4K有機EL&Thunderbolt 4採用、13.3型2in1「ZenBook Flip S UX371EA」

4K有機EL&Thunderbolt 4採用、13.3型2in1「ZenBook Flip S UX371EA」レビュー

ASUS JAPANの「ZenBook Flip S UX371EA」は、軽量薄型で高級感あふれるデザインを採用したプレミアムクラスの2in1ノートPCだ。CPUには最新のインテル第11世代Coreプロセッサーを採用し、従来にはない高いパフォーマンスを実現している。加えて堅牢性やモバイル性能に優れている点も魅力。いまもっとも注目されているモバイル2in1だ。

ASUS JAPANの13.3インチ2in1ノートPC「ZenBook Flip S UX371EA」。インテルの第11世代Coreプロセッサーを搭載。直販価格はCore i5-1135G7搭載の下位モデルが税別12万2545円から、Core i7-1165G7搭載の4K OLEDモデルは税別21万8000円から

ASUS JAPANの13.3インチ2in1ノートPC「ZenBook Flip S UX371EA」。インテルの第11世代Coreプロセッサーを搭載。直販価格はCore i5-1135G7搭載の下位モデルが税別12万2545円から、Core i7-1165G7搭載の4K OLEDモデルは税別21万8000円から

ラグジュアリー感と高い堅牢性を両立させた本体デザイン

ZenBook Flip S UX371EAを手にしてまず驚くのが、繊細かつ洗練されたデザインだ。本体のフットプリントは幅305×奥行き211mmで、A4サイズよりもわずかに大きいながらも13.3インチの2in1としては非常に小さい。厚さは13.9mmと薄く重量も1.22kgと軽量で、見た目も手にした印象も軽やかだ。さらに本体カラーのブラックとカッパーの組み合わせは高級感抜群。細部までこだわり抜いた仕上げにより、まるで高級文具のようなラグジュアリー感を漂わせている。

繊細な見た目とは裏腹に、高い堅牢性を誇る点も見逃せない。米国国防省制定のMIL-STD 810H準拠で、ミリタリーグレードの耐久性を実現。シャーシには剛性に優れるアルミ素材を採用しており、本体の両端に力を加えてもねじれや歪みは感じられなかった。持ち歩く機会やディスプレイの開閉が多いモバイル2in1では、極めて重要なポイントだ。

本体カラーはジェードブラック。実際の色合いはわずかに青みを帯びながらも、ややくすんだ黒という感じ

本体カラーはジェードブラック。実際の色合いはわずかに青みを帯びながらも、ややくすんだ黒という感じ

天板にはレッドカッパーのロゴを配置。ロゴを中心とした同心円状のヘアライン加工が施されており、光の当たり方によってハイライトの向きが変化する様子が趣深い

天板にはレッドカッパーのロゴを配置。ロゴを中心とした同心円状のヘアライン加工が施されており、光の当たり方によってハイライトの向きが変化する様子が趣深い

エッジ部分はレッドカッパー。ダイヤモンドカット加工によるきらめきが高級感を演出

エッジ部分はレッドカッパー。ダイヤモンドカット加工によるきらめきが高級感を演出

パームレストもアルミ製。キートップの文字が大きく、さらにパームレストに貼られたシールやバッジによりゴチャついた印象を受ける

パームレストもアルミ製。キートップの文字が大きく、さらにパームレストに貼られたシールやバッジによりゴチャついた印象を受ける

ベゼル幅は左右5.4mmで上部9.7mm、下部20.1mm。左右は細いが、下部がやや太い。おそらくディスプレイ回転時の強度を確保するためだろう

ベゼル幅は左右5.4mmで上部9.7mm、下部20.1mm。左右は細いが、下部がやや太い。おそらくディスプレイ回転時の強度を確保するためだろう

高さは公称値で13.9mm、実測で14.7mm。ゴム足を含めた設置時の高さは15.7mm。非常にスリムだ

高さは公称値で13.9mm、実測で14.7mm。ゴム足を含めた設置時の高さは15.7mm。非常にスリムだ

重量は4K OLED(有機EL)モデルで約1.22kg、フルHDモデルで約1.25kg。4K OLED搭載の試用機では実測1.215kgだった。電源アダプターを含めれば1.429kg

重量は4K OLED(有機EL)モデルで約1.22kg、フルHDモデルで約1.25kg。4K OLED搭載の試用機では実測1.215kgだった。電源アダプターを含めれば1.429kg

見た目はスリムかつコンパクト。どちらかといえば一見華奢な印象なのだが、実はMIL-STD 810H準拠の高い堅牢性を確保している

見た目はスリムかつコンパクト。どちらかといえば一見華奢な印象なのだが、実はMIL-STD 810H準拠の高い堅牢性を確保している

4K OLEDディスプレイは非常に高精細かつ鮮やか

ディスプレイは13.3インチで、解像度は3940×2160ピクセルの4Kまたは1920×1080ピクセルのフルHDだ。4Kパネルはコントラストの高いOLEDで映像は非常に明るく、しかも目を見張るほど鮮やか。DCI-P3 100%の広色域に対応しており、一般的なNTSC 72%/sRGB 100%のディスプレイよりも赤みが強くより自然な色合いに感じる。かつ4Kの映像はとても高精細で、細部のディティールまで潰れることなくハッキリと映し出されていた。普段使いはもちろんのこと、クリエイティブな用途にも十分活用できるクオリティーだ。

画面サイズは13.3インチ。4K OLEDモデルは文字のドット感がまったくなく、印刷物のようになめらかに映し出される

画面サイズは13.3インチ。4K OLEDモデルは文字のドット感がまったくなく、印刷物のようになめらかに映し出される

映像は高精細かつ色鮮やか。ハイエンドクラスのノートPCでも赤みが弱いことが多いのだが、OLEDモデルは色のバランスがよく映像のクオリティーが非常に高い

映像は高精細かつ色鮮やか。ハイエンドクラスのノートPCでも赤みが弱いことが多いのだが、OLEDモデルは色のバランスがよく映像のクオリティーが非常に高い

付属のペンは4096段階の筆圧感知に対応。ツルツルとした抵抗の少ない描き心地で、レスポンスは良好

付属のペンは4096段階の筆圧感知に対応。ツルツルとした抵抗の少ない描き心地で、レスポンスは良好

キーボードは十分なサイズとストロークだが、やや変則的

キーボードはテンキーなしの日本語配列。キーピッチは公称値で19.05mmとサイズ的には十分なように感じるが、これは横のキーピッチのサイズだ。縦のキーピッチは実測16.9mmほどで、実際にはかなり横長に作られている。そのため上下の指の動きがやや窮屈で、慣れないうちはタイプミスがあるかもしれない。また右端に特殊キーが縦に並んでいる点も、標準的な配列にはない仕様だ。

キーボードはテンキーなしの日本語配列でバックライト対応

キーボードはテンキーなしの日本語配列でバックライト対応

キーストロークは1.35mmとやや浅めながらも、薄型ノートPCとしてはしっかり確保されている。キートップは0.1mmへこんでおり、タイプ時に指にフィットしやすい作りだ。ただし入力時にスイッチに微妙な軸のブレを感じる。クリック感は軽めだが、手応えはハッキリと感じられた。タイプ感については総合的には標準的な仕上がりで、配列やキーの作りの部分で工夫は感じられるものの、プレミアム感に乏しい仕上がりだ。

キーが横長で上下の指の動きがやや窮屈に感じる。キートップは指にフィットしやすいシリンドリカル形状だが、キートップの文字が大きく全体的に雑然とした印象だ

キーが横長で上下の指の動きがやや窮屈に感じる。キートップは指にフィットしやすいシリンドリカル形状だが、キートップの文字が大きく全体的に雑然とした印象だ

右端に縦に並ぶ特殊キー。スペースを最大限に利用する「エッジ to エッジキーボード」という触れ込みだが、キーボードの標準仕様であるJIS/OADG配列にはない部分なので、個人的には違和感がある

右端に縦に並ぶ特殊キー。スペースを最大限に利用する「エッジ to エッジキーボード」という触れ込みだが、キーボードの標準仕様であるJIS/OADG配列にはない部分なので、個人的には違和感がある

タイプ音は比較的静かだが、底面部のすき間で反響するため低音域が響きやすい。軽いタッチで入力する人向きだ

タイプ音は比較的静かだが、底面部のすき間で反響するため低音域が響きやすい。軽いタッチで入力する人向きだ

タッチ部分の右上を長押しすると、テンキーとして数値入力が可能なNumber Pad。一般的なテンキーの配列と異なるが、慣れれば便利に使えるだろう

タッチ部分の右上を長押しすると、テンキーとして数値入力が可能なNumber Pad。一般的なテンキーの配列と異なるが、慣れれば便利に使えるだろう

インターフェースに最新のThunderbolt 4を2ポート用意

周辺機器接続用のインターフェース類は多くはない。ただ、持ち運びの多いモバイルノートPCであることを考えれば、妥当な構成だ。最近は多機能なType-Cドックが増えてきているので、自宅や職場で使うなら拡張性の高いドックを用意しておきたい。

特徴的なのは、Thunderbolt 3の上位互換規格であるThunderbolt 4を2ポート用意している点だ。4K×2画面または8K 1画面の映像出力に対応しているほか、従来規格に比べて機能面も拡張されている。今後Thunderbolt 4対応のドッキングステーションや対応機器が充実すれば、より便利に使えるようになるはずだ。

左側面にはHDMIとThunderbolt 4(Type-C兼用)×2

左側面にはHDMIとThunderbolt 4(Type-C兼用)×2

右側面は電源ボタンとUSB3.2 Gen1。対応機器が多いフルサイズのUSB端子があるのはなにかとありがたい

右側面は電源ボタンとUSB3.2 Gen1。対応機器が多いフルサイズのUSB端子があるのはなにかとありがたい

ディスプレイ上部には92万画素のウェブカメラと、顔認証用のIRカメラを配置

ディスプレイ上部には92万画素のウェブカメラと、顔認証用のIRカメラを配置

付属のUSBイーサネットアダプター

付属のUSBイーサネットアダプター

USB Type-Cオーディオジャックアダプターはハイレゾ機器に対応

USB Type-Cオーディオジャックアダプターはハイレゾ機器に対応

専用スリーブケースも付属

進化したIris Xe Graphicsでグラフィックス性能が大きく向上

ZenBook Flip S UX371EAではCPUとして、インテル第11世代のCore i5-1135G7またはCore i7-1165G7が使われている。前世代のCPUに比べてクロックが上がったことでパフォーマンスアップも期待できるが、最大の特徴は進化した内蔵グラフィックス(iGPU)であるIris Xe Graphicsが使われている点だ。ゲームやクリエイター向けソフトでの効果を期待したい。

標準収録ユーティリティ「MyASUS」の「ファンモード」でパフォーマンスの調整を行なえるが、今回は標準時のパフォーマンスを計測するためにあえて調整は行なわず、「スタンダードモード」のままでテストを行なっている

標準収録ユーティリティ「MyASUS」の「ファンモード」でパフォーマンスの調整を行なえるが、今回は標準時のパフォーマンスを計測するためにあえて調整は行なわず、「スタンダードモード」のままでテストを行なっている

熱を抑えながらもしっかり使えるパフォーマンスを発揮

CPU性能を計測するCINEBENCH R20から。マルチコア性能については前世代のCore i7-1065H7と変わらない結果だったが、これは本体の熱対策やパフォーマンス調整が影響しているのかもしれない。同じCPUを搭載したほかの機種ではスコアが「2000」を超えているので、ZenBook Flip S UX371EA固有の仕様だろう。とは言えこれだけ薄型コンパクトでありながら、しっかりと使えるパフォーマンスを確保している点は評価したい。

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

CPUの処理性能を計測する「CINEBENCH R20」の結果

スタンダード/モバイルノートPC向けCPUとの性能比較

スタンダード/モバイルノートPC向けCPUとの性能比較

グラフィックス性能はRyzenや非ゲーム系dGPUを超える

グラフィックス機能としては、CPU内蔵のIris Xe Graphicsが使われる。内蔵タイプのためパフォーマンスは高くないと思いきや、3Dグラフィックス性能を計測するベンチマークテストでは、旧世代のゲーム用専用グラフィックス(dGPU)であるGeForce GTX 1050に迫る結果となった。非ゲーム用dGPUであるGeForce MX250や、第3世代Ryzenモバイル内蔵のRadeon Graphicsを大きく上回っているのは正直なところ驚きだ。これだけのパフォーマンスを発揮できるのであれば、ちょっとしたゲームやクリエイティブな用途にも活用できるに違いない。

3Dグラフィックス性能を計測する「3DMark Fire Strike Graphics score」の結果

3Dグラフィックス性能を計測する「3DMark Fire Strike Graphics score」の結果

スタンダード/モバイルノートPC向けGPUとの性能比較

スタンダード/モバイルノートPC向けGPUとの性能比較

処理がごく軽めの「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4k」では、フルHDの最高画質で「とても快適」

処理がごく軽めの「ドラゴンクエストX ベンチマークソフト Ver.1.4k」では、フルHDの最高画質で「とても快適」

処理の重さとしては中量級の「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では「快適」との評価だが、平均31FPSでシーンによってはかなりカクつくだろう

処理の重さとしては中量級の「ファイナルファンタジーXIV: 漆黒のヴィランズ ベンチマーク」では「快適」との評価だが、平均31FPSでシーンによってはかなりカクつくだろう

1TB SSDのアクセス速度計測結果。試用機ではWDのSN730が使われていた。速度も容量も十分だ

1TB SSDのアクセス速度計測結果。試用機ではWDのSN730が使われていた。速度も容量も十分だ

こだわりの仕上がりで満足感の高いプレミアムな2in1ノートPC

ZenBook Flip S UX371EAの価格はCore i5-1135G7搭載の下位モデルで税別12万2545円、Core i7-1165G7搭載の4K OLEDモデルで税別21万8000円(いずれも直販価格)。決して安くはなくどちらかといえば高価なモデルだが、スペックやパフォーマンス、そして品質面を見れば十分納得できるクオリティーだと言っていいだろう。価格の安さよりもツールとしての高級感や使い心地、所有することへのステータスなどを重視する人におすすめしたいプレミアムなモバイル2in1だ。

4K有機EL&Thunderbolt 4採用、13.3型2in1「ZenBook Flip S UX371EA」レビュー

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カテゴリー: ハードウェア
タグ:ASUS(企業)ガジェット(用語)ZenBook(製品・サービス)レビュー(用語)

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TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。