の使用後は、回収し、粉砕・再製造するという一貫した自然環境のリサイクル活動を目指す。

これは、2015年9月の国連サミットで採択された「SDGs」(持続可能な開発目標)17の目標の達成に向けて、また菅政権が掲げる「2050年カーボンニュートラル」への挑戦に向けた取り組みとしても貢献につながると考えているという。

関連領域における豊富なリソースを有する事業会社と連携することで、PFCならではの強みを生かし、循環型社会の実現に向けた新たなビジネスモデル構築を推進していくとしている。

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